第一話
新作投稿です!
ガキンガキンと激しい剣戟が鳴り響く。日は昇っておらず、夜空に浮かぶ月と星々だけが辺りをほんのりと照らしている。
「おい! 早く右から回れ!」
「もうやってる!」
「援護はまだ?!」
「狙撃ポイントまでまだ少し距離がある。 もう少し待ってくれ!」
「早くしてくれよ!」
数人で構成されたパーティーがそんなことを言い放つ。そんな彼等と戦闘を行っているのは一人のプレイヤーだ。
「あんたら遅いよ」
「なっ?!」
「レリム?!」
ソロプレイヤーと剣戟を響かせていたプレイヤーはあっさりと首を落とされて、このゲーム内で死を意味するポリゴン体となり霧散していった。
「クソ、レリムがやられた」
「おいおいまじかよ」
「まじだよ」
「なっ……」
また一人、首を落とされてポリゴン体となった。
「クソ! ウォーメルまでやられた!」
「よし、狙撃ポイントについた」
「早く撃て!」
「分かってるってば!」
ドパンッ、と銃撃の音が一発響いた。撃たれた弾は躱され、地面に着弾して砂煙を上げた。
「今だ、この砂煙があるうちに囲め!」
「おう!」
「分かったわ!」
ソロプレイヤーの近くにまだ残っている三人は狙われたプレイヤーを取り囲むように動いた。
「魔法放てぇ!」
「……」
「……」
先程から指示をしていた男の声だけが虚しく響いた。
「お、おい……どうした?! 聞こえてないのか?!」
「もう彼らはいないよ」
「なっ……」
後ろから声が聞こえたタイミングで砂煙が晴れていった。砂煙が晴れると、そこには二人分ののポリゴン体の残滓があった。
「き、規格外の化け物が!」
「おいおい、こんな時間にわざわざ複数人でPK仕掛けてきたくせにやられそうになったら化け物呼ばわりなんて、やられて嫌なことは人にするなってお母さんから教えてもらわなかったのか?」
「チッ!」
「暴言の次はナイフとか、傷ついたらどうすんのよ」
「軽々と止めといてよく言うぜ……」
男が懐から取り出し振り回したナイフは、軽々とソロプレイヤーの親指と人差指の先で摘まれて止められた。
「おっと」
急にソロプレイヤーが首を傾げると、眉間のあった辺りを銃弾が通り抜けていった。
「うっそぉ……」
「チッ……」
「もういい?」
そう言うと、指で挟んで止めていたナイフを指先の技術だけで掠め取り、そのまま手首のスナップだけで投擲した。
「…………え?」
投擲したナイフは遠くから狙撃していたプレイヤーが気づく前にその眉間を貫き、遠くでポリゴン体が霧散していくのが見えた。
「く、くそぉ!」
それを見た男はその場から走り出した。だがそれは許されなかった。ソロプレイヤーが片腕を軽く薙ぐように振るうと、何かが高速で逃げ出した男の眉間と腹を撃ち抜いた。
「く、そ……たっ……れ……」
男はそう言い放ちながらポリゴン体へ成り果てた。
もう少し投稿します!