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第九件 証拠のメール

数十分後、ゾンビ対策専門社……


「ここならもう来たじゃん。なんの用でここに……」


小向は専用車から降りるとそう言った。するとその問いに須川が「まぁ見れば分かるよ」と言った


「それじゃあ行きましょ」


一番最後に右内が専用車から降りるとそう言い、建物へと向かって歩き出した


「須川さんに右内さん。どうされたのですか?」


建物に入ると二間がそう言ってきた。なので右内は「坂下さんの件で捜査に協力して頂きたく」と言った。すると二間は「それは構いませんが、すでに終わらせたのでは……」と言った


「午前とは違う事を調べに来ました。坂下さんの使っていたパソコン、またはスマートフォンあります?」


須川は二間にそう聞いた。すると二間は「両方とも坂下の席にあるはずです。まだ片付けていないので」と答えた。なので須川は「その二つを調べさせて下さい」と頼んだ


「構いませんよ。案内します」


二間はそう言うと三人を二階の待機部屋に案内した。そしてその部屋に入ると一つの机の前にとまった。そして「ここが坂下の席です」と言った

坂下の席は坂下が亡くなってからほぼそのままらしく、机の上にはノートパソコンや資料が出しっぱになっていた。なので須川は机の上に置いてあった資料を取り、さっと見た


『仕事の記録か……』


中には過去に行った仕事について書かれていた。なので須川はその資料を閉じると元の場所に戻した


「それでは私は仕事がありますのでこの辺で失礼します。何かありましたらこの部屋に居る誰かにお願いします」


「分かりました。ご協力感謝します」


右内がそう言うと二間は一礼してからこの場を去った


「さて、須川君はスマホをお願い」


二間が部屋から出ると右内はそう指示を出した。そして机の上に置いてあるノートパソコンを開き、電源を入れた


「スマホにはパスワードがあります。パソコンはどうですか?」


須川はそう言うと右内が操作しているパソコンを見た。しかしパソコンにもパスワードが掛かっており、右内の手は止まっていた


「業務用ならやっぱり掛かってるわよね……。この辺にあったり……」


右内はそう言いながら机の裏を手で触った。すると付箋が貼ってあることに気がついた。なのでそれを剥がして見てみると、そこにはパスワードが書いてあった


「こっちは大丈夫そう。須川君は?」


右内はそのパスワードを入力してホーム画面へと入った。しかし須川が操作しているスマートフォンのパスワードは分からず、行き詰まっていた


「ダメです。分かりません」


須川はそう答えた。するとそんな須川に小向が「パスワードなら誰か知ってるんじゃない?」と言ってきた


「それじゃあパスワードの意味が無いでしょ」


「確かにそうだけど、一緒にいる時間が長い人とかならパスワードくらい分かるでしょ。私だって来栖さんのスマホのパスワード知ってるし」


小向はそう言った。するとそれに続くように右内も「確かにあり得ない話じゃないわ。誰かに聞いてみたら?」と言ってきた。なので須川は近くに誰かいないか周りを見た


『あそこに田村さんがいるな。聞いてくるか』


田村が部屋の中にいるのを見た須川は、すぐに田村に近寄り「田村さん少々宜しいですか?」と聞いた


「ええ、大丈夫ですが何ですか?」


田村はそう言うと手に持っているファイルを閉じ、机に置いた


「坂下さんの業務用スマートフォンのパスワードって分かりますか?」


須川は坂下の業務用スマートフォンを見せながらそう聞いた。すると田村は「知ってますよ。貸してください」と言い、須川からスマートフォンを受け取った。そしてパスワードを解除するとスマートフォンを須川に返した


「パスワードはこの形です」


田村はそう言いながら手の平に『Z』を書いた


「ありがとうございます。それでは失礼します」


須川はそうお礼を言うと二人のいる所へと戻った。そしてスマートフォンのメール欄を開いた


「右内さん。こっちはダメです」


メール欄を見ると右内にそう言った。すると小向が「須川、何を見てるの?」と聞いてきた。なので須川は「メールのアカウントを見てるんだよ」と説明した


「私達が見たいのは坂下のメールでしょ? アカウントなんか見て、なんの意味があるの?」


小向がそう質問してきた。なので須川は「もしかしたら業務用スマホ、パソコンからでもログインしてないかなと思ってそれを調べてるの」と説明した


「それでスマホはダメだったと?」


「あぁ、アカウントは仕事用の一つしかなかったよ」


須川は業務用スマートフォンの画面を見せながらそう言った


「ふ〜ん。まぁ普通は仕事用に渡されてる端末に個人垢をログインさせないでしょ。ログとか見ればバレるんだし」


「まぁね。だから念の為の確認だよ」


須川はそう言うと坂下の業務用スマートフォンを机の上に戻した。すると右内が「あったわ」と言った。なので須川が右内の開いているパソコンの画面を見ると、そこには仕事用のアカウントと個人用と思われるアカウントの二つが並んでいた


「見るよ」


右内はそう言うとメールの一覧を仕事用から個人用と思われるアカウントに切り替えた


「個人用で間違いないみたいね」


切り替えたと同時にメール欄には様々なメールが表示された。その殆どは開かれておらず、何かのお知らせのようだった


「これと言って怪しいメールはないわね」


右内はメール覧を見ながらそう言った


「犯人に消されちゃったのかな?」


その様子を後ろから見ていた小向がそう言った


「その可能性もあるわね。メールで何かしらの連絡を取ったなら消したいだろうし……」


右内はそう言うと諦めてメールを閉じようとした。するとそんな右内に須川が「ストップ。ゴミ箱の確認を」と言った


「そういえばメールにはゴミ箱なんて機能があったわね。最近使ってなかったから忘れてたわ」


右内達が見ているメールにはゴミ箱という仕組みがあった。これはメールを削除すると一定期間『ゴミ箱』に保存するという機能だった。なので須川はもしかしたらゴミ箱にメールが残っているのではないかと考えた……


「あった! すぐに文を記録しないと」


右内はそう言うと、ゴミ箱にあった一通のメールを開いた。そしてそのメールを写真で撮った


「とりあえずこれで消されても大丈夫」


右内はそう言うとスマートフォンをしまった


「あ〜、呼び出したのね」


先にメールを読んでいた小向はそう言った。なので右内は「須川君も読んだ?」と聞いた


「はい。読みました」


「なら小野塚さんにこの事を写真付きで送ってくれる? このスマホで」


右内はそう言うと自分のスマートフォンを須川に渡した


「分かりました。すぐに送ります」


須川はそう答えると、小野塚にこの事を知らせるためにメールを打ち始めた。そして右内が撮影したメールを添付して送信した……



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