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第十件 言葉の綾

午後五時、捜査一専用室……


「時間になったから帰るね〜。そんじゃあまた明日!」


小向はそう言うと慌てて荷物をまとめて部屋から出ていった。そんな小向を見た須川は「もしかして小向って帰るのだけやたらと早いタイプだったりします?」と隣に座っている右内に聞いた。すると右内は「確かにそうね……」と言った


「小向さんはあの件があったから色々と言えなかったのよね……」


来栖はそう言った。するとそんな会話に誰かが「まぁ小向はできる事が少ないから別に良いんじゃないか?」と言ってきた。なので声のした方向を見るとそこには佐古と須川の知らない女性捜査官がいた


「確かにそうだけど、彼女の今後を考えたらしっかりと教え込んだ方が良くない?」


女性捜査官がそう言った。するとそれに対して右内は「ええ、古市さんの言うようにこれからはそうするつもりです」と言った


「そうか。と言う事は例の件について話したのか? 小向に……」


古市と呼ばれている女性捜査官はそう言った。すると右内は「はい。本当は隠すつもりだったのですが、バレまして……」と説明した


「バレたのか。右内も来栖もポーカーフェイスは得意だろ? なのにか?」


佐古がそう言った。なので須川は「すみません。自分が原因です」と言い、小さく手を上げた。すると佐古は「まぁ、須川は隠し事とかできなさそうだしな」と言った


「ただ結果的にはこれで良かったと思ってます。どのみち、このままでは先に進めませんから」


右内はそう言い、須川をフォローした。するとそんな右内に対して佐古は「確かにそうだな。これで右内班の抱える爆弾は一つ解除されたな」と言った


『……? 一つ?』


佐古の発言に須川は引っかかり、心の中でそう言った


『一つってことは複数個あるってことか? それとも言葉の綾か……』


須川はそう考えたが、東京本部捜査一に来てからまだ二日目のため、その発言がどういう意味なのか分からなかった。なので『いつか四条さんにでも……』と思った


「それはそうと右内、事件の話になるがデカい証拠を見つけたってのは本当か?」


佐古がそう聞いてきた。なので右内は「はい。これがその証拠です」と言い、捜査用のノートパソコンを見せた。そこには被害者である坂下に送られてきていたメールが並んでいた


「坂下に送られてきたメールですか?」


須川がそう聞くと右内は「そうよ。須川君に色々と頼んでいる間に転送しておいたの」と言った


「それで、このメールは誰から送られてきたんだ?」


「それについては警察が調べています。おそらく数日はかかるかと……」


佐古の問いに対して須川はそう答えた。すると佐古は「そうか。ならその日に担当が決まるな。警察かこちらか……」と言った


「そうですね……。それで佐古さんの方はいかがですか?」


右内は佐古にそう話を振った。しかし佐古は「こっちは全然ダメだ。新しい事は何もないよ」と言った。するとそんな佐古に古市は「な〜にやってんのよ。しっかり調べなさいよ」と言い、背中を叩いた


「相手が悪いんだ。これを見てみな」


佐古はそう言うと手に持っている捜査資料を古市に見せた。すると古市は捜査資料をサッと見ると「なるほどねぇ……。良ければこの捜査やらせてくれない?」と言った


「いいけどそっちの仕事は大丈夫なのか?」


「大丈夫。今は報告書を書いてるだけだし」


古市がそう言うと、佐古は右内に「右内、八幡の捜査を古市に任せてもいいか?」と聞いた。するとそれを聞いた右内は「構いませんが、調べられます?」と古市に聞いた


「大丈夫。天草に任せるから」


古市がそう言うと右内は「そうですか……。それではお願いします」と頼んだ。すると古市は「それじゃあ出来る限り早く良い報告ができるようにするよ」と言い、この場から去っていった


「それじゃあ右内、俺達は現場の再捜査をするよ」


「お願いします」


「そこでなんだが、現場の再捜査は俺の班に任せてくれないか?」


佐古がそう言うと来栖が「つまり私は現場の再捜査から外れ、坂下の捜査へと?」と聞いた


「そうだ。右内、いいか?」


「勿論大丈夫です。では、明日からは班ごとに行動しましょう」


右内がそう言うと佐古は「分かった。それじゃあもう戻るよ。それじゃあ」と言い、この場を離れていった……


「さて、それじゃあそろそろ帰ろうかな」


右内はノートパソコンに表示されている時間を見るとそう言った。すると来栖も「そうですね」と言い、机の上を片付け始めた


『……』


「須川君?」


突然そう呼ばれると須川は「はい!?」と言い、右内を見た。すると右内は「何か悩み事でもあるの? 深刻そうな顔してたけど……」と言ってきた。なので須川は「いえ、大したことではないので」言い、帰り支度を始めた。そしてすぐに終えると二人に「お先に失礼します」と言い、捜査一専用室から出た


『危ない危ない。四条さんに話を聞くのは別の日にしよう……』


須川はそんな事を思いながらエレベーターホールへと向かって歩いて行った……


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