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頭の中には世界が広がっている  作者: 真っ赤なゴミ箱
第1章 睡眠と世界の関係性
9/50

この世界が抱える闇

まだまだこの世界は分からないことだらけだ。

アレウスが言っていたことを鵜呑みにしていくのもいいが、それだけだと少し不安に感じる。

第一、あれを見て何も思わないのだろうか?

人間なのに人間としての扱いを受けていない。

奴隷、家畜。

そのあたりと同等だろう。


むしゃくしゃする。

何故だか分からないが。

あの子に情が湧いたのか?

俺はただ出会ってついていっただけ。

それだけのはずなのに。

気が付いたら、城の方に戻っていて。

いつの間にやら、腕に何か刺さっていた。

それを抜く。

そして。



「聞きたいことがある。」



普段なら小さいはずの声が、心なしか大きくなった気がした。

俺は何を言う気だ?

変な話だが、自分でも想像がつかない。

すぐに、アレウスがやってくる。



「戻られましたか。王様。」



「それより、聞きたいことがある。」



「何でしょう?」



「あれは何だ?」



「あれとは?おっしゃっている意味がよく分かりません。」



「ひどいものを見た。下の方での光景だ。とても人間が生活できるような環境じゃない。」



「!」



「何だ?」



「今、下と言われましたかな?」



「ああ、そうだが?」



「行ってはなりませぬ。それはお忘れください。」



「?」



どういうことなのか?

忘れろだと?

何かあるのか?

隠しておきたい何かが。



そして、言葉は続く。



「彼女たちがあまりに不憫だ。せめて、普通の必要最低限の暮らしをさせてあげてくれ。」



「なりませぬ。」



「何故だ?ここには、色々なものがある。下層にも市場にもなかったものが。使わないものを分けるだけでも、彼女たちの暮らしは改善するはずだ。」



「ですから、なりませぬと、、」



「答えは、変わらんか?」



「はい。」



「分かった。やはり、俺が直接行く。」



これ以上の言葉を連ねたところで、答えは変わらないだろう。

だが、誰かが動かないと彼女たちの暮らしはあのままだろう。



そうと決まれば、またあの場所に。



周りの人たちを置いて、出口に向かって歩き始める。

目的に向かって歩き始める。

彼女たちの生活を変える。

それに向かって。

進むはずだった。

快調だった足取りは徐々に重くなっていき、ついには動けなくなってしまった。

何だ?

何が起きている?



「一回向こうに帰っていただかなくてはなりませんね。」



そう言うアレウスの左手には、小さな針。

右手には、錫杖。

周りを一瞬のうちに囲まれてしまった。

一番初めにここに来た時のように。



「心配はいりません。次来ていただいた時には、綺麗さっぱり忘れてますから。」



反論の余地もなく、全身が光に包まれた。


予定通り、次回は一旦現代に帰ってきます。

そこで何が起こるかは、次回のお楽しみに。

読んでいただきありがとうございました。

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