ミシェラとの出会い
「どうしたものか、、、」
アレウスが去って、一人となってしまった。
話を聞くと、俺はこの世界では一番の権力者にあたるらしい。
好きにしろってことか。
いいだろう、勝手にやらせてもらおう。
まずは、この世界をより詳しく知ることだ。
「どちらに行かれるのですか?」
外に出ようとした俺に見張りが声を掛けてくる。
「この世界のことをもっと詳しく知りたい。」
「それは、大変すばらしいことかと。何せここは王様の理想郷。突き詰めていけばいくほど、より良いものを手に入れることが出来ると思います。是非、道行く国民たちに問いかけてみてください。皆、王様の言葉には素直に答えてくれると思いますよ。」
「人が一番多いのは、何処だ?」
「そうですね、、、やはり、市場の方になるかと。」
「行ってくる。」
「は。お気をつけて。」
ここユーランドからそう遠くないところにある。
この世界の約半数近い人口が集まっているという市場。
名をアスタ市場という。
魚、肉、野菜などといった食べ物はもちろんのこと。
生活に欠かせない雑貨。
暮らしていく上で納めるべき費用。
その全てを行うことが出来る。
市場に入った途端、周囲の視線がこちらの方を見るようになった。
その視線の種類というのは、俺が現実世界で受けてきたものとは違う。
侮蔑。
軽蔑。
嘲笑。
そのいずれにも該当しない。
むしろその逆であった。
羨望。
そこには、それが溢れていた。
「王様がお見えになったぞ!」
「ああ、尊いお方。」
「感謝恐悦至極でございます。」
「王様だ!ああ、かっこいいなー」
年齢を問わず、誰からも尊敬される。
それはとても気持ちのいいことで、全てがプラスの方向に働く。
しかし、元々がマイナスの方向にばかり働いていた男。
違うものを見つける能力には長けていたらしい。
事実、その時も自然とそこに目がいった。
声を背中に受けつつ、自らの視線はそこに固定されていた。
年齢は、俺と同じくらい。
比較的小柄。
その明るさと、青い髪。
それも相まって、輝いて見える。
足取りは、自然とそちらに吸い込まれていき、気づくと音が消えていた。
そして、こちらから話しかける。
「どうしたの?そんなところで。」
「あんたは、いいよね。この世界の王様なんだもん。なんだってできるし、思いのまま。私達、下層の国民の暮らしなんて知らないわよね。」
「君、名前は何て言うの?」
「、、、、、ミシェラ。」
これが、運命の出会い。
ここから続く長い物語で長く過ごす仲間。
ミシェラとの出会い。
プロローグにも出てきた仲間、ミシェラが登場です。
物語にも深く関わってくる予定です。
今回の見所はそれくらいかな。
次回も楽しんでいただけたら幸いです。
読んでいただきありがとうございました。