世界の構造
目が覚めると、そこには再びあの世界が広がっていた。
空気の匂い、そこに住んでいる者。
紛れもなく、目が覚める前に見た世界だ。
となると、ここでは。
「、、王様!何をしておられるのですか?」
「ささ、早くこちらに。」
すぐ近くに、沢山の人間たちがいた。
そして。
よく見てみると。
そこは異様な光景が広がっていた。
四方を大きな柱に囲まれていて。
床一面は大理石。
その外側で人間たちが外周を囲っている。
両手は、前に差し出され、
口は、何やら唱えていた。
その少し後。
口が止まる。
両手も元あった位置に戻され、
人の囲いも散っていった。
それと同時に、いかにも権力者といった風貌の人物が近づいてきた。
口を開く。
「王よ、今回はお早い帰還でしたな。あちらでの面倒が手っ取り早く片付いたと見えまする。」
「、、、、?」
「どうされた?そのような顔をされて。お疲れでしたらば、本殿でお休みになるのがよろしいかと。」
「、、、なぁ、一つ聞いていいか?」
「は。どうぞなんなりと。」
「ここは、何だ?」
「と言いますと?」
「俺はこの世界、ここが何なのか、それが分からないんだ。」
「、、、、、また変換か、、、。」
「?」
「、、失礼。何でもありませぬ。ここが何かという質問でしたな。」
「ああ。」
「王様、貴方自身の頭の中でございまする。」
「、、、は、、」
「簡単に言えば、夢の中。そう定義した方が、王様には理解しやすいかもしれませんな。」
「じゃあ、今の俺の体は、睡眠状態にあるってことか?」
「それは、王様ご自身が、一番身に覚えがあるのではないですか?」
「、、、」
自覚があるかと、言われれば、それしかない。
頭の中。
夢。
睡眠。
この三つの単語だけで、ある程度は分かってしまう。
だが、信じたくはなかった。
これは現実ではない。
夢。
とても鮮明な。
一つの世界。
目が覚めなければ、永遠にこのままなのか?
「現実世界と夢の世界を行き来している、、、。」
「さようでございます。睡眠を極めた王様だからできたことでございます。向こうの世界の王様の待遇がどうであれ、この世界での一番の権力者は王様貴方です。気が済むまで、ゆっくりお休みください。私は、一旦公務がありますので失礼します。」
その人物は、説明を終えると、去っていこうとした。
扉に手をかけ、
振り向く。
「言い忘れておりました。記憶がないということは、私めの名前もご存じでないということ。それをお伝えします。私は、このユーランド城で王様の補佐を務めております、アレウスと申します。以後お見知りおきを。」
そう言って、アレウスは去っていった。
俺は一人残された。
小説を書いていると、突然予定にないアイデアが降ってきて、それを組み込みたくなってしまいます。
その影響で、執筆時間が伸びたりするので気を付けないと、、、、
今回のも、少しいじりました。
楽しんでいただけたら幸いです。
読んでいただきありがとうございました。