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頭の中には世界が広がっている  作者: 真っ赤なゴミ箱
第5章 終わりと再会と
50/50

エピローグ、闇の中で

健とミシェラの逃亡の果てに、世界は均衡を崩し、崩壊した。

二人の帰還は叶わなくなり、世界に闇が訪れた。

光がなくなったのである。

これにより、起床という動作の概念が失われ、ずっと夢の世界でも生活していけるようになった。

これも研究の成果だろうか。

健の貢献のおかげだ。


後の人々が調査を進めていく段階で、明らかになっていたものがある。

増幅装置の存在である。

今も応用されている。


そして、そのオリジナルが今、私の手元にある。

何故か?

あの時。

あの瞬間に。

2人に会う前に。

ひと芝居打っておいたからである。


母さんが死んだと聞かされて、動揺したように見せる芝居。

我ながら、滑稽だと思った。

こんなもので騙されてくれるのか。

相手は馬鹿だった。

簡単に引っかかってくれた。

殺気を放って、2人を追いかけるふりをした。

すぐに2人は遠ざかる。


誰もいなくなったその場所で。

おもむろに、増幅装置を被り、起動。

元々、不安定だった世界が、私の中でのみ、収束する。

こうして、まんまと帰還した訳である。


**********


目の前に2人の人間が横たわっている。

その頭に、これをつければ完了だ。

2人は、闇の世界から帰ってくる。


かぶせて、電源起動。

2人が目を覚ます。

そして。

目を見開き、こちらを見ている。

顔色は分からない。

混乱しているのだろうか。

それもそうか。

急に明るい場所に出てきたわけだから。


でも、もう大丈夫。

やっと3人で暮らせる。



「おかえり、2人とも。」



その言葉で2人が笑顔になるのが、分かった。

予め、記憶には細工を施しておいた。

母さんの脳内は、整理され、自分が一度死んだとは露ほども思ってはいないだろう。

健の脳内は、完全に大部分の記憶を書き換えた。

彼が、夢の中で関わった人々。

そのあらゆる事柄。

全て。

それを消去した。

今の健は、ごく普通のどこにでもいるような高校生に過ぎない。



「あら、貴方、もう帰ってたの?」



「父さん、おかえり。」



ありふれた会話。

家族の会話。

その中に、ミシェラという女の影はない。

今も闇の中である。



「あら、いけないわ。もうこんな時間じゃない。夕ご飯作らないと。二人ともちょっと待っててね。」



優しい母の声。

それに返す。



「ああ、健と二人で待っているよ。急がなくていいから。ほら健、こっちに。」



手招きする。



「父さん、俺ものすごく壮大な夢を見てたみたいなんだ。こことは違うもう一つの世界があって、俺はそこで王様なんて呼ばれてた。普段、喋らないから色んな人と会話できたし、楽しかった。あんな時間は他になかったよ。それに、、、その何て言うのかな、、、女の子?とも仲良くなった。恥ずかしいけど、彼女って言っていいのかな。その子の名前はね、、、。」



そこで口が止まる。

続きが出てこない。

彼女は。

彼女の名前は。

思い出せない。

何故。

何でそんな大切なこと、思い出せないんだ。

視界が歪む。

顔を手で拭う。

濡れていた。

泣いているのか?

何で?



「父さん、何でか分からないけど、涙が止まらないんだ。」



「いいよ、嫌なことは忘れなさい。」



健の被っている増幅装置に手を伸ばす。

出力設定を最大に。

これで大丈夫。

お前は、何も感じなかった。

後にも先にも、家族3人だけだ。



「これからよろしく。」



これが、今その瞬間に存在している健が聞いた父の。

最後の言葉だった。



更新ペースかなり乱れましたが、読んでくださった方ありがとうございます。

気に入ってくださった方は、ぜひ、感想と評価お待ちしてます。

次回もお願いします。

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