きっと望んだ世界
白宮高校。
歴史は古く、創設100年目になる。
男女共学で、普通科の高校。
全国の高校と比較して、偏差値はやや高め。
つまりは、進学校というわけだ。
そんな進学校に、何故いつもいつも寝てばかりいる俺が進学できたのかというと。
詳しいことは、俺にも分からない。
しかし。
ただ寝ている間でも、何故か物事を吸収できてしまう。
恐らくは、それが関係しているのだろう。
朝方も、母とそのことでよくもめているわけだし。
「おっはよー」
寝ぼけ眼、寝ぼけ頭。
その俺にかけられた言葉。
何故か俺にいつも構ってくる。
蒼井京子。
この学校で出会った。
年齢は俺と同じ。
性格は、正反対。
常に明るく、賑やか。
「お前はいつもいつも元気だな、、、。」
「健が、ぼーっとしすぎてるんだよ。もっとシャキッとしないと。」
「いつもの奴。いつもの奴だよ。とにかく眠たい。すぐ寝たい。正直、もう帰りたい。」
「分かった分かった。そんなことばかり言ってないでさ。行くよ。」
「、、、眠い。」
京子に手を引かれていく。
そして、いつの間にか教室に。
俺は、机に突っ伏す。
しばらくはこのまま。
その後、授業はつつがなく進行していき、
気づけば4時間目に。
その間の俺は朦朧としつつも、横の京子にちょっかいを出されながら、
意識を保っていた。
「ほら、頑張って。」
声も小さく聞こえる。
間違いなく、この声が無かったら、既に眠ってしまっているだろう。
ふつふつと、意識は浮かび上がったり、
沈んだり、
そしてまた、浮かぶ。
その繰り返し。
だが、眠ってはいない。
この点において、約束はたがえていないだろう。
最後のチャイムが鳴る。
京子に、手を引かれ、外へ。
途中までは、いつもこうしてもらっているらしい。
そして。
すぐ一人に。
壁伝いに行けば、安全に帰れる。
そのことは実証済み。
伝っていく。
そういえば、昨日のあれは何だったんだろう。
こことは、全く違う世界。
目が覚めたら、戻っていた。
でも、正直悪い感じはしなかった。
むしろ、好印象。
普段、寝ている俺に対して、書けられる言葉と言えば、、、
堕落。
さぼり。
無能。
怠惰。
などなど。
あまりいいものを受けてこなかった。
京子は、別として。
あの世界では、違った。
皆優しかったし、それに。
敬意のようなものも受けた。
嬉しかった。
正直言うと。
僕は、あの世界を望んでいる?
きっとそうなんだろう。
また、行きたいな。
次はいろいろ知りたい。
あの世界のこと。
もっと、、、
そう言って、僕は道端の壁にもたれかかって、
眠ってしまった。
白宮高校。
前作でも使った名前を使用しました。
名前だけであって、それ以外は関係ないです。
そもそも一応は転生ものなので、察していただければ。
主となる舞台は、高校ではないので。
そんな感じで、次回もよろしくお願いします。
よろしくお願いいたします。
読んでいただきありがとうございました。