現代と夢の狭間
そんなことを言われて、従えるはずがない。
誰かを犠牲にして、誰かを助けるなんて。
母さんは、きっとそんなこと望んでいない。
一度なくなった命は、もう戻らないんだ。
京子と距離を縮める。
そして、さっき途中になってしまった質問を再び投げかける。
より強く。
より深く。
心に訴えかけるように。
「お前は敵か?」
それに対する返答。
「私は、私は、、、貴方が好き。だから、夢の中までわざわざ追いかけてきた。貴方のことしか考えられないし、いつもそばで見ていたい。私のしたことは、ストーカーまがいでとても気持ちの悪いことかもしれない。でも、それでも、貴方が許してくれるのならば、一緒に現代に、、、この際どこでもいい。とにかく一緒に歩いていきたい。」
語られた熱い思い。
ストレートに健の心の奥深くに浸透していき、心地よかった。
現代で唯一の友人、京子。
もう一つの顔、ミシェラ。
そのどちらも好きなんだと改めて認識することが出来た。
なら、決断は決まったようなものだ。
「断る。到底無理な話だ。」
「いいのか?これは、お前のためでもあるんだぞ。母さんに会いたくはないのか?」
健は歯を食いしばる。何を言われても聞かない。
そう決めた。
「見てみろ、周りを。どんどんノイズが広がって、大きさもさっきより明確になってきている。今のこの世界が不安定な証だ。どちらの世界に収束するのか決めねばならない。でないと、バランスが崩壊して、現代と夢の狭間に取り残されるぞ。それでもいいのか?」
「京子がいるなら、何処でも構わない。」
その瞬間、自分の近くにもノイズが発生した。
見える景色が狭くなり、目の前の男も気配は感じるが見えなくなった。
ただ一つ。
京子だけは、すぐ近くに感じる。
「それだったら。俺は、どうなる?」
目の前の男の声。
「俺は、帰れないのか?ずっと夢の世界のまま?現代には帰れない?ふざけるな。」
「無理やり奪ってやる。」




