お前は、敵か?
「貴方のことが気になっていた。いつも眠そうにしてた貴方。誰も気にかけてなかったけど、私だけ。私だけとは、喋ってくれてたよね。理由はそれ以上でもそれ以下でもない。好きになるのに御託はいらないと思う。その思いを認識出来てから、貴方と話すのがもっと楽しくなった。だから、貴方の母親が使っていたと思われる増幅装置を利用させてもらった。」
「ちょっと待て。母さんが使っていた?」
「そうよ。」
「じゃあ、元凶は母さんなのか?」
「そうなるんじゃない?少なくとも、私は悪いことは何もしていない。やったことと言えば、貴方のスマートフォンに勝手に私の連絡先を追加したくらい。別にいいでしょ?」
「これは俺の持ち物じゃない、、、」
「なら、貴方の母親が勝手に持たせてたってことになるわね。まぁ。何はともあれ。利用した。」
「そして、私は貧民として、貴方の世界に転生した。」
「ミシェラとして。」
「、、、、、、」
今何を言われたのか理解できなかった。
ここまでの理解率は、半分以下に近いが、今のは。
だったら、俺は。
何だ。
俺は、ミシェラが好きだ。
ミシェラ=蒼井京子
この方程式なら、俺は蒼井京子が好きだということになる。
それは正しいのか?
今まで、気づかなかったはず。
現代の蒼井京子と。
貧民のミシェラ。
似ても似つかない。
目の前の人物を見つめる。
少し長めの深呼吸。
呼吸を整え、整理。
「一つ、一つだけ聞く。」
「お前は、敵か?」
「私は、敵、、」
言葉が止まる。
違う気配がまた一つ。
振り返る。
「結末を迎えよう。」
男が立っていた。
警戒を強める。
男を睨みつける。
このノイズの状況下、また人間が出てきた。
こいつは普通ではないはずだ。
誰だ。
「久しぶりだな、健。」
少し穏やかな声。
発された自分の名前。
でも、この男が誰なのか分からない。




