決意と覚悟
それが母だと理解した。
理解したくはなかったが、そうするしかなかった。
母を抱え、しっかりと顔を見る。
そこに生前の面影はなく、冷たさを感じた。
「何なんだよ、、、これ。」
「どういうことだよ。」
声は周囲に反響し、戻ってくる。
返事はなく、受け取るのは自分一人。
孤独だ。
そう感じた。
俺は何をしていたのか。
皆は何をしていたのか。
そこでふと、思い出す。
ミシェラは?
彼女に会いたい。
慰めてもらいたい。
もう忘れていたい。
こんなこと。
「ミシェラ、、、」
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ミシェラもすぐに異変を感じた。
周囲にノイズが走り出したかと思うと、次の瞬間、別の場所にいたからである。
いや。
ここがどこなのかは、彼女自身は分かっていた。
現代だ。
何故か強制的に帰ってきていた。
ということは、必然的に。
この姿を健に見られるのはまずい。
そういうことになる。
ひとまず隠れなくては。
事態の把握が最優先だ。
**********
その部屋の主は、微動だにしなかった。
一点、写真の中の文字を見つめ、考え込む。
紅林。
その二文字の持つ意味は、私にとっては、命よりも大事なもの。
この瞬間のためにあったんだろう。
ノイズと共に、異なる世界が混じる。
この体が再び家族のもとに会いに行くには、これしかないのだ。
椅子から立ち上がる。
正面の大きな扉に手をかけ、開いた。
再会するために。
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母の亡骸を戻す。
手を握りしめて、再確認。
今すべきは。
ミシェラと合流
彼女は?
位置関係的に、外。
「母さん、ごめん。今は。」
その言葉と共にその場を後にした。




