夢、悪夢
「お主が慕っておる者がおるじゃろう?ほら、城の片隅に住んでるとかいう、、」
「、、、ご存じなのですか?」
「ああ、あの者は前の変換で王になったものだからな。今は落ちぶれて、あの様というわけだ。」
「、、、」
「ところでどうなんだ?王の正体、知りたくはないのか?」
「知ってどうにかなるものでもないと考えます。それは私の手の及ばない範疇かと。」
「、、、そう、、か、、」
アレウスの纏う空気の流れが変わる。
内側に潜む悪意を感じる。
次の瞬間。
背後から声がした。
「お前には知ってもらう必要がある。」
アレウスだ。
今のは分からなかった。
突然視界が歪んだかと思うと、その一瞬で。
かなりの練度だろう。
アレウスは本気のようだ。
「何を知る必要があるというのですか?」
「健だよ、王っていうのは。」
「それだけですか?」
「いや、まだだ。お前これが何を意味しているのか分かっているのか?」
「、、、ですから、意味が分かりません!」
「健と私は血縁関係にあるんだよ。それにここの世界の住人じゃない。」
「、、、は、、」
「お前たちには魂なんてない。ただの夢さ。寝ているときにだけ、発生する儚い時間。すぐ忘れる。そんなものだ。」
「私には、意思がない?」
「そうだ、本当に分からなかったのかね?」
「私は、何処にいるんですか?」
「何処にもいない、イレギュラーだよ。これは。健の行動からも明らかだったろう。」
「私は、何だ?」
「この世界の認識の王という存在は尊く有るべきものだった。でも、健の行動は異常だっただろう?」
「分からない、何も分からない。」
「下層の住人を憐れみ、手を差し伸べようとした。お前もそれを見たんだろう?」
「、、、、、、、」
「そのイレギュラーがこの世界の住人にも影響を及ぼしている。お前がそっちについたのも道理だろう。」
私は、夢?
この世界は、ただの夢で現実じゃない?
儚い時間?
今まで生きてきた意味って?
殺された家族を糧に復讐の日々だった。
その為に兵士になった。
その時間は無駄だったのか?
それとも、無駄なのはこいつじゃないのか?
目の前で訳の分からないことを論じているこいつ。
こいつが消えれば、この悪夢も終わるはず。
気づくと、意識は濁り、制御がきかなくなっていた。
右手は刀の柄に伸び、視線は目の前。
そのまま振り下ろした。
かなり好みの展開。
皆さんはどうだっただろうか?
楽しんでいただけたら幸いです。
読んでいただきありがとうございました。




