迷い込む
俺は寝た。
そのはずだった。
なのに。
目が覚めたら、そこには違う世界が広がっていて。
何が何だか分からなかった。
まずは、ここが何なのか知ることから始めないと。
道行く人たち。
通りで、商売をしている人たち。
はたまた、そのどちらにも該当しない人たち。
答えは誰に聞いても同じだった。
「へぇ?あんたか、この世界の持ち主は。」
「あまり理解していない口だな。」
「ユーランドに行ってみるといい。」
ユーランド。
この世界の中枢都市。
商業、工業などといった商いの全てを担っており、
面積に占める人口の割合も最も多い。
人種は多岐にわたり、普通の人間は勿論として。
ドワーフ、エルフ、リザードマンなどが共存して生活を営んでいる。
男女比は、4:6でやや女性の人口が多くなっている。
そんなユーランドに、足を踏み入れた瞬間。
先ほどまでとは、空気が一変した。
他の人たちの見る目が変わり、
まるで、崇拝するかのような。
それでいて、扱いは丁寧に。
位で言うと、まさに頂点。
その待遇を受けた。
「あの、ここはどこなんですかね?」
大門の前で、見張り番をしているうちの一人に尋ねてみる。
すると、彼の顔はたちまち青ざめ、ひたすら首を下げようとした。
「ああ!滅相もない、、、王様、私なぞに話しかけるのはおやめください。」
「、、、王様?どういうこと?」
「ああ!記憶がまた飛んでいらっしゃるのか!でしたらば、この大門の向こう側へ進んでいただき、思い出したいただくのがよろしいでしょう。」
「さぁ!」
頭を下げていた割には、なかなか強引な奴ではある。
しかし。
この向こうに、求めているものがあるならば、進むほかないだろう。
先へ進んでいく。
その大きな扉からは、光が溢れ出ており、
中で何が待っているのかと内心楽しみにもさせられる。
扉の前に立つ。
手をかける。
ゆっくりと。
慎重に。
開けていく。
全身が光に包まれる。
視界が、一瞬だけ暗転し、再び戻る。
目を開けるとそこは。
いつも寝起きしている自分の部屋だった。
まだまだこれからといった感じですかね。
どんどん面白くしていきたい。
読んでいただきありがとうございました。