冷たい感触
人目を気にしつつ走る。
走る。
なるべく速く。
事実を伝えるために。
下層を突破し、
アスタ市場へ。
周りの買い物客。
その店の従業員。
皆がこちらに視線を向ける。
何事だといった様子。
それにもなりふり構わない。
全てを置き去りにして。
ただ一人。
ユーランド城へ。
「長かった、、、」
一人呟く。
その声は自分一人で消化され、誰にも届かない。
城前には、見張りが複数。
さらにその奥の大門前には、見張りが二人。
近づく。
見張りがこちらを睨んでいる。
その距離。
わずか3メートル。
近い。
見張りに対して、口を開く。
「王様に会わせてください!」
見張りは、顔をしかめて。
「お前、ここが何なのか分かってるのか?」
「王様がここにいらっしゃると。」
私の話す言葉は、全て口から出まかせだ。
だが。
可能性が1パーセントでもあるのなら、それに賭けるべきだ。
失う物なんてないのだから。
「早く帰れ。ここはお前のようなものが来るところじゃない。」
「帰りません!」
「いい加減にしろ。捕まりたいのか?」
「会うまでは帰りません!」
「、、、もういい。捕まえろ。」
見張りが近づいてくる。
これで良かったのか?
あの人に会える?
これで、、、?
「よい。その者を解放しろ。」
その声の発信源。
大門から出てきたアレウス。
ゆっくりと近づいてくる。
「しかし、、、」
見張りが言いよどむ。
そこにアレウスが。
「君こちらに来なさい。」
何故か呼ばれる。
成すすべはない。
近づく。
「アレウス様、危険です!」
「構わん。」
アレウスの前へ。
「解いてやろう。」
見張りたちによってつけられた縄を解いてもらえる。
そして、冷たい感触。
一瞬だった。
「さぁ、もう帰りなさい。」
一見温かみを感じるが、背後には。
それを忘れないようにして、頷く。
「ありがとうございます。」
何事もなく帰路に。
だが、結局王様には会えなかった。
割と重要な回です。
何処が重要なのかは、後々分かるかと。
読んでいただきありがとうございました。




