必ず守る、もう繰り返しはしない
思い出すのは、あの日の光景。
何度も忘れようとしたけれど、頭にこびりついて離れない。
皆の顔が、声が。
何もできなかった。
一目散に逃げた僕は、物陰に隠れ、息を潜めた。
剣を振るうのは、熟練の戦士たち。
それに対するは、何の力も持たない貧民たち。
かつての僕もその一人。
僕の家族は皆一夜にして殺害された。
父は、生きたままで首を切断され、そのまま放置された。
母と姉は、欲に飢えた兵士たちに犯され、汚された。
ひとしきり己の欲を吐き出した兵士の一人が、用済みとばかりに、母と姉を向かい合わせにし、こう言った。
「お前たちの父ちゃんは、死んじまったなー。かわいそうにかわいそうに。よくあんなことが出来る奴がいたもんだ。でも、僕は違うだろう?現に、君たちには優しくした。女としての喜びが分かったんじゃないか?二人とも良かったよ。そこで提案だ。今から、二人ここで殺しあえ。残った方は生かしてやるよ。さぁ!」
その一部始終を僕は見ていた。
後ろで父が倒れ、その前で母と姉が兵士たちにいいように犯される。
そして、今度はなぜか母と姉が向かい合わせになり、手には兵士たちからナイフを握らされていた。
もう。
無理だ。
これ以上は。
もう。
やめてくれ。
今度は、何をさせる気だ?
「カリーナ、ごめんね。こんなことになって。でも、しょうがないわよね。きっと私達こうなる運命だったんだわ。生きてるだけで、酸素を無駄にしてる。王族には、別の世界があるのよ。私達とは相いれない。同じ人間だけど、根本的に違う。」
「お母さん、、でも、でも。私のこの気持ちは本当なんだよ。私は彼を愛している。心の底から。誰よりも。この気持ちに変わりはない。たとえ、ここで死ぬことになったとしても。」
「死ぬのよ?それもこれも全部あなたのせい!そんなものなければ、私達まだ幸せでいたかもしれなかったのに!いい?私はまだ死にたくなんかないの!生きるためだったらなんだってする。カリーナ、貴方を殺すわ。」
「お母さん、、、」
先に母の方が、ナイフ片手に駆け出した。
姉の方はまだ踏ん切りがついていない。
穴の体にナイフが刺さる、その瞬間に。
周りにいた男たちが、一斉に銃を構え、掃射。
一瞬にして、母と姉だったものが砕け散った。
残ったのは、兵士たちの笑い声。
「なわけねーだろ?馬鹿が。」
これは、夢だ。
きっとそうだ。
僕はたまらず駆け出した。
光景だけは、忘れない。
あの兵士たち。
王家直属。
泣いてはいられない。
人間は、ここで二つに分かれるだろう。
逃げる人間と立ち向かう人間。
僕は、立ち向かった。
日々鍛錬し、復讐に向けて。
そして、今に至る。
今監視している二人は、あの時の姉と同じ構図だろう。
まだぎこちないが、彼らはより深く惹かれていくはずだ。
もう繰り返さない。
二人には、指一本触れさせない。
これが最終段階。
鍛錬し、鍛錬し、王家に注目されるレベルにまで至る。
自身が直属となり、近い位置に。
誰にも知られてはならない。
目的を遂げるまで。
彼、ブルームウッドの真の目的は王家の壊滅。
ユーランドを破壊する。
彼は味方だった。
彼の過去とともに、そこに至るまでの過程を書きました。
熱が入りすぎて、本当の主人公を一時忘れてしまうくらいです。
気を付けます。
また次回。
読んでいただきありがとうございました。




