愚痴を文章に昇華しただけの駄文
一人の話し声だけが教室に響く。
自分の意見を押し付けるために訥々と語り続ける教師と、誰一人として話を聞こうとしない生徒たち。
これが日常。
必要以上に英語交じりの現代文の授業。お世辞にも綺麗とは言い難い黒板の字。生徒たちは皆、他教科の問題集を広げ、普段文句を言うわりにその点は進学校らしい。
クラスの何人が穏やかな寝息を立てているのだろうか。現代文に限ったことではないが、寝てしまうのも仕方ない気がする。
一方的に押し付けられる価値観。申し訳程度の肯定で逃げ道を作り、否定に否定を重ねていく。まったく進まない授業。考査は一週間後なのに、それでいいのだろうか。
数人が睡魔に魅入られた教室で、この人はいつまで話すのだろう。
何人減るまでこの人は自分の語りに酔い続けるのだろうか。
逆に、もっと人が増えたら怖気づいて話すのを止めるのか。
ふとそんなことを思った。
内容が一区切りついたのか、教師は生徒たちに意見を募り始める。
生徒の誰からもまったく敬われていない姿はいっそ哀れにも思えた。
授業はあと三分。生徒たちの意見を見当違いに纏め上げながら、無意義にも思える締めの言葉を述べ始める。
話を遮るように電子音が響いた。チャイムは生徒の味方だったようだ。
形だけの礼をして、気付けば教師は居なくなっていた。