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にくきゅう薬局  作者: 渋谷 春
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第30話 秘密は誰にでも…

「まったく、ほんとに使えないんだから!」

荒々しい口調にはさっきまでのおとなしさは見られない。その場にいる全員がこの状況をすぐに理解できなかった。

「あの、状況がよくわからないんですけど…」

「ああ、この駄犬を辱める動画を撮ろうと思ったんだけど、あんたがカメラ発見したから全部おじゃんよ。」

「え、あのすみません、播磨先生と王子先生の関係って?」

「こ、恋人です…」

王子先生が蚊の鳴くような声で答えた。さっき犬扱いされていたような気がするが…。

「ったく、こいつが最近私に反抗してくるようになったからさ!先生に相談してみようと思ったんだけど、全然返信返してくれないしよー。」

…すみません。多分それについては何も答えられない自信がある。

「先輩ならいける気がするんですが…」

どうやら心の声を口に出してしまっていたらしい。だけど北畠君は私のことをどう思ってるのかしらねえ…。そう思いながら彼の方を見るとすぐに目をそらされた。そのとき一つ気になることを思い出した。


「あれ、そういえば王子先生が相談したかったことってもしかしてこのことなんですか?」


「は、はい。ぼ、ぼくちょっと怖くなってきちゃって。あと先生には彼女のこの性癖どうすればなおるか相談したかったんですけど…」

…なんてこった。私としたことが完全に読み間違えてた。やっぱり先入観はよくないわね。

そういえばメールには確かに2人きりとは書いていない。読みようによって誰にも相談したくないことを相談したとも読める。私もまだまだだということね。

「ちょっと、何一人で納得してるんですか! 二人とも、自分がやったことについてちゃんと反省してるんですか?!」

阿倍野先生はかなりご立腹の様子だ。

「まあまあ。誰も被害者なんていないじゃないですか。ここは注意で済ませましょう。」


来摩先生が穏やかな口調で言った。

「来摩先生まで何を言ってるんですか!この二人がやったことは明らかに教師として問題でしょう! 神聖な学校であろうことか、せ、性行為を…なんて!」

少し顔を赤らめながら阿倍野校長が言っているが、やめてほしい。やるなら40年前くらいにやってくれ。

「先輩、また声が漏れてますよ…。」

「え、マジで!」

阿倍野先生の方を見るとこちらを睨んでいるようだ。これは早く話題をそらさないと。


「ま、まあ私も別にいいと思いますよ。人間だれしも触れてはならない部分もありますし。」


「何を言ってるんですか!間違いは正すべきでしょう!」


「阿倍野先生、政治でも教育でもどの業界でもどこでもすべて正直に話す必要なんてないんですよ。よ。都合が悪かったらなかったことにすることも大事ですよ…。」


「何言ってるんですか!教育者として許されるわけないでしょう!!ほかの皆さんもそう思いますよね?」


「は、はい」「まあ確かに」様々な反対意見がちらほら聞こえる。


「あれ~みなさん自分のことは棚に上げてそんなこと言っちゃってもいいんですか?例えば、そこのえ~と名前はまあいいや。奥さん自分の元教え子でしょう?しかも条例を破って相手が女子高生の時に…。」


「私も問題ないと思います。我流先生や来摩先生のご意見に賛成です。」


「ちょっ!あなたまで何を言ってるんですか?」


「悲しいことに人には誰しも秘密があります。例えばそこのあなた!今のお子さん、あんまり夫に似てないみたいですね~。どちらかというと夫の友人に似…」


「わっ私も問題ないと思います。」


「あ、あなたまで…。みなさん、恥ずかしくないんですか!」


「阿倍野先生そんなこと言っちゃっていいんですか?前に、この学校の生徒がコンビニで万引きしたのをばっちりカメラに取られてたのに知らない生徒ですって言ってもみ消したのばらしますよ?」


それを言うと阿倍野先生は一気に顔が青ざめた。


「な、なぜ、あなたがそのことを…?」


「まあ、いいじゃないですか、そんな些細なことは!今日はもう遅いので厳重注意で済ませましょうよ!」


「くっ! ま、まあしょうがありませんね。王子先生、播磨先生も以後気を付けるように!!」


「は、はい」「分かりました…」

二人は少し落ち込んでいるようだ。ここは少し慰めといた方がいいかもしれない。ある意味被害者だし。


「まあ、二人もこれからは他人に迷惑にならないようなことで楽しみなさいね。」


「…というかもともと我流先生がカメラ見つけなきゃこんなことには…」

ぼそっと王子先生がつぶやいた。


「うっさいわね! あんたはせいぜい自分の部屋の玄関かベランダ、もしくは山か海の中でやってスリルでも味わっときなさい!」


「あなたたち!!もう今日は終わったんだから早く帰りなさい!!」

阿倍野先生は鬼のように怒っていたので私はさっさと部屋から退出した。



②❾〇


「いや~何とかなってよかったわね、北畠君。」


そう言いながら肩に手を置くが、彼の顔はあまり喜んでいるようには見えない。


「先輩、あの、明日から僕はどうしたらいいのか…。」


そういえば今日は彼は性癖やオタク具合を暴露されていたんだった。これは下手をするとほかの学校の教員たちにも知られるかもしれない。


「ま、まあ最悪の事態は避けられたんだし…。それに秘密を持ってるのはみんな同じなんだから気にすることはないわ。それにあなたの2次元の女の子が好きなんて珍しくないわよ!大学の頃の後輩にエロゲーやってたりする子もいたし、他にも女性のエロ漫画家もたくさんいるし…」


必死にフォローしたおかげか、彼も少し明るい顔になった。


「そ、そうですかね?」


これはあと一息か!


「そうそう、逆に知られてよかったんじゃないの?これで同じ趣味を持つ人たちと仲良くなったり、もしかしたら恋人とかできちゃったりとか?」


「ほ、本当ですか!し、信じていいんですよね?」


「ええ、世界には35億人は女の子いるから一人くらい…」

美夜は遠くを見ながら言った。

次からまともな話にもどせる…気がする

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