番外編『名無しの開発者Aの日記帳』
『次は恋愛シュミレーションゲームを作ることになった。おかしい。俺は昨日やっと仕事が終わって今日は休日のはずだったんだが。なんで会社に呼び出されてるんだ。そもそも恋愛シュミレーションってどういうものなんだ。俺恋愛とかしたことないし。エロゲーならやったことあるけど同じイメージで作っていいんだろうか。』
『滅茶苦茶ツッコミ来たけど恋愛シミュレーションなんだな。馬鹿な俺も悪いけど来たコメントの半分以上がこれの指摘ってどういうことだよ。お前らそんなにシミュレーション好きか。まあ冗談はこれまでにしておすすめの恋愛ゲー教えて貰えないだろうか。参考にしたい。』
『お前ら情報ありがとう。調べたら3分の1ぐらいエロゲーだったけど。エロゲー参考にしていいかって上司に聞いたらめっちゃ怒られたんだよ。なんでだろうな。とりあえず教えてくれたやつの中から評価高そうなのを何個かやってみる。』
『実況はよとかコメント来たけどこういうゲームってプレイ動画ですら怒られるだろ。無責任なことを言わないでくれ。とりあえず5個買ってきてみたが結構値段が張った。今月はもやし暮らしかな。』
『すごかった。恋愛ってこういうものなのか。青春ってこういうものだったのか。今では戻れない学生時代というものにこんなにもあこがれを抱くことになるとは思わなかった。学生時代早く学校終わんねえかなとか思ってた俺は間違ってた。現実とゲームのギャップがしんど過ぎて死にそうだ。次が更新されなかったら死んだと思ってくれ。』
『生存報告。すまんお前ら。忙しくてブログ全然更新できなかった。というか正直ガチで心配してくれてる人多くてビビった。ありがとう。普通にありがとう。忙しかったっていうのも恋愛ゲー製作が本格的に始まってきたからなんだけど。それぞれの意見がバラバラで思った以上に難航してる。これ本当に作れるんだろうか。』
『設定より先にイラストが先に出来上がった。大丈夫かこれ。いろいろ間違ってないか。でもイラスト可愛い。俺は聞いたことないけど結構有名な人のイラストらしい。検索掛けたらガチで有名な人らしいことが分かった。なんでこんな底辺みたいなゲーム制作会社の依頼を受けてくれたんだろう。』
『お前ら絵を見せろとか書いたの誰だとか言うけど。それ載せたら俺多分首になるからね。さすがにそれは無理だ。すまんなお前ら。だが喜べお前ら。次のブログで俺がそのイラストを本気で模写してきてやる。』
『この記事は削除されました。』
『えっと。なんか前回のブログ俺の絵がうますぎて普通にやばいって指摘をかなり受けたので消したわ。そんなにやばかったかな。正直お前の絵下手過ぎて全然わかんねえよ見たいなコメント期待してたんだけど。普通にバンバン絵師さんの名前当てられて割とビビってるんだけど。むしろお前が描けとか言われて笑ってるんだけど。』
『お前らのコメント通りに上司にこの前のイラスト見せてみたら引かれた。試しに表情差分書いてみろって言われたんだが。表情差分ってなんだ。いろんな表情書けばいいのか。なんで俺こんなことやってるんだ。お前らコツみたいなのあれば教えてくれないか。』
『お前らに教えて貰った通りに書いたやつを上司に持っていったら。そのまま上司に持っていかれた。何かやらかしただろうか。よくわからない。ゲームの設定もほとんど進んでいない。もうわからない。』
『やっとそれなりにヒロインズの設定が決まった。一途な子とクールな子と繊細な子。いい感じじゃないだろうか。なんか上司がこれイメージで立ち絵書いてみろとか言ってきた。場合によっては報酬が出るらしい。お前ら俺に力を貸してくれ。』
『お前らのアドバイスのおかげでなかなかいいイラストが出来上がった。でもクールな子の私服の案をだれ一人出してくれなかったのはどういうことなんだ。そんなに制服似合ってたかこのキャラ。』
『報酬出た。やったぜ。ていうか薄々気づいてたけど。これ俺のイラストがゲームに使われるのかね。そう考えると恥ずかしくなってきたな。まあこのブログみてる稀有なお前らは一つ前の記事でイラスト載せてるからいつでも見れるぞ。』
『サブキャラの立ち絵まで俺が描くことになった。俺の職業って何だっけ。イラストレーターだったっけ。ゲーム作ってる感ないんだけど。』
『久しぶりにゲーム制作側に顔出したら。なんかヒロインズの性格がやばいことになっているような気がする。大丈夫かこれ。俺が作ってるのって恋愛ゲーだよな。』
『これは。恋愛シミュレーションの皮をかぶった別のものだな。俺が必死にイラスト書いている間に何があったんだ。まあいいか。売れなくても知らんからな。』
『一応学園恋愛物のはずだが。このゲームは青春って感じじゃない。このゲームに青は似合わない。黒か赤ってところだと思う。黒春に赤春。なんかかっこいいな。』
『お前らに質問なんだが。負傷した女の子の描き方わかるやついるか。いやお前らの言いたいことはわかる。俺も今どこに向かってるのかわからなくなってきた。元からやばいとは思っていたが。さらにやばくなっていっている。俺の一存で止められるような役職ではないから。もうどうしようもない。会社の狙いが分からない。炎上商法か。』
『久しぶりだなお前ら。元気してたか。ゲームが大体完成したぞ。お前らが買うか買わないかは自由だが一つだけ忠告だ。あれを恋愛ゲーだと思って買うな。多分死に覚えゲーとして買ったほうがまだ近いと思う。ごみのような難易度だがなんとか一つだけハッピーエンドは死守した。ヒロインは選べねえけど。』
『初回特典の設定資料集をなぜか俺が書くことになった。なんでなのか全く分からない。理由を聞いたらイラストを描いたからだと言われた。まず書くと描くの違いを分かってほしい。』
『そもそもの話をさせて貰えば。今回のゲーム制作で俺ほとんど絵をかいてたから。ゲームの設定とかよくわかってない。わざわざ他の人に聞いて俺が書くのか。二度手間もいいところだろ。』
『設定資料集の内容が薄いって上司に怒られた。仕方ないから適当に設定何個かでっち上げたら普通にOK通った。ゲームで確認できない設定は大体俺がでっち上げたと言っても過言ではない。そもそもこういうのは俺の仕事じゃない。まあいいや今日は久しぶりに家に帰れそうだ。この資料を渡して俺は帰る。誰にも邪魔させない。』
『じょうしにこのぶろぐのそんざいがばれた。』
死んだと思われた開発者Aだったが
後日『瀕死の開発者Aの遺言書』という
同一人物が書いたと思われるブログが上がっている。