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マルチ商法にはまった世界での青春
あの日、あの時追いかけた夢が間違っていたと今の自分なら冷静に判断できる。
あの時の自分にはそれが出来なかった。
追いかけることで、不幸に、貧乏になっていく友。
そして、自分も。
思い出すたびに後悔する。
あの時の自分を呪い殺したくなる。
いまから戻ることも出来ない過去。
過去は変えられない、未来は変えられる。
誰かがそんなことを言ってた。
そして、僕もそれを信じていた。
けれど、僕が信じていたのは中身のない空っぽな夢だった。
今でもたまに夢を見る。
僕は間違っていたのだ、そして間違ったことをしたために、多くの人を巻き込み失敗させた。
「あの時は一生懸命やってたんでしょ」と言ってくれる人もいたが、一回り生きてきての感想は、あの時僕はやるべきでないことにのめり込み、多くの人を傷つけ、失敗した。