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昔々ある国に大層美しい娘がいました。

娘のあまりの美しさから求婚者が後を絶ちませんでした。


ある時、村長の息子が娘に求婚しました。


そこで娘は森の奥深くにひっそりと暮らしている魔法使いの家のドアを叩きました。


魔法使いは娘を見ると言いました。

「どうしたのですか?娘さん。僕に何か用ですか?」


娘は言います。

「私は求婚をされて悩んでいます。私は真実の愛が欲しいのです。求婚者が本当に私を愛しているのか確かめたいのです。どうか私に真実の愛を確かめるために魔法をかけてくれませんか」


“世の中の人のために魔法を役立てよう”という志を持った魔法使いでしたので

「わかりました。協力いたしましょう」

と、魔法をかける事にしました。



魔法使いの所から返った娘は間もなく病にかかりました。

娘の顔は見るに耐えないぐらいにただれ、かつての美しさは見る影もないぐらいに醜く変貌してしまいました。

娘の姿を見た村長の息子は言いました。

「悪いけれど僕は人並みの容姿の娘じゃないとごめんだよ」


そして村長の息子は並みの容姿をした他の村娘と結婚してしまいました。



娘が手作りのパイを持って、魔法使いの家のドアを叩くと魔法使いが出てきて、娘にかけた魔法を解いてくれました。娘は元の姿に戻りました。


魔法使いは言います。

「これで良かったのですか?娘さん」


娘は答えました。

「構いません。真実の愛ではなかったのです」




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