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アイリ・ハルスカイネ

それが私に与えられた名前。王族の次に権力を持つハルスカイネ大公の五女としてこの世に生を受けた。

政略結婚の枠から外れ、自由気ままに人生を楽しむこと18年。そろそろ身を固めなさいと父様に言われつつ王城で王族付きの侍女として働いて2年。

そう。私は人生を清く美しく、自由に生きてきたはずだ。

はずなのに。




何だこの状況…可笑しいわ。

お腹に押し付けられた頭。細いながらも筋肉が程よく付いた長い腕は、私の腰を抱いて離さない。

落ち着くのよ、私。

状況を整理しましょう。そう、それがいいわ。




ー今朝。

現国王の妻、つまり王妃付きの侍女として働く私は、いつものように王妃様を起こしに3回目の鐘が鳴る少し前を見計らって侍女室を出た。

歯車によって時を刻む時計という道具でいうと、3回目の鐘は10時に鳴る。

ノックをすると、どうぞと小さな声で返事が返ってきた。王妃様は侍女が起こしにくる前にはいつも起床されている。深呼吸をして侍女服のシワを伸ばして扉を開いた。


「おはようございます。王妃様」

「おはよう。アイリ、良い朝ね」

「そうですね」

何気ない会話を交わしながら、着替えをお手伝いする。着替えの全てを侍女に任せる令嬢がいる中で、王妃様は基本的に御自分でなさってしまう。そのため、私は最低限のお手伝いをしているだけだ。

「本日は謁見の間でご公務がございますのでお早めの昼食となりますが、朝食はどうなさいますか?」

「そうね…果物を少しいただけるかしら?」

「かしこまりました。では、少々お待ちください」



ここまでは、公務のために少し忙しいということ以外、いつもと変わらない朝だった。


問題はこの後だったと思う。



「公務が終わったら、カイに会いに行くわ。用意しておいてくれるかしら?」

カイ、というのは王妃様のご子息であり、リドネ王国の次期国王である王子様のことだ。

「はい。かしこまりました王妃様」

「ありがとう、頼むわね」

はいと返事をすると、王妃様は満足したように笑ってご公務へと向かわれた。

ご公務も、王妃としての仕事も完璧にこなす王妃様だけど、どこか王妃らしくない彼女が私は大好きだ。



「侍女頭が怪我?それ本当なの、ドロテア」

「ほんとよ。詳しいことは聞かされてないけど、なんでも足の骨を折ったらしいわ」

王妃様の願いを叶えるため、侍女頭に王子様の従者の方への謁見の許可をいただこうと思ったが、探し人は見つからず途方にくれていたとき、いきなり入ってきた情報に私は困惑した。

同僚で友人のドロテアは王城でも指折りの情報通だ。(もちろん城内のことに限るが)彼女の言うことに間違いはないだろう。

「そう…どうしましょう。困ったわ」

「どうかしたの?侍女頭に急用でもあった?」

「ええ。王妃様がカイ王子に会いに行かれるとのことだったから、ご公務が終わる時間帯に王子が何をしているか知りたかったのよ。それで侍女頭にエイナリ様への謁見の許可をいただきたかったのだけど…」

エイナリというのは、王子様の従者をしておられる方の名前だ。長兄の友人ということで面識がないわけではないのだが、今はただの侍女でしかない私がエイナリ様に無闇に話しかけることは憚れる。

「エイナリ様?あの方なら確か、」


「僕に何かご用ですか?」


王子様登場しなかった…。次こそは登場すると思います!……たぶん


見切り発車ですが、楽しんで最後までかけたらと思います。

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