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サンパチ

作者: 抹茶ラテ
掲載日:2026/06/27

またまた目に留めていただきありがとうございます!!

以前一度投稿したんですが秒で閉じて、少し修正しましたので再度アップしました。


また秒で閉じるかもしれませんが

よろしくお願いします


偏差値も顔面偏差値も平均以下のモブ属性の主人公が告ります。

さてさて!



高校卒業を間近に控えた、

放課後の教室。


映画のようにたまたま居合わせた、二人きりのタイミング。

僕は意を決して、彼女に告ろうとした。


「好きで」


「あはは、まって!マジ? ごめんサンパチ。ちょいタイプじゃないの。惜しいのよね!!ふふふ」


「す!?、、サ!?ぇ!?」


如月美咲は告られ慣れているせいか、言い終える間もなく笑いながらフッた。

三年間、ずっと片思いしていた学年一の美少女。


「サンパチ……?」


「いつも寝癖で、偏差値も顔も平均以下みたいな!?ぜんぶ『サンパチ』だって♡♡って私はそこまでは思わないけど言われてるよ♡でも響き可愛いじゃんサンパチって!一度呼んでみたかったんだよね♡ふふふ」


彼女はスカートを軽やかに翻し、楽しげに笑った。


「じゃあねサンパチ!ガンバレ♡」


ローファーの音が遠ざかり、教室に残されたのは夕焼けと、胸を焼くような虚しさだけだった。


(……はぁ、マジかよ)


勢いで告白したし、振られるのはわかっていたけれど、ガチで心にクルものがあった。

僕はふらふらと教室を出て、気がつけば近所の公園のベンチに座り込んでいた。


気づくと、あたりはすっかり暗くなっていた。

途方に暮れすぎて、スマホの画面はもう20時を過ぎているのに、誰からも通知はなくてさらにへこみ

トボトボ重い足取りで帰ろうと信号のない横断歩道を俯いたまま歩いたその瞬間——


キキィィッ!!ッギギギーーーーーー!


ヘッドライトが視界を真っ白に染め、巨大なトラックが迫る。

身体は動かず、ただ「んーあー終わった」と




鈍い衝撃。世界が歪み、熱い血の匂いが鼻を突いた。

意識は深い闇の底へ落ちていった。


---


「パパー、起きて。もう朝だよ?」


柔らかい声に瞼が開く。

そこには、なぜか懐かしくて見覚えのある感覚があった。


陽光がたっぷり差し込む、温かいマンションの一室。エプロン姿の妻が、優しく微笑んでいる。

どこかで見覚えがある——いや、知っている。この人は僕の妻だ。


「ほら、子どもたちが先に起きちゃったよ」


布団の端がもぞもぞ動き、二つの小さな身体が飛び込んできた。


「「パパー! おっきしてー!」」


男の子は僕にそっくりで、女の子は妻にそっくりだった。三歳の双子、蓮と葵。

僕は自然と腕を伸ばし、二人を抱きしめた。


ふわふわの髪、ミルクのような甘い匂い、キャッキャと響く笑い声。


「今日ね、おそろいのおもちゃで遊ぶんだよ!」

「葵、ずるい! 僕が先に言うんだもん! おそろいでガッてするの!ガガってするの!!」

「ほらほら、二人とも♡ パパを困らせないの」


妻が笑いながら窘め、僕を見て目を細めた。


「どうしたの? ぼーっとして」

(……この記憶って!?俺のか!?)

「……ううん、なんかひどい昔の夢見てさ。俺、サンパチだって振られて……」


妻は少し呆れた顔をして、でも愛おしそうに僕の頰を両手で包んだ。


「は!? だれその子、酷っ。でも今は、私と蓮と葵がいるでしょ? ほら、早くご飯食べよ? 会社遅れるわよ!」


「(んぉおお! なんだこの数年間分の記憶と情報は!?)……う、うん。そうだね」


あの事故の後、奇跡的に助かり、振られたのをバネにFラン大学の入学を蹴って一浪。死に物狂いで勉強して、そこそこ希望の大学に入った。大学の夏休みに帰省したとき、マッチングアプリで出会った彼女と恋に落ち、結婚し、この双子を授かったって記憶あるけど、、、なんか実感がないまま毎日が大変だったが

それでも夜になるとみんなで寝るとき、子どもたちを挟んで妻と手を繋ぎ、「今日もお疲れ様」と囁き合う時間が、僕のすべてで幸せだ。


僕は蓮と葵の柔らかい頰にキスをし、幸せを嚙みしめながら、再び目を閉じた。


---


「先生! 目が開きました!」


けたたましい電子音と、聞き覚えのある叫び声。


眩しい蛍光灯の下、白い天井。身体中に繋がれた管と激痛。

さっきまで唇に残っていた子どもの肌の柔らかさは消え失せ、代わりにざらついた酸素マスクの感触が口元を覆っていた。


「えーと……ここ、どこ……?」


母が泣き崩れながら僕の手を握っていた。やつれた顔。怯えた目。


「悠真……! よかった、本当によかった……!」


僕は震える声で言った。


「母さん……若ッ!? え!? 痛ッ! え!? え!? 蓮と葵の保育園、迎えに行かないと。妻が待ってる……」


母の顔が凍りついた。


「悠真!?……ねぇ、何を言ってるの? 動かないで!!!事故ってから二週間、ずっと昏睡してたのよ!? 大丈夫!?……先生、この子大丈夫!?先生!!!!」


時間感覚が完全にバグった。


腕の中に確かにあった重み。夜泣きで一緒に起きた疲れ。子どもたちの寝顔を見つめながら妻と交わした約束。数年間の結婚生活。

全部、全部、二週間の夢だったというのか。


「嘘だろ……俺の、子どもたちは……どこに行ったんだよ……!」


僕はベッドの上で愕然とし、声を殺して泣いた。


---


三週間が過ぎ、怪我は癒えた。


中身はすでに「二人の子どもを育て上げた父親」であるまま、夢の記憶のように一浪したかったが、現実はFラン大学に入学した。


キャンパスを歩く学生たちは皆、まだ子どもに見えた。恋に浮かれ、将来を夢見て、少しだけ焦りながらも楽しげだ。


僕は一人、静かに息を吐いた。


(蓮、葵……パパ、どうしよう)


失われた家族に、二度と会えないことを僕はもう理解していた。

長い長い夢の中の妻も、子どもたちも、僕だけの記憶になった。

もしかしたら、この世界のどこかに妻になったあの女性は実在するのかもしれない。けれど、僕が愛したあの妻は、あの愛おしい時間は、夢の中にしか存在しないのかな


それでも、胸の奥に残る温もりだけは、決して忘れない。


サンパチの僕にできることは少ない。

でも、この身の丈に合わない人生を、せめて少しでもまっすぐに生きてみる。


いつか、どこかで——もしあの似た誰かと出会え家族になれたら、今度こそ、ちゃんと守れる人間になれるように。


失われた夢を抱いたまま、まだ見ぬ未来へ。


終わり!?


最後まで読んでくれたんですね!?


ありがとうございます!!


連載して最後どうなるか決めてるんですが

サクッとキリ良く短編にしました


反応あるととても嬉しいので

チラッと!ポチッと!ぴょんぴょんとおねがいできます!?

無理にとは言いません。

よろしくおねがいします

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