沼田城
沼田城は今の群馬県沼田市にあった利根川と薄根川の合流地点北東の河岸段丘に築かれた城。2つの川側は70メートルにも及ぶ崖。この崖を使って敵の侵入を食い止める構造となっています。この沼田城を長年守って来た藤田信吉が城主となったとなれば鬼に金棒。なのでありましたが……。
(中身は藤田信吉ではありません。)
しかし
(皆は私の事を藤田信吉と思っている。)
そこに……。
「南より軍勢が!北条の旗印であります!!」
出浦盛清「誘降の1つでもあると思っていたのでありましたが……。」
藤田信吉「仕方ありません。北条時代から私は睨まれていた存在。許すはずもありません。それに……。」
ここ沼田は越後に会津。そして信濃にも通じる北関東の要衝。
藤田信吉「直接統治したいのでありましょう。」
出浦盛清「如何為されますか?」
(如何為されますか?この質問……私がしたいのが本音であります。しかし私は藤田信吉。沼田城を誰よりも知り尽くしている存在。そんな私が川中島の出浦盛清に助けを求める事は出来ない。しかし私は沼田の城をよく知らない。)
藤田信吉「出浦様。」
出浦盛清「はい。」
藤田信吉「兵糧と武器弾薬を確認していただけますか?」
出浦盛清「……そうでしたね。殿は先日まで沼須にいらっしゃったのでありましたね。」
藤田信吉「……うむ。すまんが大至急お願いします。」
少しして。
出浦盛清「流石織田家であります。(織田家の本貫地から)遠く離れたここ沼田にも大量の兵糧と鉄砲。そして弾薬が残されています。」
藤田信吉「ありがとうございます。」
(戦う事は出来そうだ……。兵も5千居るし、皆意気軒高。内から崩れる恐れは無い。この堅城を活かし、籠城戦を選択すれば……いや待てよ。)
出浦盛清「何か浮かぬ顔をされていますが?」
藤田信吉「少し時間をいただきたい。」
出浦盛清「わかりました。」
(ここに籠城すれば力攻めで落とされる可能性は低い。しかし北条が……。)
兵糧攻めを選択したらどうなる?
(北条は伊豆に相模。そして武蔵を手中に収め、安全地帯となっている場所も多い。長期に渡る攻城戦も可能。これに対し我らは……。)
ここにある兵糧が全て。
(真田から預かっている事を真田は了承しているが、本音とは思っていない。そのまま居座るつもりだろ?と思われているに違いない。もし私が救援を依頼した場合……。)
切り捨てられる恐れが高い。
(上杉の手もあるが、主力は川中島。清水や三国峠を越えての援軍は望み薄。そうなると……。)
籠城は出来ない。




