大夫浜
新潟や沼垂への上陸は難しいと判断した坪内勝長は、越中から出した荷物を一度佐渡島の小木へ移送。そこで港でなくても陸揚げできる船を徴発し移し替えた後、向かった先。それは……大夫浜。大夫浜は新潟から東北約10キロにある浜で新発田領。
富山城。
坪内勝長「物資の移送。順調に事が運んでいます。」
佐々成政「うむ。良くやった。」
坪内勝長「ありがとうございます。」
佐々成政「他に何か変わった事でもあったか?」
坪内勝長「はい。新発田領への支援は殿だけではありませんでした。」
佐々成政「赤谷は……。」
坪内勝長「赤谷は上杉の手に落ちているため、蘆名から直接的支援を行う事はできていません。しかし蘆名盛隆は……。」
伊達輝宗に依頼。
坪内勝長「小国経由であるため大量の移送は困難でありますが、雪に閉ざされる前にできる限りの事は。と約束されているとの事であります。」
佐々成政「……となると伊達蘆名との連絡は不可能ではないな?」
坪内勝長「仰せの通り。」
春日山城。
上杉景勝「大夫浜か……。」
直江兼続「兵を回しますか?」
上杉景勝「いや。止めておこう。」
直江兼続「大夫浜に来る船は小舟。多くの兵を乗せる事は困難でありますが?」
上杉景勝「佐々は織田の家臣。船には織田の旗が掲げられている。もしここで問題を起こせば……。」
佐々成政が何を言い出すかわからない。
上杉景勝「我らは織田と和を結んだが、確定していない事が多々ある。佐々の動きを見る限り、越後を任せていると言っているのは……。」
うちに対してだけではない。
上杉景勝「同じ事を新発田に言っている可能性もある。」
直江兼続「確かにそうであります。」
上杉景勝「佐々の動きは黙認とするのが無難。尤も新発田に入っているのは皆小舟。運べる量は知れている。加えて海も荒れ始めている。冬になれば動くに動けなくなる。」
直江兼続「その前に佐々が兵を新発田領に送り込む恐れもありますが?」
上杉景勝「雪に閉ざされれば役には立たぬ。むしろ領内の米櫃を減らすのに貢献する者と捉えれば良い。」
直江兼続「わかりました。」
上杉景勝「今はそれよりも……。」
黒川城。
蘆名盛隆「叔父上。小国からの移送ありがとうございます。」
伊達輝宗「いやいや此れしきの事で。それに別の収穫もあった。」
蘆名盛隆「(書状を受け取り)佐々様も?」
伊達輝宗「新発田領の支援に動いている。ただこれから季節が厳しくなる故継続的に物を運ぶ事ができなくなる。その前に……。」
新発田領への道を確保する必要がある。




