中ノ口川
直江兼続から指示された水原城を始めとした新潟湊周りの要地の奪取。並びに新発田重家の手勢を減らす事に成功した藤田信吉は、直江に課せられたもう1つの指示に取り組むのでありました。
出浦盛清「……なるほど。直江様が我らを長島に留めた理由はこれでありましたか……。」
藤田信吉「時間がありません。無駄口を叩くのは止めましょう。」
彼らに課せられたもの。それは……。
出浦盛清「信玄公の頃、武田領内の川を分流した話は聞いた事がありますが……。」
藤田信吉「武田でもこの規模は?」
出浦盛清「ありませんね……。」
直江兼続が分流を依頼した川。それは……信濃川。直江は今の新潟県三条市から新潟市西区善久までの約32キロにも渡るバイパスを建設する事を指示。その目的は……春日山城。
直江兼続「信濃川は大雨が降る度にその流れを変え、ただでさえ難しい沼地である当地での稲作を更に難しくしています。これを幾分かでも楽にするためには流路と流量の安定は必須であります。しかしこれはあくまで副次的な目的に過ぎません。最も大きな理由は……。」
行軍。
直江兼続「今後の新発田攻略において信濃川の渡河を避ける事はできません。大雨で進む事ができない。戻る事ができないでは困ります。加えてこれは此度の目的の1つであります新潟湊の攻略においても効果を発揮する事になります。」
信濃川の流路と流量を安定させる事と新潟湊攻略がリンクする理由。それは……現地に戻って。
出浦盛清「川中島の荷を全て新潟湊に持っていく?」
藤田信吉「はい。新潟湊は今、蘆名の荷を取り扱っています。もし新潟が我らの側に付いた瞬間。それが途絶えます。彼らにとってそれは死活問題。受け入れる事はできません。となりますと彼らが我らに付く事もあり得ません。それに代わるものを提示する必要があります。」
出浦盛清「川中島でありますか……。会津に比べ経済は小規模。これではなかなか……。」
藤田信吉「今はそうであります。ありますが川中島は対徳川北条の最前線。武器弾薬並びに兵糧の需要が増す事が予想されます。そして直江様は……。」
信濃川の更に奥も考えています。
出浦盛清「真田領?」
藤田信吉「はい。」
出浦盛清「真田は上杉の家臣ではありませんぞ。」
藤田信吉「はい。その一方真田は……。」
徳川や北条の家臣でもありません。
藤田信吉「真田は徳川北条双方と境を為し、上杉にとっては緩衝材的存在にあります。彼らが健在である事は、それだけで越後の安定を齎す事になります。そのためには……。」
上杉と良好な関係にある方が得と思わせる必要があります。




