謀反の原因
出浦盛清「ところで藤田様。」
藤田信吉「ん!?聞いていますよ。」
出浦盛清「そうではありません。何故新発田が上杉と袂を分かったかを御存じでしょうか?」
藤田信吉「織田の侵攻により上杉が苦境に立たされる中、織田と手を組んだ蘆名との最前線にあたる新発田が生き残りを図るべく上杉を見限ったからでありますか?」
出浦盛清「その通りであります。しかし根源はそこにはありません。」
藤田信吉「根源?」
出浦盛清「はい。今から5年近く前、越後に何が発生したかご存じですか?」
藤田信吉「(5年前は……1577年。その時はまだ謙信が健在で……。)後継者争いでありますか?」
出浦盛清「その通りであります。上杉家の後継者を巡る景勝と北条三郎による紛争において、景勝勝利に大いに貢献したのが新発田重家。彼は三郎に付いた伊達蘆名の侵攻を見事に防ぐ活躍を見せました。これは景勝も認める所であります。しかし……。」
恩賞は無し。
藤田信吉「えっ!?」
出浦盛清「景勝は国衆の協力を仰がなければならない体制への転換を目的に、三郎方の権益のほぼ全てを自分のものにしました。これに大半の国衆は従ったのでありましたが……。」
藤田信吉「新発田は黙ってはいなかった?」
出浦盛清「はい。新発田は信濃川河口の重要港新潟津を横領。その後の景勝の対応が弱腰であったのを見た新発田は更に強気に出、ほぼ独立した立場で活動をしていた所に……。」
織田と蘆名から誘いの手が。
出浦盛清「ただ織田信長様は新発田の能力を買って、その後の越後統治も任せる考えでの誘いであった可能性があります。」
藤田信吉「それだけ新発田の勢いは……。」
出浦盛清「留まる所を知りませんでした。もし織田の体制が整い、再び越後へ進出したら……。」
景勝が生き残るのは困難。
出浦盛清「問題はここからであります。織田信長様はこの世にいません。越後攻めを担当するのは柴田勝家。実力者ではありますが、織田家の当主ではありません。そこで活動する家臣も柴田の家臣では無く、織田の家臣。柴田が直接命令できる立場にありません。織田家を介さなければならない立場にあります。ただ織田家の当主はまだ3歳。もしここで柴田が強気な論功。自身の思うがままに行った場合……。」
藤田信吉「新発田のような者が現れる可能性がある?」
出浦盛清「はい。彼らへの恩賞を捻出できる場所は越後にしかありません。となりますと……。」
協力者に過ぎない新発田へ与えられる土地はほとんど残っていない可能性があります。




