沼田城代
「……藤田信吉で沼田城を攻める……。」
どうやら私は寝ている間に別の人物になり、滝川一益と言う言葉から織田信長の時代に居る事を理解。しかし藤田信吉と言う人物を……私は知らない。
「……少し調子を崩したようだ。あまりよく覚えていません。私のこれまでと今の状況を教えてください。」
「えっ!?」
私が同じ事を聞かれても同じ反応になる。
「藤田様は北条家当主氏政の弟氏邦の家臣として沼田城代になりますも北条家から警戒されていました。理由は氏邦が藤田家に入った事に起因します。殿は今の名字のように藤田家の直系。当地の者に担がれる神輿の資格のある御方。故に殿は北条家から冷遇されていました。」
「ふむ。」
「転機が訪れたのが武田勝頼。実際に指揮したのは真田昌幸による沼田侵攻であります。殿は真田の攻撃をよく防ぎ、膠着状態に。力攻めは難しいと考えた真田は殿に内応を打診。常日頃、北条から冷遇されている事。殿の兄は北条に亡き者にされていた事を知っていた殿は、真田の誘いを受諾。これに喜んだ武田勝頼は、自身の姪を殿に嫁がせる等厚遇とすると同時に殿に沼田を与えたのでありました。」
「……ふむ。」
「しかしかつて沼田を治めていた人物が沼田奪還を目指し侵入。これを殿は鎮める事が出来ず助けたを求めたのが……。」
真田昌幸。
「真田昌幸の助けもあり、侵入者を追い返す事が出来たのでありましたが……。」
沼田城は真田のものに。
「とは言え勝頼は殿を沼田城代に任命。引き続き沼田を託されたのでありました。」
「真田はその事を……。」
「はい。快く思ってはいませんでした。この沼田の戦いの後、功績のあった方々に真田は沼田の土地を用意していたのでありましたが勝頼に認められず。真田は仕方なく自分の土地から捻出しなければならない事態に。」
「……。」
「そこに……。」
織田信長が入って来ました。
「武田滅亡後、真田昌幸は急ぎ織田信長に謝罪。その際真田は、信長に対し黒葦毛の馬を進呈。これに喜んだ信長は真田を赦免すると同時に滝川一益の家臣に。殿も真田の家臣の立場であった事が功を奏し滝川一益の家臣に。沼田城は明け渡す事になりましたが、沼須城で新たな生活に入る事に。」
そう思っていたのでありましたが……。
「京で政変が発生。織田信長信忠親子が敢え無い最期を遂げ、織田家は大混乱。この余波は当然ここ上野にも。この地を任された滝川一益は上野の国衆に対し、京であった出来事が事実である事。滝川自身は伊勢に戻る事。そして土地は全て家臣となった方々に返す事を告げたのでありました。しかし……。」
沼田は殿の物にはなりませんでした。




