想定外の
沼田からの応援が来る事は想定していた北条氏邦。
「来るのはどうせ用土の。それも掻き集めた者共でしかない。」
と高を括っていた所にやって来たのが真田の六文銭。
(確か昌幸は滝川を連れ信濃に戻っていたはずでは?)
その情報に間違いは無い。
(となるとここに居る六文銭は昌幸では無い。)
「者共怯むな!新手は昌幸にあらず!!用土が旗を拝借しているに過ぎぬ!!!」
と迎撃を指示。しかし……。
(ぬ!思ったより手強い……。そうなると奴らは真の真田勢。)
目を凝らす北条氏邦。
(大将は昌幸では無い。)
「皆の者。川を渡れ!さすれば用土はここには来れぬ!!追って来た真田勢のみを相手にせよ!!!」
と下知。
薄根川を南に渡ろうと試みる氏邦勢。
「深追いはならぬ!藤田様の陣へ赴く!!」
と自重を促す真田信幸。
両陣営は川を挟んで睨み合い。そこに……。
真田信幸「おぉこれは藤田様。見事であります。」
藤田信吉「宜しいのでありますか?」
真田信幸「藤田様は勝頼様より沼田の城代に任じられた。その藤田様を守るよう指示されたのが父昌幸。藤田様の危機を助けるのは当然の責務であります。」
藤田信吉「今後の事を考えますと……。」
真田信幸「織田様より沼田を管理するよう命じられているのは我が真田家。北条も織田の一員である以上、この決定に従うのは当然。勝手な真似は許しませぬ。敵が追って来るかもしれません。藤田様は……。」
より安全な場所に避難してください。
真田信幸「ここは私が守ります。」
藤田信吉「……わかりました。」
その頃北条氏直は……。
「誰も居ないでは無いか……。」
沼須に入城。
「兵糧から何まで全て持ち去られてしまっている。これではすぐに沼田を攻める事は出来ぬでは無いか……。」
「殿。」
北条氏直「どうした?」
「城のありとあらゆる所に藁が……。」
北条氏直「中を改めよ。」
「はっ!」
暫くして……。
「弾薬が隠されていました。」
北条氏直「おぉこれは助かる。用土の奴。兵糧を運ぶのに手一杯で弾薬は置いていったか。」
「ただ気になる事がありまして……。」
「ん!?何があった?」
「弾薬がありとあらゆる場所に分散して置かれ、城全体に及んでいます。」
「ん!?斯様な危険物を何故?」
その時。
「城の北東より火の手が!!」
北条氏直「火の始末には注意せよ!!」
「はっ!」
そこに
「殿。城のあらゆる場所から火が!!」
北条氏直「敵襲か!?」
「敵の姿は見当たりませぬ。」
北条氏直「弾薬に火が回っては不味い!急ぎ消せ!!」
「殿。」
北条氏直「何だ!?」
「用土は弾薬を持って行く事が出来なかったのではありません。恐らくでありますが……。」
我らを沼須に引き入れた後、全て焼き尽くす算段であったと考えます。




