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片品川

 夕方。北条氏直は沼須城の南を流れる片品川手前に到着。そこで彼が目にしたものは……。

北条氏直「ん!?」

北条氏邦「敵兵が見えますな。」

大量の篝火に多くの人影。

北条氏直「用土はここで……。」

北条氏邦「我らを迎え撃つ算段でありましょうか?」

北条氏直「沼須は……。」

北条氏邦「城と言うよりは館と言った方が正しいかと。」

北条氏直「斯様な所に何故?」

北条氏邦「一揉みにしてやりますか?」

北条氏直「いや待て。我らが沼須を攻めている所に……。」

沼田から後詰がやって来るかも知れぬ。

北条氏邦「兵は我らに分があります。隊を分けて……。」

北条氏直「いや待て。用土が我らを裏切って以降、彼の地に明るくない。」

北条氏邦「しかし織田と我らは同盟関係。手入れ等……。」

北条氏直「織田の手に渡るまで2年の空白期間がある。何か仕掛けをされている恐れがある。今日はここで野営をする。」

北条氏邦「……わかりました。」

北条氏直「敵の奇襲が予想される。用心を怠らぬよう。」

北条氏邦「わかりました。」


 翌朝。

北条氏邦「殿!」

北条氏直「どうした?」

北条氏邦「あれを!!」

北条氏直「ん……。えっ!?」


 北条氏直が目にしたもの。それは……大量の案山子。

 3日前。沼須城。

出浦盛清「北条氏直は王道しか知りません。多くの兵を用い相手を威圧。大量の補給物資により長期戦に持ち込み戦わずして敵を降伏へ追い込む。もし敵が挑んで来てもその多くの兵で以て駆逐する。この戦いしか知りません。逆に氏直が予想していなかった事態に陥った時……。」

より安全な策を選択します。

出浦盛清「我らが恐れなければならないのは、敵が万全な態勢でいくさに望まれる事。冷静な判断で戦わせてしまう事にあります。」

藤田信吉「それで……。」

出浦盛清「居るはずも無い。籠っても勝ち目のないここ沼須に大量の兵が居るとわかれば、氏直は自重します。そして翌朝……。」


北条氏直「……虚仮にしやがって……。氏邦!一気に方を付けるぞ!!」

北条氏邦「殿!お待ちくだされ!用土が何の策も無しにただ案山子を並べているとは思えませぬ。」

北条氏直「いや。構わぬ!数で以て押し崩してくれん!!」


 そこに。

北条氏直「何だあれは?」

対岸から一群が……。

北条氏邦「こちらに向かって来ますな……。」

目を凝らすと。

北条氏邦「用土!?」

藤田信吉が兵を率い片品川を渡河。そのまま北条が構える陣地に兵を進め……目の前で放火。

北条氏邦「舐めやがって!許さぬ!!奴の素っ首!!叩き落してくれん!!!」

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