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チート売りの少女/女神は最近の転生者が「普通すぎるチート」に飽きていると嘆き、斬新なアイデアを求めて私のところにやってくる!  作者: 弌黑流人


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【Cheat Ability No.68】反転思考型・天邪鬼の反逆(パラドックス・ライアー)

転生前広場は、今日も今日とて欲望と熱気に満ちていました。数多の魂が次なる異世界での栄光を夢見て列をなす中、移動ワゴンのカウンターを力任せに叩く一人の少年がいました。


「フェアカさん! 俺は決めたんだ。王様や神様の言いなりになって、引かれたレールの上を歩く勇者なんて真っ平だ! 誰もが予想しない道を選び、世界の常識を、歴史を、根底から裏切ってやりたいんだよ!」


鼻息を荒くし、若さゆえの万能感に目を輝かせている少年。それは反抗期をこじらせ、既存の物語に対する「逆張り」こそが真の格好良さだと信じて疑わない、危うい熱狂でした。


フェアカさんは、そんな彼の熱を冷めた目で見つめながら、指先で銀色のコインを弄びました。そのコインは奇妙に歪み、表も裏も判別がつかない不可思議な輝きを放っています。


「いいわ。既存の秩序に反逆し、常に予想を裏切り続けたいというのなら、この『逆張り』のチートを持っていきなさい。これがあれば、他人の期待や命令に対して、物理法則さえも無視した『逆』の結果をもたらす力が宿るわ。歴史の反逆者になるにはお似合いの力ね」


「それだ! それこそ俺が求めていた力だ!」


「ただし、代償は重いわよ。契約の対価として、あなたの内側にある『素直さ』を根こそぎ消去させてもらうけれど……」


「望むところだ! 素直なんて、奴隷の美徳だろ? 俺は俺の道を行く、誰にも邪魔はさせない!」


フェアカさんが「ただ、この能力の真の仕様は……」と唇を動かした瞬間、少年はその説明を最後まで聞くこともなく、ひったくるようにコインを奪い取りました。そして、喉を鳴らして一気にそれを飲み込んだのです。


「……あら、決めたのね。でも、話は最後まで聞くものよ」


フェアカさんは、コインの魔力が少年の魂に馴染んでいくのを見届けながら、冷淡な口調で言葉を続けました。


「その『逆張り』は、あなたの意志とは無関係に発動する常時展開型のチート。向けられた感情や言葉、願いの『逆』を強制的に現実へと反転させるの。……いい? 誰かに『勝って』と願われればあなたは無様に敗北し、世界に『平和を』と望まれればあなたの歩く先には戦火が広がる。そして、愛する人に愛されれば愛されるほど、あなたの存在は破滅へと突き進む。……それが、あなたの望んだ『裏切り』の正体よ」


しかし、少年はすでにきびすを返し、意気揚々と転生ゲートへ向かって駆け出していました。背中に投げかけられた警告が、彼の耳に届いている様子はありません。ゲートをくぐる直前、彼は高らかに拳を突き上げ、まだ見ぬ異世界への反逆を誓っていました。


フェアカさんはその背中を見送ることも、呼び止めることもせず、手垢のついた帳簿を開きました。そして、無機質な動作で「成約」の印をページに叩きつけました。重い金属音が、静かに広場へ響きます。


「……言っておくけれど、そちらは返品不可ですよ? 運良く魔王に『死ね』と呪われれば生き延びられるかもしれないけれど、その傲慢な性格で、誰かがあなたのために憎しみの言葉を吐いてくれるかしらね」


フェアカさんは冷めた紅茶を一口飲み、空っぽになった少年の立ち位置を見つめました。


「チート、チートはぁ、いらんかねぇ……。反逆を望む心、そして自動的に発動する『逆』の因果。……さて、異世界に降り立った彼に向けられる最初の言葉が、『死ぬな』という慈悲でないことを祈るばかりね」


ご拝読ありがとうございます。

いかがでしたでしょうか?

自分の意思に関係なく言われたこともってのは中々どうして……生きづらそうですね。

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