【Cheat Ability No.28】全自動最適解・運命演算器(ロジカル・パス・メーカー)
「ちょっと、ルミナリエ! 相変わらずこの広場はエモいだけで生産性がゼロね!」
高らかな笑い声と共に、金属質の輝きを放つ翼を持った女神が降臨しました。彼女の名は「計算の女神・メトリー」。ルミナリエ様とは同期でありながら、常に天界の効率化を巡って火花を散らす宿命のライバルです。
「メトリー! 貴女こそ、またそんな可愛くない計算機みたいな顔をして。人生には無駄という名の彩りが必要なのよ!」
「無駄はただの損失よ。日和ちゃんと言ったかしら。貴女のネットスーパー、ログを見たけれど物流の導線がガタガタね。この『ロジカル・パス・メーカー』を導入しなさい。最短ルートで利益を最大化できるわ」
メトリー様が提示したのは、無機質な立方体のデバイスでした。これを使えば、転生者の冒険から無駄な「修行」や「葛藤」を一切省き、最短距離で魔王を倒すルートを算出できるというのです。
「ちょっと待って、メトリー様! それじゃ物語が味気なくなっちゃいます!」
日和が反論しますが、メトリー様は鼻で笑います。
「味なんて栄養に関係ないわ。フェアカ、貴女もよ。そんなボロいワゴンで非効率な商売をして……。私の計算では、貴女の在庫の九割は破棄すべきゴミよ」
それを聞いたフェアカさんは、ゆっくりとコーヒーカップを置きました。
「……ゴミかどうかは、買った本人が決めることよ。メトリー、貴女の言う効率って、結局は『誰も不幸にならない代わりに、誰も救われない』平坦な道でしょ?」
フェアカさんはワゴンの棚から、歪な形をした方位磁石を取り出しました。
「これは『迷い子のコンパス』。最短ルートの真逆、その人が一番避けて通りたい『最悪の道』だけを指し示す。でも、そこを通った時だけ手に入る本物の力があるの。……貴女の計算機には、絶望から生まれる奇跡の数値は入っていないでしょ?」
「……相変わらず話が通じないわね、元勇者。論理的じゃないわ」
メトリー様とルミナリエ様が火花を散らし、広場の空気がピリピリと震えます。日和は二人の女神の板挟みになりながら、ネットスーパーの画面に「効率」と「エモさ」が交互に表示されるバグと戦う羽目になりました。
「チート、チートはぁ、いらんかねぇ……。最短の虚無、遠回りの真実、女神の喧嘩、なんでもござれ」
結局、二人の女神は互いの理論の正しさを証明するために、広場の真ん中で「どちらがより優れた勇者を育成できるか」のチェスを始めてしまいました。
ご拝読ありがとうございます。
いかがだったでしょうか?
効率至上主義のメトリー様が登場し、ルミナリエ様との「エモさvs効率」の対立が鮮明になりました。




