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チート売りの少女/女神は最近の転生者が「普通すぎるチート」に飽きていると嘆き、斬新なアイデアを求めて私のところにやってくる!  作者: 弌黑流人


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【Cheat Ability No.24】完全自律型・生活概念具現化執行者(パーフェクト・サービス・メイド)Plusα

今日は二度目の定休日。エリュシオン・ヒルズの朝は、小鳥のさえずりさえも音楽のように調律されています。


いつもならメイドさんの完璧な差配で始まる一日ですが、今日は少しだけ趣向が違いました。私、日和が昨日の夜からメイドさんに相談して、ある「計画」を立てていたからです。


「フェアカ様、本日の朝食は、あえて私の能力による自動調理を封印いたしました。今朝は日和様が中心となり、真心込めて準備されたものです」


寝室に現れたメイドさんの言葉に、寝ぼけ眼のフェアカさんがパチクリと瞬きをしました。


「……日和が? チートを使わずに?」


ダイニングに並んだのは、私がエプロン姿で一生懸命作った、なんの変哲もない和食のセットです。お米を研いで、お出汁をとって、お魚を焼く。天界の最高級食材を使いながらも、魔法やスキルを一切介さない「ただの料理」です。


フェアカさんは不思議そうな顔でお箸を持ち、一口、お味噌汁を啜りました。


「……熱い。それに、少しだけ味が薄いわね。でも……なんだか、胃のあたりが温かくなるわ」


「よかったです! 普段、フェアカさんは『対価』とか『代償』とか、そんなのばかり気にしてるから……。今日はただの『美味しい』だけを感じてほしくて」


朝食の後は、三人で邸宅内のスパへ。

いつもはメイドさんの「神の手」によるマッサージですが、今日は私とメイドさんの二人掛かりで、フェアカさんの髪を洗ったり、お肌をケアしたりしました。

能力で一瞬で綺麗にするのではなく、時間をかけて、ゆっくりとお湯の温もりを楽しむ。フェアカさんは湯船の縁に頭を預け、長い睫毛を伏せていました。


「……ねえ、日和。こういうのを『普通』って言うのかしらね。勇者だった頃も、ワゴンを始めてからも、忘れていた感覚だわ」


「そうですよ。今日は定休日。世界も、因果も、チートも、全部忘れていい日なんです」


午後はテラスで、メイドさんが丁寧にハンドドリップしたコーヒーを飲みながら、三人でとりとめのない話をしました。かつてこの邸宅を「欲望の塊」と呼んだフェアカさんでしたが、今はその空間を、とても柔らかい眼差しで見つめています。


メイドさんは終始、能力による最適解ではなく、一人の女性としての細やかな気遣いで私たちを支えてくれました。それはある意味、どんなチート能力よりも贅沢なサービスだったかもしれません。


日が落ちる頃、フェアカさんはソファで私の膝を枕にして、心地よさそうに寝息を立て始めました。


「日和様、本日はありがとうございました。フェアカ様の魂が、これほど深く凪いでいるのを見るのは初めてです」


メイドさんの微笑みは、沈みゆく夕陽よりも優しく見えました。


ご拝読ありがとうございます。

いかがだったでしょうか?

三人で過ごす、温かな休息のひとときを描きました。

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