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チート売りの少女/女神は最近の転生者が「普通すぎるチート」に飽きていると嘆き、斬新なアイデアを求めて私のところにやってくる!  作者: 弌黑流人


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【Cheat Ability No.16】声帯修復型・旋律結晶生成器(メロディ・ドロップ・メーカー)

「……」

「……!!」


広場の入り口には、喉を枯らして声の出ない女神たちが長蛇の列を作っていました。彼女たちは必死に「慰謝料を払え」「喉を治せ」と書かれたボードを突きつけてきますが、音がないので迫力に欠けます。


私はそれらを無視して、広場の中央で呆然と立ち尽くしている一人の少女に声をかけました。たった今、現代日本からトラックに跳ねられて転生してきたばかりの、見るからに真面目そうな女子高生です。


「あ、そこの君。異世界で聖女とか勇者とかやる前に、ちょっとした社会経験……インターンシップに興味ない?」


「えっ? あ、はい。よく分からないですけど、お役に立てるなら……」


彼女は戸惑いながらも、私の差し出した光る指輪を受け取りました。これこそが、彼女に付与した暫定チート能力、メロディ・ドロップ・メーカーです。


「君がその指輪をはめて祈るだけで、指先から特殊な『のど飴』が生成される。この飴は、昨日の強制ミュージカルで傷ついた喉を一瞬で完治させるだけでなく、舐めている間だけは『天使のような美声』でしか喋れなくなる代物だよ」


「わあ、すごい! 困っている人たちを助けられるんですね!」


少女は目を輝かせ、さっそく女神たちに飴を配り始めました。


「はい、どうぞ! 早く良くなってくださいね!」


少女の献身的な働きにより、女神たちの喉は次々と治癒していきました。しかし、ここは私のワゴンです。ただの救済で終わるはずがありません。


「おお、声が出るわ! ……あら? 『おのれフェアカ』と言いたいのに、なぜか『フェアカ様、最高ですわぁん』とソプラノの美声で歌うように出力されてしまう!?」


「私の罵倒が、聖歌のように聞こえる!? なにこれ、気持ち悪い!」


飴を舐めた女神たちは、怒りたくてもその声がすべて「天上の調べ」に変換されてしまい、お互いに顔を見合わせて困惑しています。怒鳴れば怒鳴るほど、広場には美しいコーラスが響き渡る。これでは抗議活動になりません。


「……フェアカさん、これって」


少女が不安げに私を見ます。私は彼女の肩を叩き、ワゴンの売上金の一部を渡しました。


「いいんだよ、これで。彼女たちは声を取り戻し、広場の静穏は守られた。君は立派に『平和の売り子』としての仕事を全うしたんだ。……さて、この飴の依存性は高いから、明日からは有料にしようか」


「えっ、有料!?」


「チート、チートはぁ、いらんかねぇ……。美声の呪い、感謝の強制、労働の喜び、なんでもござれ」


私は、戸惑いながらも次ののど飴を練り始めた少女を横目に、ようやく平和になったワゴンでコーヒーを啜りました。



ご拝読ありがとうございます。

いかがだったでしょうか?

新キャラクターの「純粋な女子高生(売り子)」が加わり、ワゴンの運営が少し組織的(?)になりました。

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