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チート売りの少女/女神は最近の転生者が「普通すぎるチート」に飽きていると嘆き、斬新なアイデアを求めて私のところにやってくる!  作者: 弌黑流人


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【Cheat Ability No.12】完全自律型・生活概念具現化執行者(パーフェクト・サービス・メイド)

今日は待ちに待った定休日。フェアカは寝返りを打ち、ふかふかの枕に顔を埋めました。


「おはようございます、フェアカ様。お目覚めのハーブティーをご用意いたしました」


枕元で涼やかな声が響きます。そこに立っていたのは、一分の隙もないメイド服に身を包んだ美しい女性。彼女こそが、フェアカが勇者時代に手に入れた唯一の「私的チート能力」によって生み出された存在です。


能力名は、パーフェクト・サービス・メイド。フェアカが「こうしてほしい」と願う理想の献身が、そのまま人格と肉体を持って具現化した、世界に一人だけの万能メイドです。


「……ふわぁ。おはよう。今日は一日、何もしないって決めてるから」


「承知いたしました。では、本日は『至福の自己甘やかしコース』を執行いたします」


フェアカが体を起こすと、メイドは流れるような所作で最高級の茶葉を用いたティーカップを差し出しました。仕事場で「チートはいらんかね」と喉を枯らしている姿からは想像もできない、優雅な時間の始まりです。


まずは午前中、自宅内に併設されたプライベートエステティックルームへと移動します。メイドの手は、フェアカの願いに合わせて「神の手」へと変質しました。


「あ、そこ。魔王を蹴り飛ばした時に痛めた古傷が……」


「心得ております。細胞一つひとつに直接活力を流し込み、疲労の根源を消去いたします」


最高級の香油を用いたマッサージが始まると、フェアカの意識は心地よい微睡みの中へと溶けていきました。背中、肩、そして酷使した足先まで。メイドの指先が触れるたび、重力から解放されるような感覚が全身を包みます。


続いて、専用のスパ施設でのヘッドスパ。温かな聖水が頭皮を優しく叩き、メイドによる絶妙な指圧が脳の奥に溜まった「女神の無茶振りの記憶」を綺麗に洗い流してくれました。


昼食は、空中庭園を望むテラスで。

メイドが腕を振るったのは、異世界の秘境でしか獲れない希少な果実と、天界産の黄金小麦を使ったフルコースです。一口運ぶごとに、身体の隅々まで幸福感が満たされていくのが分かります。


「……ねえ。やっぱり、この能力だけは誰にも売れないわね」


フェアカは、デザートのアイスクリームを口に運びながら、満足げに呟きました。


「もちろんでございます。私はフェアカ様の欲望と理想から生まれた、フェアカ様だけの所有物。他の誰にも、私を扱うことはできません」


メイドは微笑み、静かに深々と一礼しました。

仕事場で売っているチートはどれも代償の重い欠陥品ばかりですが、このメイドだけは違います。代償はただ一つ、フェアカが「勇者として世界を救った」という、あまりに過酷な過去そのもの。その報酬として得たこの静寂こそが、彼女にとっての真の救いなのでした。


夕暮れ時。エリュシオン・ヒルズに美しい茜色の雲が広がる中、フェアカはメイドに膝枕をされながら、再び深い眠りへと落ちていきました。


「おやすみなさいませ、フェアカ様。明日の朝、また最良の絶望……いえ、お仕事の時間が来るまで」


ご拝読ありがとうございます。

いかがだったでしょうか?

フェアカの意外なプライベートと、彼女が持つ「本物のチート」の片鱗を描きました。

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