186-190
186トド達が褌を締めて
明るい世界に
暗闇が広がっているように
楽しい繋がりに
悲しみが影を落としている
悲しみの向こう側に
笑いがあり
笑いの底で笑う理由が
トカゲの尻尾のように途絶えている
首を傾げて笑う
横を向きながら泣く
よそをみながら無感情
時として時計は逆さまに
感情は電光掲示板のごとく
電子回路のようにはっきりとしているが
意識はぼんやり灯っている
提灯の夏祭りのようだ
かえるが鳴くから帰らない
かえるがいなく帰り道もない
とどのつまり
トド達が褌を締めて
山笠を太縄で引っ張っているわけだ
その横でじっと見つめている
その横でじっと見つめている
187少年と少女
少女の中の
少年が暴れ出し
少年の中の
少女が眠くなる
真昼の午後の深夜
服を交換する
少年と少女
名前を描いて交換する
大人の少年と大人の少女
188琵琶法師ロック
幾何学的な深淵
飢餓的な数学理論
ガキな大人
大人びた子ども
レンタルする感受性
感光する夢物語
琵琶を弾く
琵琶法師ロック
バンドを組んで
全員合唱隊
靴磨きする
ミヒャエル・エンデ
絵画史に残る
ドビュッシー
声をなくした
カナリアを飼う
白拍子の目は
美しい扇子
189染色体
電車が行き交う線路上に
交差する人波
交錯するイヤホン越しの音楽
スマホはじっと主人を見る
やることのないやること
青で塗られた床に
空で塗られた黄色
人体の中で
染色体は銀の鉄
190魚類の人形
翡翠の目をした
魚類の人形
黄金の手を持つ
千手観音の
手料理
慌ただしく時間は過ぎて
ゆっくりと空間は流れて
時空は重力に歪み
人は引力に遮られて
光のうち斜めの光を喪失したまま
点と線が入り乱れる感情に
ハサミを入れる