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アルカナの夜明け  作者: らいふがーど
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A battle for fate


天の上にそびえ立つ世界、天界。その天界は数々の悪神(ナイトメア)によって度々攻撃を受けていた。

その都度戦い、沢山の犠牲者を出していた。

痺れを切らした天界の長 ゼクスは1つの大きな賭けに出た。天界に住む神、天使、人間と悪神の戦い「アウロラ」を決行すること、そして万が一天界側が敗北した場合には天界の領土、そして全権限を悪神に受け渡すこと。

歴史に刻まれるのは伝説かそれとも…


「ってことになったからよろしく頼んだぞ」


天界の存亡を賭けた戦いを軽快な口調で説明しているのは全知全能の神 ゼクス。

細長い白い髭がトレンドマークな老いぼれである。


「ゼクス様、そのようなことをご勝手に決められると大変迷惑なのですが…」


こめかみを押え、冷静を装いつつも怒りを隠しきれないでいる彼女の名前はソフィリア。

銀色の髪に紅色の目をしており真っ黒な衣服に身を包んでいる。どこかミステリアスさも感じさせる彼女は神でも天使でもない存在であり、天界で管理職を務めている。


「仕方がないだろう、ワシらも常に豊富な戦力を維持できてる訳では無いし、ここらで悪神と契約を交わす他ないんじゃ」


ゼクス自身も無責任な発言を悔いているのか声のトーンが徐々に落ちていってる。


「それと、約束通り天界に住む他のシードの方々をお呼びしておりますので遅れることがないようお願いします」


シードというのは天界の中でも最高権力を持つゼクスを含む十二神のことを指す。

そんなシードを集結させたのは他でもない悪神との戦いについての話し合いである。


ゼクスはシードの神々が待つ宮殿に入ると驚嘆した。


「え、これだけしか居ないの?」


その場にいたのはゼクスを含めた僅か3名の神々だけである。


「私としてもこれでも頑張った方なのですが……ゼクス様が呼んでいると言った途端他の神々は帰っていきましたよ」


ゼクスは自身の人望の無さにひどく落ち込みつつも話し合いの開始を宣告した。


「悪神との戦いが公式に決まった、今日呼び出したのは他でもないその事についてだ」


「は?」


ゼクス以外の神が声を合わせて困惑した。


「あ、あれ話してなかったの?ソフィリア…」


「ええ、これを決めたのは他でもない“ゼクス様”なのですから皆様にも分かるよう丁寧な説明をお願いしますね」


ソフィリアに見捨てられたゼクスは借りてきた猫のように大人しく縮こまった。


「説明してもらおうか、ゼクス」


厳格で尚且つ冷静さを保っているこの男の名前はゼノン。龍のような眼光を放ち、高貴で崇高さが垣間見えている。

風を司る神である。


「こ、この戦いにさえ勝てば悪神は天界に攻め込むことはもう二度としないと言っているぞ!」


ゼクスは慌てて言葉を付け足し、神々の非難を逃れようとしたつかの間。


「万が一負けたら天界を悪神に受け渡すという契約もありましたけどね」


ソフィリアはゼクスが隠し通そうとしていた事実をその場にいた全員に聞こえる声量で呟いた。

その事実を耳にしたゼノンは鬼のような形相でゼクスを睨みつけた。


「詳しく聞かせてもらおうか」


たった一言のその言葉から抑えきれない怒りが込められていたことは誰の耳からしても明らかだった。


萎縮したゼクスは包み隠さず天界と悪神の戦いである“アウロラ”について説明した。


期日は一ヶ月後。

バトルスタイルはバトルロワイヤル

悪神から代表十二名 天界から代表十二名の 十二対十二の戦い。

先にメンバーが全て消えた方が敗北。


「私としてはシードの皆様方が出てくれることが一番安心できるのですが…」


ソフィリアの意見に誰も賛同する素振りを見せなかった。


「それがなぁ、ワシもう戦いたくない」


耳を疑うような発言にゼノンはとうとう激怒した。


「お前のせいでこうなってるんだろうが」


ゼクスの胸ぐらを掴み今にも殴り合いが始まりそうな不穏な空気が流れ始めた。


ソフィリアはそれを軽く制止し、話し合いの場を取り持った。

シードが集まれば何かと揉め事は生まれてしまうため、ソフィリアのように状況を俯瞰できる第三者は貴重である。


「えーと、それじゃあメンバー編成になるんじゃが、それはソフィリアに任せようと思う」


「は?」


次はたった1人、ソフィリアだけがその場で呆気に取られていた。


「お待ちください、私は神ではありませんし、そんな大事なことを決める訳にはいきません」


ソフィリアはあくまで論理的に自分は相応しくないことを主張した。


「とは言っても、他に相応しい神や天使が居ないのも事実じゃしなぁ、しかもソフィリア管理職やってるからそういうの得意なんじゃないの?」


消去法で選ばれたことにソフィリアは怒りをとうに超え呆れてものも言えなくなっていた。

今日一番のため息をつきつつもそれ以上は語ろうとしなかった。


「私、出るわ」


話し合いは平行線の一途を辿るかと思われたが、ここで思わぬ立候補者が現れた。


透き通るような声音を放ち、天色の美しい髪の毛をかき分け、射るような鋭い眼差しをソフィリアに向けた。


彼女の名前はアクア。気の強い性格で物怖じしない、また時に冷酷であり、その冷酷さ故にアクアの下に着く者は誰も居なかったという。

万物を司る神。


「私の実力を測るいい機会だもの、安心して大丈夫よ。勝つから」


飲み物を啜りながらもその様子は頼もしかった。絶対に負けることは無いという自信が現れている。


「それでは一名はアクア様で決定…他の方で出たい方は?」


それ以上手が上がることは無かった。


「それじゃああとは頼むぞ、ソフィリア」


ゼノンの言葉がソフィリアに緊張を走らせた。


ゼクスが少し眠そうにしているのが腹立たしかったが、ソフィリアは時間を惜しみその場を後にした。


“アウロラ”までのカウントダウンが今始まる。



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