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アマーリエ王女

「シル~、久しぶりね。足はどう?」


 到着するなりアマーリエ様は熱い抱擁で歓迎してくれた。


「ぼちぼちですわ。まだ地獄のリハビリ中です。乗馬ができるようになるのはまだ少し先になりそうです」


「会のみんなも心配しているわ。本当にあの女は女の敵だわ」


 アマーリエ様、そんなに握ったら扇子が折れちゃうよ。


「そうそう、お父様から聞いたわ。魅了らしいわね」


「はい」


「まだ証拠が出ていないらしいけど、証拠なんて無くてもいいじゃない。魅了は極刑だけど、あっさり殺すのはつまらないわ。シルだけじゃなく、デルやイレーネ、ローザ、アンリ達に嫌な思いをさせた奴なんか許せないわ。ちょっと調べてみたけど、エロジジィ達とも仲良くしてるみたいだし、いままでも何人もの女の子を不幸にしてるようだわ。あんな女はキツい拷問をしたり、死んだ方がましだと思うくらい死ぬより辛い事したいわね」


 いやいや、そこまでしなくても。


「私はエーベルハルトを廃嫡にさせようと思ってるの。モーリッツを王太子にしてデルと結婚させてはどうかと父母には話したの」


 なるほどな。確かにモーリッツ殿下の方が国王に向いている気がする。デルフィーヌ様とも仲がいいし、モーリッツ殿下は婚約者がいないからいいかもしれない。エーベルハルト殿下の復活は難しいかもしれないし。


「デルフィーヌ様はなんと?」


「おまかせします……だって」


 おまかせしますか。


「デルは小さい時から将来の王妃になるために物凄く努力してきたわ。頭もいいし、語学も万能だし、エーベルハルトよりデルの方がこの国には必要なの。魅了の魔法にかかるなんて王族の恥よ。そんな危機管理能力のない王太子、他国の王家は相手にしないわ。もうエーベルハルトは終わりなのよ」


 そうなのか。エミール様といい、エーベルハルト殿下といい、親族からの評判が悪いな。


「それにしても、エミールは大丈夫なの? お父様から作戦を聞いたけど、魅了にかかったふりなんてできるのかしら? エミールは無骨で不器用でほんとに堅物でしょう? きっとザラもイマイチ気乗りしなかったから魔法のかかりが浅かったのかもね」


 エミール様、言われ放題だな。


「ははは、崖っぷちなんで頑張るんじゃないですかね」


 私は乾いた笑いを浮かべた。



 エーベルハルト殿下や側近達、ザラ嬢は王子宮にいるので、王女宮にいるアマーリエ様と会う機会はないらしい。


「それで私ね、挨拶に来なさいって呼んだのよ。そしたらエーベルのやつ、苛烈な姉上に会わせるわけにはいきませんって拒否したのよ」


 まぁ、拒否したくなる気持ちもわからないではない。


「でね。今日はお茶会でシルも来るから来なさいって言ったの。これも作戦。エミールを援護射撃ね」


 アマーリエ様も私を囮に使う気だな。


「影が沢山いるから心配ないわ。というか、シルも影を連れているじゃない。ふたりでびびらせて尻尾出させましょうよ。ザラはシルがひとりだけ婚約破棄されてないのが面白くないから、何かしてくるはず。ザラとエーベルが王女宮にいる間にエミールに後の側近達の魔法を解く薬を飲ませてもらうわ」


 なるほどアマーリエ様の助け船か。


「ザラに思う存分喋ってもらいましょう」


 私は持ってきた自白剤をアマーリエ様に見せた。


「ブラボー! やっぱりシルはやるわね。影! ザラの喋りを録画しておいてね。それにしてもやばいもの持ってるわね」


 骨折した時に絶対仕返ししてやろうと近衛騎士団長にお願いして分けてもらったのだ。『シルフィア嬢、仕返しですね。協力いたします』と言って手渡してくれた。


 「あんな女に舐められたままではこの国の貴族が笑われます」


 自白剤をザラ嬢に飲ませてエーベルハルト殿下に現実を見せる。もちろん殿下のお茶には解呪剤を入れるわ。


 ザラにこの国は渡さない。


 


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