第八話
レンはすぐに矢を取り出し、いつでも放てる姿勢をとった。狩人も同じだった。
猪が、こちらにゆっくりと近寄ってくる。草を踏み鳴らして、向かってくる。
狩人「まだだ」
レンは頷いた。歩きが速くなる。駆け足になった。猪の頭が低くなる。
狩人「まだだ」
加速する。猪突猛進。一点を睨む。駆ける音が大きくなる。怖さも増す。
二人、さらに弦を引く。二人分の背の高さにまでなった。
狩人「引け」
同時に引いた、レンの弓は唇に突き刺さる。狩人の弓は、左目を捕らえた。
狩人「避けろ!」
全員が左右に飛ぶ。猪がかき分ける。人も猪も、同時に反転。
狩人が狙い射つ。鼻にグサリ。それでも止まらない。
また避けた。レンも射つ。掠めてしまう。反転して、目前まで来た。
狩人「槍!」
女性達が、猪に向かって槍を放つ。それを避けた。一人の女性に狙いを定めた。
レン「危ない!」
突き飛ばされる。横からユウコが飛んできた。間一髪、免れる。
狩人「ユウコ!」
ユウコの目の前に、突き上げようとている猪。両手でお腹を防いだ。
その時だった。青白い光に包まれた。
レン「ユウコ、ユウコ!」
目を冷ます。全員が、ユウコを覗き見ている。
ユウコ「猪は?」
狩人「死んでいる。お前に突進したのに、吹き飛んだよ」