↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【210万字!】ロベルタ・ロサリタ ~ランジェリーデザイナーになった転生勇者が女の子たちに求婚され苦悩する?~  作者: しじみ汁
第四章三部 王都マドリガルタ(前)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

87/412

第八十四話 一撃必殺 雨燕(あまつばめ)

 2026.5.9 全体的に見直し、加筆修正を行いました。 

 八重桜を取りに戻り、薄暗くなった王宮の訓練所へ皆で集まる。

 誰もいないひっそりとした訓練所の真ん中で、王女が(たたず)んでいた。

 その姿はどこか寂しさすら感じる。

 私は食事をするだけの服装で来たので、攻撃が当たればいくら私とて間違いなく斬れてしまう。

 特に地衝裂斬は完全な殺人技なので危険だ。

 早く決着がつく圧倒的な技で済ませる作戦にしよう。


「――おまえ、さっきは何故全力を出して戦わなかった!? そこの女とここで訓練をしていた時の方がよほど強く見えた! 久しぶり強いやつと戦えるのを楽しみにしていたのに、なんだあれは!!」


 そこの女とはエルミラさんのことである。

 そうか、王女は私たちが訓練をしていた時に見ていたんだな。


「ではハッキリ申し上げましょう。お怪我をされて欲しくなかったこと、あまり派手にやると王女が恥を掻くと思ったからです」

「それが余計なお世話だと言うんだ! 王女! 王女! 王女だからはもうたくさんだ! 恥などどうでもいい! おまえが最初から手加減をしてきたことが一番腹が立つ!!」


 なんとなく察しはついた。

 王女という身分に対し、普段から媚びたりする者や、その裏で蔑んでいる者がいることを知っていたのだろう。

 全力で戦って欲しかった。手加減をされたことが悔しい。

 つまり、王女は相当に武闘が好きな人物なのだろう。


「わかりました。私は全力を(もっ)て王女を倒します」

「言ったな。私はおまえを殺すくらいのつもりで行くぞ」

「構いませんよ」


 距離がありすぎて間合いとは言えないが、闘技場で戦った時と同じ十メートルくらいを空けて立つ。

 エルミラさんが一応審判、というか合図の役で間に立っている。


「それでは両者とも、私が右手を挙げますので降ろした瞬間に始めて下さい」


 エルミラさんが声を掛け、右手を挙げる。


「両者、構え!」


 私は腰を低くし、居合い斬りの構えで八重桜は鞘に仕舞っている。

 王女は闘技場の時と同じく両腕で剣を構えている。


 エルミラさんが右手を振り下ろした。


雨燕(アマツバメ)


 その瞬間、私は高速で王女に駆け寄り、刀を抜いて王女の喉元に刃先を突きつけた。

 王女は硬直し震えている。

 何が起こったのかわからず呆然としているのが半分、もう半分は恐怖の表情だった。


「は…… ははは……」


 私は八重桜を鞘に仕舞うと、王女は両手と膝をついてへたり込む。

雨燕(アマツバメ)】とはローサさんに教わった型で、水平飛行ではもっとも速く飛べるアマツバメ(ハリオアマツバメは時速120km/h以上、ギネスでは170km/h)のごとく高速移動し、相手を一撃必殺で斬りつける。

 もはや人間業を超えて、非常に難易度が高い。

 これを指導しているローサさんに掛けられたときは、さすがに自分も王女のように固まってしまった。


 いつまでも敗者を見ているのはそれこそ恥なので、無言でその場を離れた。

 皆もそれをわかってくれたようで、王女一人を残して訓練所を後にした。



(王女ヴェロニカ視点、構えの時点に戻る)


 なんだ? 剣を鞘に収めたまま、あれは構えなのか?

 だが全く隙が無い。

 審判の女が手を振り下ろした! よし!

 !? ――やつがいない、どこだ?


 ――ズサーッッ


 なっ…… こいつ! いつの間にか私の懐に……

 何が起きた!? 全く見えなかった…

 身体が震える…… 何だこれは。怖い…… 恐怖なのか?

 そんな…… こいつに恐怖を感じるなんて……

 私では絶対に叶わない。

 騎士団長が一番と思っていたが、比べものにならない……

 まだ震えが止まらない……


---


 再び皆で食事会場へ。

 王女に呼ばれたときは、まだ食事が並んでいなかった。

 ルナちゃんたちが気を利かせてくれて、ベストタイミングで温かい食事が並んでいた。


「よーし! 気分を直してマヤ君おめでとぉ~!! 私にビールを持ってきてちょうだい!」

「じゃあ、私も少し飲もうかな……」


 エリカさんが一人騒ぎだす。

 エルミラさんは…… 飲むのはほどほどにしておきなさい。


「マヤ様、浮かない顔ですわね」

「王女の心情を考えると、素直に喜べないからね」

「あの王女に対してもお優しいのですね。そういうマヤ様も私は好きですよ」

「ありがとう、パティ」


 王女の態度にいきり立っていたパティだが、本気ではないだろう。

 パティも人の心がわかるいい子だ。大事にしたい。


「マヤ君も飲みなさいよ~!」

「あぁ…… じゃあ一杯だけね」


 エリカさんが煽ってくるので、一杯だけビールを飲んだ。

 この世界に来て酒を飲む機会は幾度かあったが、この身体はまだ慣れていないからすぐに酔ってしまった。

 だが最初の一口はたまらなく旨かったな。

 一応、この国の決まりでは十八歳から飲酒は大丈夫なので問題無い。


---


 食事を終え、ルナちゃんに手を引っ張られて自室へ戻った。

 酔いは覚めつつあるが、まだふらふらする。

 ルナちゃんは私をベッドに座らせてくれて、一生懸命パジャマに着替えさせてくれた。


「じゃあマヤ様、後は寝るだけですから、ちゃんとお布団を掛けて下さいね」

「ルナちゃ~ん、いつもありがとね~」


 ルナちゃんは両手で頬を押さえ顔を赤らめていた。


「じゃ、じゃあマヤ様おやすみなさいね。それでは失礼します」


 ルナちゃんは部屋を退出し、これで仕事を終えた。

 酔って顔がまだ火照っていて眠くはないんだが、ベッドの上で大の字になり寝転んだ。

 うへへ…… ルナちゃん可愛いなあ。

 カボチャパンツから覗く太股はとても健康的で素晴らしかった。


『――ねえマヤさん、マヤさん。ねえねえっ! ちょっと!』


 うぉ! これはサリ様の声か?

 頭の中に直接響いてきたのは念話の声なのか。


『王女との戦いを見たわよ。あなたも大変ねえ~ あれくらいならスパッと倒せたのに』

「いやまあ、あれはいろいろあって。でもさっき、王宮の訓練所でまた対戦したんですよ」

『えっ そんなことあったの!? で、どうなった?』

「あっさり勝てましたよ」

『そうなんだあ。へっ? なんでまた?』

「あー、そっちは覗き見してなかったんですか?」

『覗き見って、失礼ね。見守ってあげているのよ。で、どうだったの?』


 私は訓練所での経緯をサリ様に話した。


『そういうことね~ 王女、少なくとも何からの好意をあなたに持ち始めているかもよ?』

「えええ…… ホントですかぁ?」

『二本目に組み手を提案してきたじゃない。あなたとの戦いが楽しくなってきたってことよ』

「確かに強いやつと戦うのが楽しみって言ってましたね」

「その強いやつが見つかったということは、捕まえておきたくなるじゃない。王女はあなたに好意を持っていると自分自身で気づいていないんでしょうけれど、この後がどうなるか楽しみね。うっふふふっ」


 王女の見た目だけは好みなんだけれどなあ。あと匂い。むふっ

 少々厄介な相手に目を付けられたということになるのか。


『で、この後は女王とお楽しみなの?』

「もう見ないで下さいよ!」

『私は愛の女神でもあるのよ。人々の愛の営みを見届けるのは自然なことよ。あっはっはっはっ じゃあね~』


 酷い…… 女神の年齢を考えてみたらいろんな人の営みを無数に覗いてたんだろうな。

 ――ちょっと羨ましいかも。

 いや、タコみたいな宇宙人がいたとして、そんな営みも見ているんだろうか?


---


 今晩もシルビアさんからお呼びが掛かり、女王へのおつとめが始まる。

 ベビードールではなく、上下が紫でぱんつはひらひらのTバックだった。

 どうして歳を取ると濃い色のランジェリーを着けたがるのだろうか。


 今回は私がほとんど動く必要が無く、マグロ状態。

 女王がねっとりしっぽりと手厚い技を披露してくれた。

 すっかり搾り取られてしまったが、心地よい疲労だ。

 終了後は膝枕でピロートーク。

 私の視界は、女王の下乳しか見えない。


「マルティナ様、王女…… ヴェロニカ様はその後どうなさっていたんですか?」

「久しぶりに強い人に出会えたのに、なぜあなたが手加減をしていたのか、私が王族だからかなのか、悔しい、なんて言ってましてね。あの子は戦うことが昔から好きで、内心あなたと出会って嬉しかったんでしょう」


 そこまで母親に喋ってるということは、結構なお母さんっ子だな。

 戦うことが好きねえ。言葉は悪いが、王女は脳キン戦闘バカなんだろうか。


「観衆の目がありましたし、特にガルベス公爵らがいましたからあまり派手に負けてもらっても、王女の今後に影響があってもいけないかと思ったもので……」

「そこまで考えて下さって…… ありがとうございます、マヤさん。あの子は歯に衣着せぬ言葉遣いで、周りに反感を買うことが多いのはご承知のことと思います。私の教育が良くなかったんでしょうね……

 王女という立場も足枷になって、なかなか対等に話せる方がいないようです。

 私が知ってる限りでは、騎士団長くらいでしょうか。騎士団長は、あの子の剣の先生だったんですよ。彼は私より年上ですから、とてもお友達というわけにはいきませんね」


 私が察したこととだいたい合っている。

 王女は友達がいないんだな。

 私もあの言動をするような人物は正直苦手だから、無理してお近づきになる必要は無い。


「あの…… ヴェロニカ様が私たちの夕食前に決闘を希望されて、それで私が勝ったんですが、そのことはご存じですか?」

「えっ? そんなことがあったのですか? それでどうなったんです?」

「ヴェロニカ様が全力で戦って欲しいと言われたので、一撃必殺の技を直前で止めました。その後はかなり落ち込んでいたようですが……」

「いろいろ思い知ったんでしょうね。あの子には良い薬だったかも知れません。ありがとうございます――」


 その後は会話らしい会話をしないで、女王は私の頭や頬を撫でたり、戦闘を終えて(しな)びた分身君を握っていたりした。


 女王とお休みのキスをして自室に戻った。

 今日はいろいろあって疲れたな……

 軽くシャワーを浴び、ベッドへ入る頃は酔いがすっかり覚める。

 心地よい性的な疲労もあって、すぐに眠ることが出来た。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。