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第八十一話 ルナちゃんの気持ち/女神のビキニパンツ

「おはようございます、マヤ様。マヤさま~ マヤさま~」


 ルナちゃんの声で目が覚める。

 マカレーナを発って七日目、王宮に入ってから三日目の朝だ。

 普通の馬車で行っていたら七日ではとても到着しているはずがないから、セルギウスの速さはすばらしい。

 一週間もマカレーナを離れているとみんなが懐かしくなってくる。

 ビビアナやジュリアさんは元気でやってるかな。


 お約束通り、私の分身は今日も元気だ。

 つまり健康状態もばっちり。王女との対戦は問題無いだろう。


「おはようルナさん…。トイレに行ってくるね。」


 私がベッドから抜け出したときに彼女の目線が股間に行っていた気がするが…。

 女性もこういうふうに、男性の目線がわかるのだな。


 トイレを済ませ、顔を洗い、着替えを済ませ…

 今朝もエルミラさんと訓練をしておきたいから、予め八重桜を持って朝食会場へ向かう。


「おはようございます、マヤ様!」

「おはよう~」


 パティはいつも元気でよろしい。


「やあやあマヤ君、おはよう。

 ゆうべは、買ったランジェリーを並べて観賞してしまったよ。

 君にどれを最初に履かせようかと思ってね。」

「は…」


 まったく…、親におもちゃを買ってもらって眺めて喜んでいる子供と変わらない。

 肩掛けV字形ぱんつやガーターベルトストッキングがあったらどうしよう。

 あったら断固拒否せねば。


「エルミラさん、おはよう。

 この後また訓練に付き合ってもらってもいいかな?」

「おはよう。勿論だとも。いよいよ今日だねえ。」

「そういうわけなんで、よろしくね。」


 パティはこの後、女王と大臣らとの会談があるという。

 ガルシア侯爵の代理で公務に該当するから、なかなか立派なことだ。

 エリカさんは王女との対戦まで街をぶらぶらするらしい。


 朝食が終わり、エルミラさんと訓練。

 今日は最初から訓練所の隅を貸してもらい、エルミラさんは持参の槍を、私は八重桜を使う。

 エルミラさんはサリ様から動体視力を強化してもらったので、それの試しもある。


 最初にエルミラさんが槍で猛烈な突きの連続を繰り出す。

 そもそも槍と刀では、刀は圧倒的に不利で戦国時代の合戦なんて槍ばかりだ。

 突きの速度はいつもと変わらない。

 身体が強化されたわけではないので当然だ。

 私は下がり、刀で槍先と合わせるように振る。

 私の攻撃がほんの少しだけ躱されやすくなっている。

 ここで動体視力強化の効果が表れているのがわかる。

 私たちはここでいったん退く。


「ふぅ… マヤ君、ちょっと待って。少し目眩がする…。」

「おいおい、大丈夫?」

「普段は何ともないんだけれど、集中すると視力がまだ慣れないんだ。」

「こまめに休憩しながら少しずつ慣れるしかなさそうだね。」

「うん、そのようだ。」


 そういうことで、五分訓練して十分休憩の繰り返しを二時間ほどかけてやっていたら、エルミラさんの目はだいぶん慣れてきたようだ。

 反対に私の攻撃がどんどん躱されてしまっている。

 真剣だから実際に身体に当てるわけではなく、刃を合わせることが叶わなくなっている。


「はぁ はぁ… エルミラさん、全然刃が当たらないよ…。」

「すごいよこの目! 身体もだんだん追いついてきてる!」

「マカレーナに帰ったら、ローサさんと対戦してみたらいいと思うよ。」

「あの人に勝てるかな…。とにかく速いんだ、ローサさんは…。」


 ローサさんは異様に強い。

 私も力業でぎりぎり勝てたぐらいで、技や動きの鋭さは圧倒的にローサさんに軍配がある。

 また私も稽古をつけてもらわないとな。


 その後は少し組み手をやった。

 私はエルミラさんの汗の匂い中毒なので、接近戦になるこれも楽しみである。

 今日は彼女を後ろから捕まえることが出来た。

 ずいぶん動いた後なので汗びっしょり。

 いつものミルクのような女性の良い匂いが鼻をくすぐる。たまらん…


「すーはぁー そろそろ終わりにしようかな。」

「マヤ君なんか変だよ。汗びっしょりで早くお風呂に入りたいな。」


 私は捕まえたエルミラさんを解き、訓練を終える。


---


 部屋に戻ると、ルナちゃんが気を利かせてお風呂にお湯が貯めてあった。

 ルナちゃんはどこへ行ったのかな。まあいいや。

 昼食前までゆっくりお風呂に入らせてもらおう。


「あっ マヤ様もうお風呂に入られていたんですね。」

「うぉ!?」


 ルナちゃんは白いキャミソールにカボチャパンツという格好でお風呂に入ってきた。


「マヤ様はこれから人生か掛かっている戦いをされるのですから、身体を清めましょう!

 私がお身体を洗って差し上げます!」

「いやあの、大丈夫なの? 恥ずかしくないの?」

「は…恥ずかしいです…。男性にこんな姿を見せたのは初めてです。

 でもマヤ様のために気合いを入れました!」


 どうせなら裸が良かったな…なんて下劣なことを考えたが、ルナちゃんの気持ちを素直に受け取って、背中を流してもらおう。


「男の方の背中ってこんなに広いんですね。

 こんなにじっくり見ることがなかったので驚きました。」

「そ、そうかな…」


 ルナちゃんは小さな手で一生懸命タオルでごしごしと後ろから、肩や背中、腰の辺りを丁寧に洗ってくれている。

 ラミレス侯爵の子達やエリカさんは刺激が強かったけれど、彼女はすごく健気さを感じる。


「あの… 身体の前を洗いますね…。」

「いやその…、反応しちゃって…、恥ずかしいな…ははは」

「大丈夫です! 頑張ります! 男の方だから、仕方がないです!」


 私は向きを変えてルナちゃんと対面になった。

 ルナちゃんは私の分身をまじまじと見つめ、顔を真っ赤にしながら我慢している表情に見える。


「いくら私のことを理解してくれたとしても、出会って三日の私にこんなことまでするのって…?」


「マヤ様は絶対に酷いことをしないとわかっていますし、私のことをわかってくれると思ったんです。

 それから、いつかは男性のお客様のお世話をしなければいけない時が来ます。

 女王陛下は貴族といえど給仕係に手を出すことは固く禁じているのでそれは安心なのですが、中にはお金を受け取って行為に及ぶ子もいたようです。

 最初がマヤ様だったら、その後は頑張ってやって行けそうかなって…えへへ」


 彼女の笑顔の中には、どことなく哀しい表情が混じってるように見えた。

 何とかしてあげたいが…。

 しかし、女王がそんなに厳しく言ってるのに、私は何故毎晩おつとめをせねばならんのだ。

 自分には甘いんだな。


「一つ聞いてみるけれど、もし私の給仕係になれるとしたらどうする?」

「それは…、とても有り難いお話です。

 でも、今の私の話で同情するのでしたらおやめください。

 マヤ様のためにはなりませんよ。

 王宮の仕事は大変ですけれど、フローラたちと仲良くしてますから楽しいですよ。」

「わかった。私が悪かった。その話は一先ず置いておこう。」


 もし私が男爵になれたら、一人くらいは専属の給仕係が欲しい。

 ジュリアさんやビビアナはどちらかと言えば料理向きだし、お掃除洗濯がしっかり出来て執事の代わりが出来そうな教養がある子はルナちゃんが適性あるだろう。

 女王に掛け合ってみるか…。

 男爵になるだけでは、せっかく王宮で育てた優秀な給仕を引き抜くのには条件が足りなさそうだ。難しい…。


「あの…、前の方を洗わせて頂いてよろしいですか?」

「ああ、ごめんよ。よろしく。」


 私は少し前屈みの体勢だったので上半身を起こした。

 余計に私の分身が目立ってしまい、恥ずかしい。

 彼女は洗顔、それから首から肩、腕、胸、お腹、太股、足の順に一生懸命細かく洗ってくれている。

 で、最後に残ったのが分身だが…。


「あのぅ、そこは自分で洗うからいいよ。」

「いいえ、これも経験ですから是非洗わせて下さい。」


 この子は時々頑固になるからなあ。任せるしかないか。


「繊細なところだから、包み込むようにして優しくマッサージするようにね。」

「はい、わかりました。」


 この国ではこんな子でも結婚できる歳だし、仕事でこんなことをさせても合法なんだなあ。

 さっきから、キャミソールの隙間からFカップはあろう大きな胸の谷間が覗いているが、ぱつんぱつんになっているので意外にそれ以上は見えない。。

 洗われている状態で考えすぎると私の分身が激発しそうなので、目をそらした。


「マヤ様、これでよろしいでしょうか?」

「あぁ、ありがとう。」


 分身は何とか耐えしのぎ、最後に頭を洗ってもらい湯船に浸かる。

 洗ってもらうのはものの十数分のことだったのに、ずいぶん長い時間に感じた。


「それではごゆっくり…」


 ルナちゃんはお風呂場を退出した。

 湯船の中で、何か急に胸が締め付けられる感覚がやってきた。

 これは…、私はルナちゃんが好きになったのかなあ。

 もっとも、あんな健気な子を好きにならない男性はそういないだろう。

 いつも一緒にいられたら…。

 だが今はどうにかなりそうにないから、とにかく今日は勝って叙爵をしてから考えよう。


 私はお風呂から上がって…、あぁ…また下着を用意するのを忘れた。

 お風呂から上がったらタオルで濡れた身体を拭き取ってくれるもんだが、この辺は抜けてるよな。

 本当に私の専属になったらそうしてもらおう。

 そういうことで、用意してあったタオルで、自分で拭く。


 そのまま素っ裸で部屋に戻ったら、給仕服に着替え直しているルナちゃんが待機していた。

 洗濯済みのトランクスを手に取って用意してくれたが、今日は違う。

 分身をしっかりホールドしてくれる、買ったばかりのビキニパンツを履くのだ。

 そんなにローライズではない黒いビキニパンツだ。

 買った服に紛れて下着が入った袋にも女神パワーを受けた、女神のビキニパンツだ。

 これなら分身もしっかり保護してくれるだろう。


「ルナさん、今日は戦いのためにこれを履こうと思っているんだ。

 男性のコレをしっかり支えて動きやすくするにはビキニパンツがいいのさ。」


 私は袋から新しいビキニパンツを取り出し、自分で履いた。


「そうなのですか? 勉強になります!」


 ルナちゃんはビキニパンツ姿の私を見上げるようにキラキラした目で眺めている。


「素敵ですね…」


 うう、そんな純粋な目で見ないでくれ。

 エリカさんみたいに舌なめずりするような嫌らしい目で見られた方が気楽である。

 ルナちゃんはシャツと、とりあえず昼食のために普通のYシャツとズボンの着替えを手伝ってくれた。


---


 いつもの食堂にて昼食。

 そしていつものように三人が先に席に着いてる。


「マヤ様、いよいよですわね!

 三時に闘技場ですから、二時に王宮の馬車を玄関前に手配を頼みましたので、よろしくお願いしますね!」


 パティはそういうところでいろいろ気が利いてくれて頼もしい。

 執事がいらないくらい優秀なのだ。

 食事はみんな美味しそうにバクバク食べているけれど、私は戦いの前だし緊張もしてきたので控えめにあっさり物だけを。


 また部屋に戻り、ルナちゃんは食事のためにいったん休憩。


「お着替え手伝いしますから、すぐ戻りますね。」

「いいよ。ゆっくりしておいで。」

「いけません。私はマヤ様をちゃんと見届けたいんです。」


 ルナちゃんも一緒に戦ってくれる。そんな気がした。

 私は店で買った女神様パワー付与のベスト、シャツ、ズボン、ジャボを用意した。

 貴族風の様相だが、前の革ジャンとカーゴパンツと同じなら傷も着かねば汚れもしないし、見映えだけは良くしておく。


「只今戻りました!」


 三十分も経たないうちにルナちゃんが戻ってきた。

 そんなに急ぐこともないのに。


「ずいぶん早かったじゃない。休憩はちゃんと取らなきゃ。」

「食事はそんなにたくさんじゃないから大丈夫です!

 それにいつもはちゃんと休憩してて、暇なくらいですから。

 今日は特別な日なんです!」

「まあ、そこまで言うなら…。」


 早速ルナちゃんに着替えの手伝いをしてもらって、ビシッとキメてみた。

 姿見の鏡で自分を見ると、うーんなかなか様になっているかな。


「マヤ様、とっっっても素敵ですよ!」


 まるで自分のご主人様のごとく喜んでくれているが、あと数日でもうお別れと思うと寂しくなってくる。

 ……私はゆっくりルナちゃんを抱きしめた。


「え? え? 私なんか抱いて、せっかくの服が汚れてしまいますよ?」

「ありがとう、こんなに気を遣ってくれて。とても嬉しかった。

 とても元気が出たし、勝てそうな気がするよ。」

「そんな…、お仕事ですから…。」

「仕事だけの気持ちならここまでしてくれないさ。」


 私はルナちゃんを身体から離し、頭を撫でた。

 彼女は顔を赤くし照れ顔だ。


「さて、そろそろ行こうかな。」


---


 王宮玄関前にはすでに馬車とパティ達三人が待っていた。


「マヤさまー! さあ参りましょう!」


 パティはいつも元気で声を掛けてくれる。

 私たちは馬車に乗り込み出発した。

 ルナちゃんたちお付きの給仕係四人が大きく手を振って見送ってくれている。

 私も手を振り返した。

 可愛すぎてみんな連れて帰りたいな。ぐふふ


「マヤ様、何ニヤついているんですか?

 お召し替えの時にエッチなことはしてないでしょうね?」

「そんなことはしないよ。ははは…」


 それを聞いてエリカさんは「にしし」と笑っていた。


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