第七十九話 女神様、ブティックへ行く
2026.5.3 全体的に見直し、加筆修正を行いました。
買い物をしに下界へ降りてきた女神サリ様を食事に誘い、パエリアなどをお腹いっぱい食べた。
仔牛のローストステーキまで追加してバクバク食っていたサリ様。
天界には美味しい料理が無いのか?
『ふぅ~ たくさん食べたわ。マヤさん、ご馳走様! で、今度はどこへ行くの?』
「はぁ…… どこへ行きましょうかねえ」
女神様、今日はこのまま付いてくる気か?
厄介事にならなければいいけれど……
思い出した。一つお願いしたいことがある。
「サリ様。最初に頂いた革ジャンとカーゴパンツは凄い防御力なんですね」
『そうでしょうそうでしょう。あれね、あなたが住んでいた街にあった「ファッションセンターしまばら」で安くて良い物があったから買ってみたの。私のセンス最高でしょ。それに私の力を付与して防御力を上げたの。』
衝撃の事実を知ってしまった。あれは「しまばら」で買ったのか。
確かに安くて私も地元でよく利用していたんだけれどね。
サリ様のセンスねえ…… 上下とも黒は無いわ。
「それで前から思っていたんですが、この世界の街を歩き回るときにあの服装はあまりふさわしくないと思いまして…… 出来たら別の服も欲しいなと思っていたところです」
『なるほどねえ~ あなたが言いたいこともわかるわ。それじゃあさ、これからあなたの服を買いに行きましょうよ。買った服に私の力を付与してあげるから』
「おお! それはありがたいです。みんな、次はブティックへ行ってもいいかな?」
「私はかまいませんわ。元々行こうと思っていましたの。そうですわ! 私がマヤ様の服をコーディネートをして差し上げます!」
この中で一番服のセンスがあるのはパティだからな。
彼女にまかせたほうが良いかもしれない。
「私もいいよ。何か面白そうなのが見られるかも知れないね。むふふっ」
エリカさんは…… 面白いとか面倒くさいで自分の行動を決めることが多いからな。
期待はしないで欲しい。
「ああ…… それじゃあ私も」
エルミラさんは完全にオマケになっちゃったかなあ。ごめんよ。
前にも言ったが彼女は私と同じくらい服装に無頓着だけれど、顔もスタイルも凄く良いから、もっとカジュアルなスーツでも買ってあげたいな。
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私たちはまた五人でぞろぞろ歩き、【ZABA】というブランド服の店へ入った。
ショーウインドウがとても大きく、何体ものマネキンにお洒落な服を着せられていた。
こちらもマドリガルタの本店だそうで、店内はパッと見渡してもどこに奥があるのかわからないほど広い。
サリ様は皆の前でクルッと周り、両手を広げるポーズをしながらこう言う。
『せっかくだからさあ、みんなここで買った服に女神パワーを付与してあげるから選んで来なよ。戦闘の時に動きやすい服がいいね』
「そんなに大サービスしてていいんですか?」
『いつも下界に降りていられるわけじゃないし、魔物もだんだん強くなってきているみたいだから、来るべき時のために防御力を強化しておくにこしたことはないわね』
「今着ている物ではダメなんですか?」
『新品の服に付与したほうがずっと効果が高いからよ』
どういう理屈でそうなるのか、新車のガラスコーティングみたいなものか?
「私は一人で選んでくるからね」
エリカさんは他人の服をを選ぶときは押しつけてくるくせに、自分の物を買うときはいつも一人でゆっくり選んでいる。
喜んで買ってくれるのはいいが、ジュリアさんの下着といい際どい物を履かせて自分が楽しみたいだけだからね。
「パティ。お願いがあるんだけれど、私とエルミラさんのカジュアルスーツを見立ててくれないかな?」
「お任せ下さい! お二人にお似合いの物をしっかり選んで差し上げますわ!」
パティはやる気満々のようだ。
元々自分の服を買いに来たはずなのに、私たちの服選びのほうが楽しみのように思える。
「あの…… 私は……」
「エルミラさん、服ぐらい私がプレゼントするから遠慮はいらないよ」
「ありがとう、マヤ君……」
エルミラさんは照れ隠しの顔。
愛している女性に、しかもこんなに格好いいんだから投資をしても全く惜しくない。
パティが服を選ぶのに時間は掛からず、エルミラさんには薄い茶色ジャケットとパンツに白いシャツ。
私にはエルミラさんと同じデザインの上下グレー、濃紺のシャツを選んでくれた。
エルミラさんは身長もあるしメンズのほうが似合っている。
『マヤ君とお揃いかあ。嬉しいな』
試着後、エルミラさんも私も悩むことなくパティが選んでくれた物を買うことにした。
パティのコーディネートはバッチリ。
しかし同じスーツなのにエルミラさんと私の着こなしが違いすぎるので、落ち込んでしまう。
それくらいエルミラさんはイケメン女子なのだ。
「サリ様、私の我が儘ですがもう少し別の服を選んでもいいですか?」
『いいわよ。この機会に好きなだけ選んじゃいなさい』
「じゃあお言葉に甘えて……」
たぶん貴族になるんだろうから、またパティに見立ててもらう。
濃いめの紺色と黒のジャケットの二着、別にスーツとズボン、ベストをそれぞれ二着、シャツ五枚、ジャボとネクタイも三本ずつ、靴も二足を揃えた。
欲張りすぎたか?
お会計、エルミラさんの物も合わせて金貨二枚と銀貨四枚。日本円で二十数万円相当。
貴族向け衣装の値段は天井知らずであるから、これでも安く上がったかも知れない。
パティは値札を全然見ていなかったけれど、目利きは良いのかな。
「愛する旦那様には、生地の裏にこそ良い物を使っている服を着て頂きたいでからね。うふふっ」
「あ、ありがとう……」
旦那様か……
いつか結婚したら家庭内のことは全てパティに支配されそうだ。
私が手に持っている紙袋をサリ様が見て、ニコニコしている。
『うわぁ~ ずいぶんたくさん買ったわねえ。マヤさんとエルミラさんはこれで買い物が済んだ?』
「はい、これで全部です」
面倒なことにならないよう、店員さんには見られない店内の隅っこへ移動した。
『じゃあ紙袋をそこへ並べてね』
私はエルミラさんの紙袋も含めたものとスーツカバーを店の床に並べた。
『じゃあやるね。ほいっ ほいっ ほいっ ほいっ ほいっ ほいっ』
サリ様は袋一つずつに手をかざして力を付与している。
レーザーを受けても破れない防御力をあんなに簡単に付与できるなんて、あれでも一応神様なんだねえ。
『これで終わりね。次はパティちゃんの服を決めなきゃね』
「はい! マヤ様、エルミラさん。付き合って頂けますか?」
「うん、いいよ」
「はい、お嬢様!」
「そういえばパティの服を選ぶなんて初めてだったかなあ?」
「そうですわね。よろしくお願いしますね。うふふ」
侯爵令嬢とは言えあんまりひらひらしたドレスは、この先もある旅には向かないだろう。
膝丈スカートの簡素なドレスや制服のようなブレザーが一番無難か。
だが、パティが最初に試着で持って来たのはパンツスーツだった。
ズボン姿なんてパジャマぐらいでしか見たことがなかったけれど、パンツスーツはまだ年齢的に似合わないんじゃないかなあ。
「ちょっと挑戦してみようかと思いまして、私も大人っぽくなるかしら」
そう言ってパティは試着室へ入っていった。
ゴソゴソと聞こえるが、中ではぱんつとブラになっているのかと思うと興奮する。
あれ? サリ様がどこかへ行ってしまった。
カモフラージュしていても漏れてる魔力を僅かに感じるので、店内にいるのがわかる。
パティは選ぶのが長いし、飽きてエリカさんの所へ行ったのかも知れない。
「すみません…… エルミラさん。ちょっと手伝って頂きたいのですが……」
「え? はい、お嬢様」
パティはどうもスーツを着るのに手こずっているみたいで、エルミラさんも試着室へ入っていった。
エルミラさんと試着室といえば、武器防具屋でエルミラさんが試着室でボディースーツが脱げなくなって、私が手伝ったのを思い出した。
あれは実にエッチなシチュエーションで、甘い思い出として残っている。
おっ 試着室の中から声が聞こえる。
「お嬢様…… ウエストは大丈夫みたいですが、お尻がキツくないですか?」
「はわわっ イヤですわ…… またお尻が大きくなったのかしら……」
むほっ スカートではよくわからなかったが、パティはお尻が大きいんだな。
アマリアさんのお尻も大きく、私はやや大きめでふわっとした触り心地は胸より幸福を感じてしまうほどお尻が好きなのだ。
将来のパティは間違いなくボンキュッボンになるだろう。実に楽しみだ。
「とりあえず上着も着てみましょう……」
――ゴソゴソ
「うーん、肩幅は全く問題無いのですが、胸が大きくて…… どうですかね」
「そうですわね。ボタンが留めにくいですね…… マヤ様にも見て頂きましょう」
試着室のカーテンがシャーッと開けられ、紺色のパンツスーツ姿のパティが現れた。
なんでそんな小さいサイズを選んだんだと思うくらい、ラペル(下襟)から白いブラウスに包まれた胸が溢れ、ぱつんぱつんになっている。
「マヤ様! どうですか?」
「あー、うーん…… サイズが合わないようだね。あはは……」
「そうですか…… 後ろも見て頂けますか?」
パティは華麗に回れ右をして後ろを向き、ロングヘアーの後ろ髪を前へ持って行き後ろ襟も見えるようにしてくれた。
上着の肩幅は確かに大丈夫だが……
裾はサイドベンツ(スーツの後ろ両側にある切れ込み)か。
その裾でお尻が見えないので確認が必要だ。うむ、確認なんだ。
「パティ、ズボンの後ろを見たいから上着を脱いでくれないかな?」
「はい、わかりました!」
パティは話し方で気分の良し悪しがわかりやすい。
だから私が良いと言ったら買う気満々のようだが……
上着を脱ぎ終えたので再び後ろ姿を拝見する。
白いブラ透け……
時々ブラウスだけの時は見えることもあったが、あまり気にしてなかった。
そんなことで喜ぶほど私は若くないが、まじまじと見るのは初めてだな。
そして…… ぬぉ!?
パンツのお尻もぱっつんぱっつんなので、パンティーラインがくっきり出ている!!
ハーフバックで一番ラインが見えちゃうぱんつを履いている。
ブラの色からしてぱんつも白だろうが、妄想が悶々と膨らんでくるぞ。
くぅぅぅ…… このお尻のボリューム感、彼女がまだ十三歳というのが信じられん。
さて、どう言ってスーツを選ぶのをやめさせようか。
「マヤ様、似合います?」
「うーん…… パティにはちょっと早いかな」
「それは私がまだ子供ってことですか?」
ほらこれだ。だが分かりやすい反応だったのでこう返す。
「パティは今の可愛らしさを活かすには、やっぱりいつものドレスが一番だね。
エルミラさんぐらいの歳になればきっとパンツスーツも似合うと思うよ。
エルミラさんがパティみたいなドレスを着ても似合わないし、今しか着られない服を楽しんだほうがいいと思うな」
ダシに使われたエルミラさんは苦笑していた。
エルミラさんの膝丈ドレスも見てみたい気がするが、絶対着ないだろう。
「可愛らしさって…… うふふ。マヤ様がそう言われるなら、ドレスを選びますわ。またよろしくお願いしますね。」
うむ、聞き分けがいい子で良かった。
さあまた服選びだ。
私たっての希望で、真紅と漆黒それぞれのゴシック調膝丈スカートのドレスを一着ずつ、ジャケットと膝丈のプリーツスカートはシックなブラウンとグレーを選んだ。
「マヤ様は近頃こういうのが趣味なんですの? 前は淡い色が似合うと言われていたかと思いますが……」
「パティは大人になっていくから、こういう色の服も持っていたほうが良いと思ってね」
「わあっ ありがとうございます!」
パティは私に抱きつくほど喜んでくれた。
前世で見ていた人形アニメのコスプレのような姿が見たいだなんて言えない。
パティは会計を済ませ、四着で金貨二枚銀貨六枚だった。ひえっ
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「やあやあみんな、もう買い物は済んだかな?」
そこへやってきたのは、エリカさんとサリ様だった。
この二人、ちゃらんぽらんコンビとして第三者が苦労しそうである。
エリカさんもすいぶん服を買い込んだようだ。
ランジェリー店で買った物も含めるととんでもない量だ。
「エリカさんはどんな服を買ったの?」
「秘密。着てからのお楽しみだよ」
『じゃあエリカさんとパティちゃんの服にも付与するからね。そこへ並べて~』
店内で通行の人が邪魔になりそうなくらい並んだ。
さっさと済ませて欲しい。
『では…… ほいっ ほいっ ほいっ ほいっ ほいっ ほいっ ほいっ』
サリ様は手をかざし次々と力を付与している。
たくさんあるのでかけ声が余計に可笑しい。
『よし。これでみんな終わったね。じゃあ私、これで天界へ帰るから』
「あららっ もうお帰りですか」
『えーっ? 寂しいの? マヤさんったら私のことを好きになっちゃった?』
「いや……」
そんなことを言うからパティが不機嫌そうなジト目で私を見ている。
『あっ でも明日の王女との決闘だっけ? 見に行くからね。何か面白そうだし~』
「一般公開はしないみたいですよ。観客に紛れてというわけにはいかないのでは?」
『私を誰だと思っているの。ふふんっ あ、王女ってあなたが思っているより強いから、頑張ってね~』
「へっ?」
サリ様は軽くヘラヘラと言って手を振り、私たちはお店の前で呆気にとられながら見送った。
その時……
『あっ』
サリ様は僅かな段差を踏み外し、転んでしまう。
うつ伏せになってお尻がつき上がり、女神ワンピースのスカートが大きく前へ捲り上がってぱんつ丸見え!
ああ…… この女神様、またやっちまったか。
一番最初にサリ様と出会った時に天界神殿にある謁見の間でも転び、それと全く同じ体勢である。
白のハーフバックでクロッチ以外は総レースのセクシーぱんつだから、お尻の割れ目が透けて見える。
それを私たち四人の目の前で、大胆に披露してしまったのだ。
「はわわわわわっ……」
「サリ様ってなかなか良い趣味ね…… にひひ」
「かっ 神様の下着って…… すごい……」
パティは顔を手で隠しつつも指の隙間から覗いているむっつりスケベ。
エリカさんはニタニタ笑い、エルミラさんは白目になってサリ様のお尻を注視している。
サリ様はスクッと立ち上がり、顔をくしゃくしゃにして涙を流し私たちを見返した。
『またマヤさんに見られちゃったぁぁぁぁぁぁ!』
「えええっ!?」
サリ様は大声でそう言って走り去り、風のようにどこかへ消えてしまった。
そんな所で私の名前を言わないで欲しい。だから……
「マヤ様! また見られたってどういうことですの?」
「マヤ君って本当にぱんつに縁があるのね」
「マヤ君、君って人は神様まで手当たり次第に……」
「全て偶然だってば! 信じてよ……」
これだからもう……
私はぱんつが好きだが、強要して見せてもらったことは一度も無いぞ。
ただのラッキースケベに過ぎない。
あれ? この世界に来てラッキースケベ率がとても高くなった気がするけれど……
これもサリ様が付与した力に、サリ様自身まで引っかかってしまったの?
――サリ様の話では、王女は強いのか……
王女から魔力を感じなかったから、純粋な剣士だろう。
言われたとおり用心しながら戦うとしよう。




