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第七十九話 女神様パワーを付与した服の秘密

2022.6.29 オチがいまいちだったので、末端部を大幅に改稿しました。

『ふぅ~ たくさん食べたわ。マヤさん、ご馳走様!

 で、今度はどこへ行くの?』


 女神様、今日はこのまま付いてくる気かな。

 厄介事にならなければいいけれど。

 思い出した。一つお願いしたいことがある。


「サリ様、最初に頂いた革ジャンとカーゴパンツは凄い防御力なんですね。」

『そうでしょうそうでしょう。

 あれね、あなたが住んでいた街にあった「ファッションセンターしままち」で安くて良い物があったから買って見たの。私のセンス最高でしょ。

 それに私の力を付与して防御力を上げたの。』


 衝撃の事実を知ってしまった。あれは「しままち」で買ったのか。

 確かに私もよく利用していたんだけれどね。

 サリ様のセンスねえ…。上下とも黒は無いわ。


「それで前から思っていたんですが、この世界の街を歩き回るときにあの服装はあまりふさわしくないと思いまして、出来たら別の服も欲しいと思っていたんです。」

『なるほどねえ~ あなたが言いたいこともわかるわ。

 それじゃあさ、これからあなたの服を買いに行きましょうよ。

 買った服に私の力を付与してあげるから。』


「おお! それはありがたいです。

 みんな、次は服屋に行ってもいいかな?」


「私はかまいませんわ。元々行こうと思っていましたの。

 そうですわ! 私がマヤ様の服をコーディネートをして差し上げます!」


 この中で一番服のセンスがあるのはパティだからな。

 彼女にまかせたほうが良いかもしれない。


「私もいいよ。何か面白そうなのが見られるかも知れないね。むふふ」


 エリカさんは…、面白いとか面倒くさいで自分の行動を決めることが多いからな。

 期待はしないで欲しい。


「ああ…、それじゃあ私も。」


 エルミラさんは完全にオマケになっちゃったかなあ。ごめんよ。

 前にも言ったが彼女は私と同じくらい服装に無頓着だけれど、顔もスタイルも凄く良いから、もっとカジュアルなスーツでも買ってあげたいな。


---


 私たちはまた五人でぞろぞろ歩いて、【ZABA】というブランド服店に入った。

 こちらも本店だそうで、大きな店だねえ。


『せっかくだからさあ、みんなここで買った服に女神パワーを付与してあげるから選んで来なよ。

 戦闘の時に動きやすい服がいいね。』

「そんなに大サービスしてていいんですか?」

『いつも下界に降りていられるわけじゃないし、魔物もだんだん強くなってきているみたいだから、防御力を強化しておくにこしたことはないわね。』

「今着ている物ではダメなんですか?」

『新品の服に付与したほうがずっと効果が高いからよ。』


 いったいどういう理屈でそうなるのか、新車のガラスコーティングみたいなものか?


「私は一人で選んでくるからね。」


 エリカさんは自分の物を買うときはいつも一人でゆっくり選ぶ派のようだ。

 人の物を喜んで買ってくれるのはいいが、ジュリアさんの下着といい際どい物を履かせて自分が楽しみたいだけだからね。


「パティ、お願いがあるんだけれど、私とエルミラさんのカジュアルスーツを見立ててくれないかな?」

「お任せ下さい! お二人にお似合いの物をしっかり選んで差し上げますわ!」


 パティはやる気満々のようだ。

 元々自分の服を買いに来たはずなのに、私たちの服選びのほうが楽しみのように思える。


「あの…私は…。」

「エルミラさん、服ぐらい私がプレゼントするから遠慮はいらないよ。」

「ありがとう、マヤ君…。」


 エルミラさんは申し訳なさそうな顔をしているが、愛している女性で、しかもあんなに格好いいんだから投資をしても全く惜しくない。

 パティが服を選ぶのに時間は掛からず、エルミラさんには上下薄い茶色に白いシャツ、私には同じデザインで上下グレーで濃紺のシャツを選んでくれた。

 エルミラさんは身長もあるしメンズのほうが似合っている。


『マヤ君とお揃いかあ。嬉しいな。』


 試着後、エルミラさんも私も悩むことなくパティが選んでくれた物を買うことにした。

 パティのコーディネートはバッチリ、というより任せて妥協した感がある。

 しかし同じスーツでこうもエルミラさんと私の見た目が違いすぎるのはちょっと落ち込んでしまう。

 それくらいエルミラさんはイケメン女子なのだ。


「サリ様、私の我が儘ですがもう少し別の服を選んでもいいですか?」

『いいわよ。この機会に好きなだけ選んじゃいなさい。』

「じゃあお言葉に甘えて…」


 たぶん貴族になるんだろうから、またパティに見立ててもらう。

 濃いめの紺色と黒のジャケットの二着、別にスーツとズボン、ベストをそれぞれ二着、シャツ五枚、ジャボとネクタイも三本ずつ、靴も二足を揃えた。

 欲張りすぎたか?

 お会計、エルミラさんの物も合わせて金貨二枚と銀貨四枚。日本円で二十数万円相当。

 そこそこ良い物なんだけれど、パティは値札を全然見ていない…。

 パティはガルシア家に倣って貴族令嬢にしては華美ではないのだが…。


「愛する旦那様には、生地の裏にこそ良い物を使っている服を着て頂きたいですわ。」


 左様ですか。


『うわぁ~ ずいぶん買ったわねえ。まあいいけどね。

 マヤさんとエルミラさんはもう買い物が済んだわね?』

「はい、これで全部です。」


 面倒なことにならないよう前もって、店員さんには見られない場所に移動する。


『じゃあ紙袋をそこへ並べてね。』


 私はエルミラさんの紙袋も含めたものとスーツカバーを店の床に並べた。


『じゃあやるね。ほいっ ほいっ ほいっ ほいっ ほいっ ほいっ』


 サリ様は袋一つずつに手をかざして力を付与している。

 レーザーを受けても破れない防御力をあんなに簡単に付与できるなんて、あれでも一応神様なんだねえ。


『これで終わりね。次はパティちゃんの服を決めなきゃね。』

「はい! マヤ様、エルミラさん。付き合って頂けますか?」

「うん、いいよ。」

「はい、お嬢様!」

「そういえばパティの服を選ぶなんて初めてだったかなあ?」

「そうですわね。よろしくお願いしますね。うふふ」


 侯爵令嬢とは言えあんまりひらひらしたドレスはこの先あるだろう旅には向かないので、膝丈スカートの簡素なドレスが一番無難であろう。

 だがパティが最初に試着で持って来たのはパンツスーツだった。

 ズボン姿なんてパジャマぐらいでしか見たことがなかったけれど、パンツスーツはまだ年齢的に似合わないんじゃないかなあ。


「ちょっと挑戦してみようかと思いまして、私も大人っぽくなるかしら。」


 そう言ってパティは試着室へ入っていった。

 ゴソゴソと聞こえるが、中ではぱんつとブラになっているのかと思うと興奮する。

 あれ? サリ様がどこかへ行ってしまったが、カモフラージュしても漏れてる魔力を僅かに感じるので、店内にいるのだろう。

 パティは選ぶのが長かったし、飽きてエリカさんの所へ行ったのかも知れない。

 

「すみません…、エルミラさん。ちょっと手伝って頂きたいのですが…。」

「え? はい、パトリシア様。」


 パティはどうもスーツを着るのに手こずっているみたいで、エルミラさんも試着室へ入っていった。

 エルミラさんと試着室といえば、武器防具屋でエルミラさんが試着室でボディースーツが脱げなくなって、私が手伝ったのを思い出した。

 あれは実にエッチなシチュエーションで、甘い思い出として残っている。

 お…、試着室の中から声が聞こえる。


「お嬢様…、ウエストは大丈夫みたいですが、お尻がキツくないですか?」

「えぇ…、そんな気がしますわね…。」


 むほ。スカートではよくわからなかったが、パティはお尻がやや大きいと。

 アマリアさんのお尻もだが、やや大きめでふわっとした触り心地は胸より幸福を感じてしまうほど私はお尻が好きなのだ。


「とりあえず上着も着てみましょう…。

 ゴソゴソ…

 ………うーん、肩幅は全く問題無いのですが、胸が大きくて…どうですかね。」

「そうですわね…。ボタンが留めにくいですね…。

 マヤ様にも見て頂きましょう。」


 試着室のカーテンがシャーッと開けられ、紺色のパンツスーツ姿のパティが現れた。

 なんでそんな小さいサイズを選んだんだと思うくらい、ラペル(下襟)から白いブラウスに包まれた胸が溢れてぱつんぱつんになっている。


「マヤ様! どうですか?」

「あー、うーん… サイズが合わないようだね… あはは」

「そうですか…。後ろも見て頂けますか?」


 パティは華麗に回れ右をして後ろを向き、ロングヘアーの後ろ髪を前へ持って行き後ろ襟も見えるようにしてくれた。

 上着の肩幅は確かに大丈夫だが…、裾はサイドベンツか。

 その裾でお尻が見えないので確認が必要だ。うむ、確認なんだ。


「パティ、ズボンの後ろを見たいから上着を脱いでくれないかな?」

「はい、わかりました!」


 パティは話し方で気分の上下がわかりやすい。

 だから私が良いと言ったら買う気満々のようだが…。

 上着を脱ぎ終えたので再び後ろ姿を拝見する。


 白いブラ透け…

 時々ブラウスだけの時は見えることもあったが、あまり気にしてなかった。

 そんなことで喜ぶほど私は若くないが、まじまじと見るのは初めてだな。

 そして… ぬぉ!?

 お尻もぱっつんぱっつんなので、パンティーラインがくっきり!!

 ハーフバックで一番ラインが見えちゃうぱんつを履いている。

 ブラの色からしてぱんつも白だろうが、妄想が悶々と膨らんでくるぞ。

 くぅぅぅ… この子がまだ十三歳というのが信じられん。

 さて、どう言ってスーツを選ぶのをやめさせようか。


「マヤ様、似合います?」

「うーん…、パティにはちょっと早いかな…。」

「それは私がまだ子供ってことですか?」


 ほらこれだ。だが分かりやすい反応だったのでこう返す。


「パティは今の可愛らしさを活かすには、やっぱりいつものドレスが一番だね。

 エルミラさんぐらいの歳になればきっとパンツスーツも似合うと思うよ。

 エルミラさんがパティみたいなドレスを着ても似合わないし、今しか着られない服を楽しんだほうがいいと思うな。」


 出しに使われたエルミラさんは苦笑していた。

 エルミラさんの膝丈ドレスも見てみたい気がするが、絶対着ないだろう。


「可愛らしさって…うふふ。マヤ様がそう言われるなら、ドレスを選びますわ。

 またよろしくお願いしますね。」


 うむ、聞き分けがいい子で良かった。

 さあまた服選びだ。

 私たっての希望で、真紅と漆黒それぞれのゴシック調膝丈スカートのドレスを一着ずつ、青系とブラウンのドレスも一着ずつ選んだ。


『マヤ様は近頃こういうのが趣味なんですの?

 前は淡い色が似合うと言われていたかと思いますが…』


 前世で見ていた人形アニメのコスプレのような姿が見たいだなんて言えない。

 パティは会計を済ませたが、四着で金貨二枚銀貨六枚だった。ひえっ


---


「やあやあみんな、もう買い物は済んだかな?」


 そこへやってきたのは、エリカさんとサリ様だった。

 ちゃらんぽらんコンビとして第三者が苦労しそうである。

 エリカさんもすいぶん服を買い込んだようである。

 ランジェリー店で買った物も含めるととんでもない量だ。


「エリカさんはどんな服を買ったの?」

「秘密。着てからのお楽しみだよ。」


『じゃあエリカさんとパティちゃんの服にも付与するからね。

 そこへ並べて~』


 店内で通行の人が邪魔になりそうなくらい並んだ。

 さっさと済ませて欲しい。


『では… ほいっ ほいっ ほいっ ほいっ ほいっ ほいっ ほいっ』


 サリ様は手をかざし次々と力を付与している。

 たくさんあるのでかけ声が余計に可笑しい。


『よし。これでみんな終わったね。

 じゃあ私、これで天界へ帰るから。

 あっ でも明日の王女との決闘だっけ? 見に行くからね。

 何か面白そうだし~』


「えー 一般公開はしないみたいで、観客に紛れてというわけにはいかないですよ。」


『私を誰だと思っているの。ふふん

 あ、王女ってあなたが思っているより強いから、頑張ってね~』

 サリ様はそう言って、店から出て行った時に…。


『あっ』


 僅かな段差を踏み外し転けて、うつ伏せになってお尻がつき上がり、女神ワンピースのスカートが大きく前へ捲り上がった。

 ハーフバックで総レースだからお尻が少し透けて見える白いぱんつを、私たち四人の目の前で披露してしまった。

 一番最初にサリ様と出会った時の天界でも転けたが、それと全く同じ体勢である。


「はわわわわわ…」

「サリ様ってなかなか良い趣味ね…にひひ」

「か…神様の下着って…」


 パティは手で赤くなった顔を半分隠し、エリカさんはニタニタ笑い、エルミラさんは驚きの顔でサリ様を見ている。

 サリ様はスクッと立ち上がり、私たちを半泣きで見返す。


『またマヤさんに見られちゃったぁぁぁぁぁぁ!』


 そう言って走り去りどこかへ消えてしまった。

 そんな所で私の名前を言わないで欲しい。だから…


「マヤ様! また見られたってどういうことですの?」

「マヤ君って本当にぱんつに縁があるのね。」

「マヤ君、君って人は…」


 これだ…。私はぱんつが好きだが、強要して見せてもらったことは一度も無いぞ。

 私のぱんつ運が良いだけだ。


 それにしても嵐のように現れて去って行ったような神様だったな。

 王女は強いのか…。魔力は感じなかったから純粋な剣士なのかな。

 言われたとおり用心しながら戦うとしよう。



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