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第六十七話 セルギウスと召喚契約

2022.10.13 微修正を行いました。

 主要都市同士が繋がっている街道は原則野営する必要が無く、小さな宿場町が点々と存在しておりとても便利だ。

 茶屋まであったり、まるで昔の日本の街道である。


 小一時間走ったところで、私は御者台から馬車の中にある、前のベンチシートに座った。

 隣に座ってるパティがすり寄ってきた。

 振り向くと後ろの豪華席でエルミラさんが車窓から外をボーッと見ており、エリカさんが脚を組んで座って私の方を見ている。

 いくらミニスカで脚を組んでいてもぱんつを隠せる範囲なのに、スカートが上がっている状態だから白いぱんつがチラチラ見える上に、クロッチだけ布で覆われて他はレースで透けているから芝生がうっすら見えてしまっている。

 絶対わざとだが、構うとパティがうるさいので放っておく。

 すると彼女はニィっと勝ち誇ったように微笑んだ。

 クソ… 何度も中身を見ているはずなのに、なぜチラ見をしてしまうのだろうか。

 脚の綺麗さは隣にいるエルミラさんがピカイチだが、たまのショートパンツやアレの時ぐらいしか見ることがない。

 マルセリナ様の脚が透き通るように白くて綺麗だったし、カタリーナさんもなかなかの美脚だった。

 だが太股のエロさはエリカさんが一番なんだよなあ。

 なんてくだらないことを考えてしまったが、エリカさんに一つ聞いておきたいことがあった。


「ねえエリカさん。

 夜になっていったんセルギウスを返して、朝になって万一召喚魔法で呼べなくなったときはどうするのさ?」


「うーん、考えてなかった。

 私だったら大丈夫と思うけれど、ダメだったらマヤ君が馬車を引っ張ってよ。」


「えー、ヤダなあ。

 重いからじゃなくて、セルギウス以上に目立つってば。」


「そうですわ。マヤ様に牽かせるなんて、私そんな酷いことさせるわけにはいきません!」


 パティが牽制してくれ、エルミラさんは苦笑いしている。


「冗談だってば。だったら、マヤ君もセルギウスと召喚契約すればいいだけよ。

 あなた、もうセルギウスと仲良しみたいじゃない。」


「え? 簡単そうに言ってるけれど…」


「前にお師匠様が来たときも少し話したけれど、お互いの血を少量交換して、ちょこっと呪文を唱えるだけよ。」


「それなら、これからでも出来るかな?」


「じゃあ、あまり人が通っていない場所で、休憩がてらやってみようかねえ。」


 それから数分走らせたところで人影も馬車もないので、道端に馬車を停めた。


『あん? マヤと召喚契約か。

 そうだな、そうしたほうがいいだろう。

 俺はマヤのことを気に入ったから構わないぞ。

 何となく感じるだけだが、俺の長年の経験だとオマエはいいやつだと思う。

 魔力量も相当持っているしな。』


「マヤ君良かったじゃない。

 魔獣に何もしないでこんなに早く認められるなんて稀有なことよ。」


「それは光栄なことだね。ありがとう、セルギウス。」


『じゃあマヤ、俺に一滴でいいからオマエの血を飲ませろ。』


「わかった。」


 私は持って来た日常使用のナイフをパティの火の魔法で炙って消毒してもらい、左の人差し指の先を少し切った。


「あ痛…」


 すごく痛いよ。切りすぎて一滴どころかボタボタ血が出た。


「ま、マヤ様何やってるんですか!」


『オマエ不器用だな…。』


 馬に残念な目で見られた。

 私は指をセルギウスの口元へ持って行き、血を垂らしたら舌でペロッと受け取った。

 その後、自分でスモールリカバリーで指を治療して、血を止めた。

 アニメや漫画で簡単に腕や脚を切り落としたのにあまり痛そうにないシーンをしばしば見かけ、それってどうなんだろうとよく思っていたが…。


「それでセルギウスはどこから血を採ればいいの?」


「尻をちょこっと切って、それから魔法で治しておいてくれ。」


 私は「うまのけつ」を、言われたとおりナイフでちょこっと切って、出た血を指で掬い取って舐めた。魔獣の血も赤い。

 それからスモールリカバリーで治した。


「血の交換が終わったようね。

 それからだいたい800以上の魔力量を込めて相手の額に手を当てて、召喚対象の魔族や魔獣の名前を言ってからこう言うんだ。」


『我が血を汝に、汝の血を我に。我が友垣、呼ばば定めて来なむ。』


 魔力量800以上といったらフルリカバリーより少し弱めか。

 わかった。

 私はセルギウスの額に右手を当て、魔力を込めた。


「セルギウス。我が血を汝に、汝の血を我に。我が友垣、呼ばば定めて来なむ。」


 そうすると、セルギウスからの魔力が私に流れて来て、ボムッと煙が私たちの周りに湧いた。


「これで晴れてセルギウスと召喚契約完了ってわけだよ。

 おめでとう、マヤ君。」


「これだけでいいの?」


「そうよ。普通の人間では召喚魔法なんて滅多に使える人がいないからね。


 条件は魔力量と、お互いが友達になればOKよ。」


「そうかあ。これからよろしくね、セルギウス。」


『おおぅ、心の友よ。よろしくな。』


 どこかで聞いたような言葉だが、空き地でリサイタルはしないでほしいな。


「ちょっと召喚を試してみたいんだけれど、いいかな?」


『ああ。じゃあいったん帰るからな。』


 セルギウスは、出てくるときよりずっと薄い煙を上げてフッと消えていった。

 さて、呼んでみるか。

 私は手を掲げて魔力を込めた。


「セルギウスぅ~ おーい。」


 ボムッと煙を上げて、再びセルギウスが現れた。


「うん、成功成功。」


『まあそういうわけだ。で、小腹が減ったから人参食わせてくれ。』


 私は大袋の中から人参を十本ばかり出してセルギウスに食べさせた。

 水も必要なので、水属性魔法で直径五十センチくらいの水玉を作って浮かばせた。


『あああ~人参うめぇ! この前のよりうめぇんじゃないか?』


 そう言って、十本の人参をペロッと平らげた。

 十本でだいたい二キロぐらいあるから、小腹が空いてこれならすぐ無くなりそう。

 ジュリアさんは少し大きめの良質な人参をたくさん選んでくれていたみたいだ。

 街に寄ったら少しずつ補充しないといけないな。


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