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第六十五話 王都へ出発する前日はいつもの日常

 2024.9.20 軽微な修正を行いました。

 新しいぱんつを履いて、準備の続きをしていたらもう昼食の時間だ。

 皆で集まり、アマリアさんも何事も無かったように静々と食事をしている。

 パティも旅の準備をしていたであろうか。

 その時私は、君のお母さんにお戯れをされていたんですよ。


 食事を終えたらすぐに、女王陛下の前に出るための服を買いに街へ出かけた。

 屋敷の近所にある貴族向けの洋品店で、あまりフリフリじゃないブラウスに、黒のベストとズボンを二着ずつ買う。

 全部で金貨一枚と銀貨四枚。けっこう高いけれどブランド物からしたら安い方か。。

 日本みたいにズボン一本買ったらもう一本みたいなお店は無いのかね。


 その足で改造してもらった馬車を工場まで引き取りに行った。

 注文通り一頭引きに改造されていて、車体が軍用車両の色のようなオリーブドラブに変わっている。

 パッと見たら軍用輸送車のトレーラーのようで、多少は盗賊などからのカモフラージュになるだろう。

 来たところでセルギウスに粉砕されるのが目に見えているがね。


 ――あれ?

 サスペンションとショックアブソーバーが交換されている。

 ただ新しいものじゃなくて、強化されたものっぽい。

 受付のお姉さんに聞いてみた。


「あのぅ、注文以外に交換されている部品があるんですが……」


「いつもお世話になってますし、一頭だけで変わった馬が牽くと伺ったものですから念のために換えておきました。もちろんサービス品です」


「そうだったんですか…… ありがとうございます!」


 せっかくなので工場内を覗かせてもらった。

 オイゲンさんが別の馬車を修理している。


「おー、兄ちゃんか。サスとショックをいいやつに換えておいたぜ」


「気を遣って頂いて、わざわざありがとうございます」


「空飛ぶ乗り物のぶんはきっちり頂くからな。へっへ

 そっちはまだ時間がかかりそうだから、期待せずに待っててくれや。

 で、一頭引きだなんて変な馬だな。そう思って部品交換したんだが」


「召喚魔法で呼んだユニコーンに引っ張ってもらうんですよ」


「なんだあ? 魔獣かあ。だったら部品を換えておいて正解だったな。

 馬車の造りは元々良いからそうそう壊れやしないが、無茶すんなよ」


「わかりました」


 仕事の邪魔になってはいけないので、これでお暇する。

 工賃はガルシア家へ後請求になるから、そのまま馬車を引っ張って屋敷へ帰った。

 勿論また通行人には、馬車を一人で引っ張ってる姿に奇異な目で見られた。


---


 屋敷に帰ると、玄関先に給仕服姿のエルミラさんがホウキで掃除をしていた。


「やあ、マヤ君おかえり。馬車を取りに行っていたんだね」


「エルミラさんは準備終わったの?」


「私はそんなに荷物が無いから、さっさと終わったよ」


 さすが真面目っ子のエルミラさんだ。

 少し空気が読めないところがあるが、四人の中では一番常識派かも知れない。

 道中でも頼りにすることがあるだろう。


「馬車の雰囲気がずいぶん変わっちゃったねえ。

 五年前は私もこれに乗せてもらって、侯爵閣下とローサさん、パトリシア様と一緒にマドリガルタへ行ったんだよ」


「へぇー その時は騎士団や魔法使いも付いていったのかな」


「前後に騎馬隊四人ずつに、魔法使い三人乗った馬車がもう一台。

 高位の貴族じゃそれくらいが当たり前だから、今回の私たち四人だけというのは異例中の異例だよ。

 しかも馬一頭だけに御者がいないなんてありえない。はっはっは」


「じゃあ馬車を玄関横に置いておくから、槍や荷物で積めるものがあったら積んで置いてね」


---


 私はいったん自室へ戻って買い物した服を置いて、エリカさんの地下室へ行ってみた。


「やあ、マヤ君。お昼から私と楽しいことをしに来たのかな?」


「そんなわけないでしょう。もう旅の準備は済んだの?」


「済んだよ、ほら」


 鞄を見たけれど、パンパンに詰め込んだだけに見える。

 片付け方面の女子力の無さは今更だけれど、服のしわは大丈夫なんだろうか。

 ベッドの上にはドピンクの下着が脱ぎっぱなし。


「一ヶ月以上部屋をあけるんだから、そこのぱんつにもカビが生えるよ。

 部屋の整理整頓をしなきゃね。

 馬車は玄関横に置いてあるから、ドレスは馬車のクローゼットに掛けておいてね。じゃ」


「あぁぁ マヤ君……」


---


 私がいても彼女は怠けるだけなので、部屋を退出した。

 今度はパティの部屋へ。


 コンコン


「マヤですが」


「あぁ! お待ちになって!」


 カタリーナさんの声がする。着替えでもしているんだろうか?

 五分ほど待ったらパティがドアを開けた。


「マヤ様、ごめんなさい。新しく買ったドレスの衣装合わせをしていたんですの。

 どうです? 似合いますか?」


 パティが着ていたのは、赤基調のゴシックドレスで膝丈スカートだ。

 コスプレイヤーの写真でしか見たこと無かったような衣装だ。


「おおぉぉおぉぉ…… 格好いい! 可愛い!」


「まぁ!嬉しい! ありがとうございます」


「パトリシア様、良かったですわね!」


 本当は明るい色のほうが似合ってると思ったが、とりあえず褒めておいた。

 そこに見える、恐らく道中の普段着用に持って行くため用意しているだろう、薄いカーキグリーンのボレロが私は好みだな。


「馬車は引き取って玄関の横に置いてあるから、馬車のクローゼットに入れておくといいよ」


「ありがとうございます、マヤ様。

 せっかくなのでお茶を飲んでいかれませんか?」


「お茶を飲むなら着替え直してからのほうがいいんじゃないかな?

 私も馬車に荷物を入れてくるから、また後で来るよ」


「わかりました。私も荷物を入れますから、その後にしましょう」


 私はまた自室へ戻り、荷物一式を持って馬車の方へ行った。

 そろそろジュリアさんが買い物から戻ってくるかなあ。


---


 馬車へ荷物を入れて、衣装を馬車内のクローゼットに掛けていると、ちょうどジュリアさんが戻ってきた。

 給仕服姿のジュリアさんが、人参を入れているであろう大袋を持ってふよふよと浮いて進んでいる。


「マヤさぁぁん! 人参買ってきましたぁ!」


「おかえりぃ! ジュリアさん!」


 ジュリアさんは人参入りの袋をドスンと下に置いた。

 三十キロ以上はありそうだ。


「やっぱり飛ぶのに慣れてなくて、大変ですぅ。お店を五件まわって買ってきましたぁ。」


「ありがとう。やっぱり人参ばかりたくさん置いてなかったんだね」


「全部買い占めるのも他のお客さんに悪いですからね」


「なるほどそうだよねえ」


 さすがジュリアさん。そこまで気配りできる人はそういない。

 私は人参入り袋を馬車の後ろにある小さな荷台に載せた。

 でもあいつ(セルギウス)って一日に人参をどんだけ食うんだろう。

 三日と持たない気がするから、途中の街で補給かなあ。


「じゃあ私はちょっと昼寝しますので」


「うん。お疲れ様!」


 ジュリアさんは屋敷の中へパタパタと帰って行った。

 この国は昼寝が大事な習慣だし、特にジュリアさんは朝早くから仕事をしていたから本当に疲れただろう。


 そうしていると、パティとカタリーナさんが荷物やドレスを持ってやってきた。


「ふう、ふう。重いですの~」


 カタリーナさんはスーツケースを二つも持って来ていた。


「無理しなくても重い物は私に頼めば良かったのに。もう他に荷物はありませんか?」


「後は小物だけですから、もう大丈夫ですわ。

 カタリーナ様、ありがとうございました! うふふ」


「パトリシア様のためならどんなことでも頑張りますよ。うふふ」


 仲良しでいいなあ。女の子同士の友情は可愛く美しい。


「お茶にしますから、マヤ様もいらしてくださいね」


「わかったよ。後で行くから」


---


 さて、マルセリナ様とスサナさんは大聖堂へ行ってるし、ビビアナに会いに行ってみるか。

 彼女の部屋のドアはいつも開いている。

 この屋敷に泥棒するような人はいないと思うけれど、まあ物もあまり無いしな。


 ――コンコン


「おーい、ビビアナ!」


「――」


 ドアを開けてみたら、昼寝をしていた。

 給仕服を脱ぎ散らかして、ブラとぱんつだけになってベッドにごろ寝し、よだれを垂らして幸せそうな顔をしている。

 ちなみに白基調のフルーツ柄の下着だ。

 起こしても悪いので、そっとドアを閉じた。

 夕食当番だと思うから見かけたら声を掛けてみよう。

 一ヶ月以上会えなくなるから、このままだとちょっと寂しい。


---


 パティの部屋でお茶会。

 そういえばカタリーナ様が履いているスカート、見たことあるような…。

 白基調で水色のスカートだ。

 上着は二人とも白いブラウスで、カタリーナさんのほうがひらひらが大きい。


「カタリーナ様、そのスカートはもしかしたらパティのですか?」


「あら、わかりまして? そう、パトリシア様のスカートを履いてみたんですの」


「とても可愛らしくてお似合いですよ」


「ありがとうございます。うふふっ」


 もう一年ぐらい前だっけ。

 パティと初めてデートして、大聖堂へ行ったときか。

 当時のパティの背丈で履いていたスカートを、今カタリーナ様が履いているとだいぶん短くて彼女の太股が眩しい。

 うっかりしたらぱんつが見えそうである。


「マヤ様、このスカートを覚えてて下さったんですね。

 初めてのデートの時の思い出のスカートでしたの」


 パティが履いているのは、白と明るい萌黄色で膝丈のスカートだ。

 やはりパティは明るめの色がとても似合う。


「パティのスカートは最近買ったのかな? よく似合ってるよ。色がとてもいい」


「これはカタリーナ様のスカートですの。

 マヤ様にそう言って頂けると履いてみて良かったですわ。ふふ」


 ああもう、女の子同士の友達っていいなあ。

 男友達で衣服をかえっこしてみるなんて、まず無いからな。


 パティにお茶を用意してもらって、お菓子はたぶんジュリアさんが焼いたクッキーだろう。

 二人とも卒業しているものの、女子中学生と女子高校生の歳だ。

 こんなきらびやかな女子とお茶が出来るなんて、普通に考えたらとても贅沢だ。

 そんな彼女らと他愛ない話をしながら時間が過ぎていく。

 おっと。クッキーの欠片を床に落としてしまった。

 拾わなければ。


 席を外してしゃがんで欠片を拾おうとしたら…… おおっ これは!

 テーブルの下でカタリーナさんが脚を組み、眩しい太股の隙間から見える白いぱんつ!

 久しぶりにこんな至近で偶然のぱんちらを拝めるとは思わなかった。

 エリカさんみたいに偶然じゃないぱんちらは、いまいち有り難みが無い。


 パティはしっかり脚を閉じており、今まで全くぱんつを見たことが無いが、ここまで来て見てしまったら何か負けた気がするので、いつか結婚するまで見なくてもいいと思っている。


 あまりしゃがんだままだと不自然に思われるので、早めに席に着く。

 二人は無邪気にきゃっきゃと話を続けていた。

 長居しても夕食の時間になってしまうので、お茶会は解散してお暇した。


---


 マルセリナ様は帰ってきてるかなあ?


 ――コンコン


「マルセリナ様、マヤです」


「どうぞ」


「あら、マヤ様。どうなさったのですか?」


「明日から出発でしばらく会えなくなるので、顔を見に来たんですよ」


「まあ、マヤ様ったら。ポッ」


 いつものポーズで、両手で頬を当てて顔を赤くしている。

 でも可愛いなあ。

 マルセリナ様は、屋敷内では軽めの白い修道服を着ており、かぶり物は無い。


「マヤ様……」


 マルセリナ様は私を抱きしめた。

 肌からかすかに振り香炉の匂いがする。


「あら、どなたからかグレイテストブレッシングを受けられたのかしら」


「ええ、アマリア様から……」


「それでは、私からは…… んん――」


 マルセリナ様から吸い付かれるようなキスをされ、それから体中がスウッとする清涼感が行き渡った。

 祝福ともグレイテストブレッシングとも違う魔力が流れ込んでいる。

 これは何だろうか。


「ふふ…… これは邪気払い【エビルディスペリング】という魔法です。

 マヤ様はもうずいぶん魔物と戦ってきましたから、掛けておきました。

 あの魔物達と直接関係あるのか実証はありませんが……」


「これも実は手を繋ぐだけで良かったんですか?」


「いいえ、普通は両手を掲げるだけで良いんですよ。マヤ様は特別ですから―― うふふ」


 大司祭様も人間だから、全ての人が平等ってわけでもないんだなあ。


「一ヶ月以上ここから離れますが、マルセリナ様も無事で……」


「はい。マヤ様も、皆さんも…何事も起きませんように……」


 マルセリナ様は両手を組んで祈った。


「さあ、そろそろお夕食ですから、行きましょう」


---


 ガルシア家揃っていつものように夕食を済ませ、ビビアナが片付けに来るかなと思って少し待っていたら案の定やって来た。


「ビビアナ。しばらく会えなくなるから、今晩どうだろうか?」


「ごめんニャ…… マヤさん。さっき、始まってしまったニャ……」


 ああ、女の子のアレですね。


「ビビアナとそういうことをしたいだけじゃないんだよ。二人で一緒にいたいんだ」


「そうか…… じゃあ片付けが終わったら行くニャ」


 私はそこまで性欲の権化ではない。

 好きな相手と一緒に過ごす時間こそ価値がある。

 当たり前のことだろう。

 ただ相手に媚びて金づるになっているだけなのに気づかない男もいる。

 昔、アッシー君やメッシー君なんて言葉が流行ったっけ。

 まあ綺麗な女が隣にいるだけで満足という男たちなのだろう。


 自室へ帰って寝転んでいると、ビビアナがやってきた。

 少し遅かったから、片付けの後にお風呂へ入っていたのかな。

 石鹸のいい匂いがする。


「マヤしゃん…… ごめん…… せっかくなのに、眠いニャ……」


「いいよ。疲れていたんだね。お休み……」


 ビビアナはすぐ寝落ちてしまった。

 まだ大口開けてよだれを垂らしていないから、寝顔が可愛い。

 小さい娘がいたらこんな感じなんだろうなあ。


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