第六十三話 一番安心する相手は?
叙爵の時は国王から爵位を賜ると聞いている。
私はこの国の王のことを全然知らなかったので、夕食の時に侯爵閣下に聞いてみた。
「閣下、今更なんですが国王様とはどういった方なんですか?」
「うむ。女王陛下マルティナ二世だよ。名前はマルティナ・デ・カサノヴァ………すごく長いから覚えてないんだ。
今は四十一歳かなあ。旦那が十年ちょっと前に病死して、王子が二人、王女が一人だね。
すごく美人で優しい方だよ。」
じいちゃん王様かと思ったけれど、女王様かあ。
美人と聞いたら、お会いするのが楽しみになった。
「お父様、私が女王陛下にお目にかかったのも、もう五年前ですわね。
久しぶりなので、楽しみです。」
「パティ、よろしく頼むよ。
まあ今回はお目付役みたいなもので主役はマヤ君だから、難しいことはないが。」
「おまかせください! マヤ様をしっかり見届けますわ。」
むしろ道中で魔物の大群に遭わないかと、パティ達を何が何でも護らなければならないのでちょっと気が重いというのが本音だ。
夕食を終えるとジュリアさんらが食器を下げに来たが、その彼女が小声で話しかけてきた。
「マヤ様…、しばらくお会いできませんから、今晩…よろしいでしょうか?」
もちろん了解した。
真面目な話、性欲が強い女の子は無理に我慢させない方がいい。
彼女は体毛がやや濃いので、男性ホルモンが多いからかも知れないが、それにしても度が過ぎている。
だが私はそれはそれで興奮してしまう。
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部屋で少しそわそわな気分で待っていると、パジャマ姿のジュリアさんがやってきた。
ベッドの上で、二人で並んで座った。
彼女は手を差し伸べたので、手を繋いだ。
好きな人同士では、手を繋ぐことはすごく大事だと思う。
「マヤさん、明後日からですね…。
マヤさんはお強いですが、球体の魔物のこともありますし、心配です…。」
「私には祝福の女神がついているから大丈夫さ。」
あれから一年、女神サリ様から何も音沙汰は無いけれど、特にお導きのようなことも無いし、私が今やっていることでいいんだろうか?
どこかで覗いていたり、ひょこっと出てきたりしてね。
ジュリアさんは普通にイスパルの標準語で喋るようになっている。
グラドナ訛りも好きなんだけれどなあ。
敬語は直らないみたいだ。
「あれ? どうしたのジュリアさん? 大人しくなっちゃって。」
「決まってるじゃないですか…。マヤさんと二人きり…はぁはぁ」
あらら…、ジュリアさんの中ではもう始まっちゃったのか。
待たせてもいけないので、私はジュリアさんの肩を寄せてキスをした。
ジュリアさんのほうからだんだんと激しくなり、私が飲み込まれてしまいそうな勢いだ。
彼女のパジャマをゆっくり脱がして、私も上着を脱いだ。
真っ赤なブラだ。これもエリカさんに買ってもらったんだろな。
それから私のほうが押し倒され、ズボンを脱がされてしまった。
そしてジュリアさん自らパジャマのズボンを脱いだ。
あ…、赤いぱんつが…
前世を含めて初めて見ましたよ。フルバックだけれど、割れてますよ。
「マヤさん見て…、すごいでしょ…。」
「う、うん。すごいね… ゴクリ」
ジュリアさんは寝転んで、開脚する。
あ… ああ… あああああ… あああああああ…
まるで闇の門。デモンズゲートそっくりではないか。
あれはそういうものだったのか?
私自身の鼻の穴が広がっているのがわかる。
そこから先は私も獣のようになってしまった。
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終わった後、今日の彼女は何故か一人で始めませんでした。
観賞するのも好きだったのに。
私たちはベッドの上に座ったままお互いに向き合って抱いた。
ジュリアさんは、エルミラさんとは違った独特の僅かにツンとした匂いがする。
人の肌のニオイ、とても安心する匂いだ。
スウゥゥハァァァァ~ 彼女のうなじの匂いを嗅いだ。
「やだぁ、マヤさんったら。恥ずかしいです…。」
「すごくいい匂いだよ。ジュリアさんの匂いは安心するね。」
「マヤさんもちょっと変ですね。うふふ」
私たちは無言でそのまましばらく抱き合った。
彼女は特別豊乳でもないし、アマリアさんやエリカさんみたいな美人さんでもないし、眉毛は太く産毛が少し濃いめのどこにでもいそうな、農家の女の子だ。
こんなことは誰にも言えないが、パティやマルセリナ様は綺麗すぎる上に、立場上どうしても気分的に媚びてしまう。
エルミラさんは私に対してまったく見た目を気にしていないのは有り難いが、背が自分より高いし格好いいから、情けないことに私のほうが少し劣等感を持ってしまうし、性格的にも僅かに気を遣ってしまう。
エリカさんやビビアナはとても気楽だが、見ていると何となく心配してしまう。
ジュリアさんは、普段は清楚で器量よし、ベッドの上ではすごくエッチで、私の身体中の毛穴まで見られているかように百パーセント開放的な気分にさせてくれ、もっとも安心する。
はっきり言って私もエッチだ。そうなんだよ。
こうして抱いていると、私のことをとても信用してくれている気持ちが伝わってくるようだ。
こんな娘にどうして闇属性が目覚めたのだろうか。
いつかアスモディアへ行く時は一緒に連れて行ったほうがいいのかな。
抱いているうちに、胸がきゅううっと締まる感覚が来た。
ジュリアさんがたまらなく愛おしい。
「ジュリアさん…、好きだよ。」
「どうしたんですか? マヤさん。私はいつでもマヤさんが好きですよ。」
「うん…。」
私は気持ちがいっぱいになってしまい、涙がぽろぽろ出てしまった。
ジュリアさんは何も言わず、そのまま優しく抱いて頭を撫でてくれた。
今回は短めでしたが、マヤの気持ちを描写してみました。
(22.5.15 12:30) 誤字指摘ありがとうございました。文章中に二重で名前を呼んでいたので、ジュリアさんがを「その彼女が」に直しました。