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第五十二話 ジュリアさんの過去は

表現的にやや露骨です。

苦手な方は読み飛ばして頂いても物語の進行にはあまり差し障りありません。


2022.12.19 軽微な改稿をしました。

 そして夕食後…。

 私は気分的にそわそわしてきた。

 それからベッドの上で寝転んで待つこと一時間…。


 コンコン。「ジュリアです。」


 私はドアを開けた。


 そこには、給仕服ながらもデザインが可愛くて新品の綺麗なものを来ていて、肌の色に合わせた薄化粧だが、すっかり見ちがえたジュリアさんの姿があった。

 彼女は普段素顔で、二十歳だけれども見た目は十五、六歳にも見える童顔だったか、化粧をすることで年齢なりの美しいレディになっていた。

 ヘアスタイルも三つ編みから、編み込みカチューシャになっていて可愛らしい。


「こ、こんばんは。マヤ様。」


「こんばんは。どうしたんですか? その姿は。とても綺麗ですね。」


「ありがとうございまス。

 この服はエリカ様に買って頂いて、お化粧は先ほどアマリア様にスて頂きまスた。」


 夕食の時に二人がニヤっとしていたのはそういうことか。

 この時のために二人はジュリアさんにいろいろ仕込んでいたのか?

 となると…。


「それでジュリアさん、お話というのは…。」


「すぅーはぁー」


 ジュリアさんは、気合いを入れて話そうと深呼吸をしている。


「お話というのは、この私自身を見て頂きたいということなんです。

 マヤ様の周りは綺麗な女性ばかりでびっくりして、自信を無くしてしまいました。

 私は田舎から飛び出してきた何も知らない女です。

 でもエリカ様やアマリア様のお言葉があり、頼ってみました。

 私の精一杯で綺麗になってみました。

 マヤ様に好かれたいんです。」


 おや、完全に方言が抜けて標準語になった。

 気を入れてしゃべるとそうなるんだな。


「ジュリアさん。私のために綺麗になってくれてありがとう。

 でも素のままのジュリアさんも素敵だと思います。

 無謀だったけれど、ジュリアさんが命を賭けてお母さんを守った気持ちは大事にしたい。

 あと、とても家族思いだ。

 私は早い内に両親を亡くしましたから、とても羨ましいです。

 料理も上手だし、何よりすごく安心する人当たりが私は好きです。」


「そんなに私のことを見て下さっていたんですね。マヤ様にはかなわないです…。」


「私は他にも、パティ、エリカさん、ビビアナ、エルミラさん、あとアマリア様もみんな愛しています。

 こんな私ですが、ジュリアさんは私を愛してくれますか?」


「たくさんいらっしゃるんですね…。

 でも、私はマヤ様が好きなことには変わりありません。」


「ジュリアさん、ありがとう。」


 私がそう返事をすると、ジュリアさんは下を向いてモジモジしだす。

 だが何かを決心したようにキリッと私を見つめた。


「…………マヤ様…、もっと私を見て下さい。」


 彼女は突然、静々とワンピースの給仕服を脱ぎ始めた。んん!?

 そして下着姿になってしまう。


 日本人に近い肌の色で、白で統一された高級ランジェリーに飾られているジュリアさん。

 細かいレースでデザインされたブラ、白いガーターベルトにガーターストッキング。

 白いぱんつの透けた部分に見えるのは、広めの黒い芝生。

 なんて官能的なのだろうか。でもどうして?


 エリカさんの部屋にあった下着を見た彼女の反応が、ちょっと変わっていたが…。

 このランジェリーはエリカさんに買ってもらった物か。

 それにしても白は彼女に似合う。

 エリカさんの目付は正解だね。


「私はこんな淫らな姿に憧れていました。

 …………私は処女ではありません。」


 そうだったのか…。

 私は処女崇拝ではないが、この世界に来たら何故か男性経験がない女性とばかり出会ってきた。

 でもそれはたまたまであり、二十歳にもなれば経験済みなことは珍しくないだろう。


「恥ずかしいお話ですが…、聞いて下さい。

 私はうちが貧乏なばかりにお金欲しさと好奇心で、十六歳の時、好きでもない村のおじさんに初めてを捧げました。

 それから快楽に(おぼ)れ、お金をもらいながら何度も数え切れないくらい行為をしました。

 何ヶ月か経って、そのおじさんは忽然(こつぜん)と村から姿を消したんです。

 理由はわかりません。

 私はとても恥ずかしいことをしていたと自戒をし、その後男性との行為はもうしませんでしたが、身体は快楽を覚えてしまい、毎日のように一人で慰めました。

 でも時々、お兄ちゃんがお風呂へ入っている時に覗いたりしました。」


 なるほどねえ。おじさんについては、若さ故の過ちということか。

 しかしそのおじさんの買春はけしからん。

 お兄さんがお風呂に入っているのを覗いていたなんて、心の中でクスッと笑ってしまった。


「私は、男性経験があるかないかはそれほど問題にしていませんよ。

 どちらかといえば無い方が好きですが…。

 それでもちゃんと自戒をして()められたのならば良かったじゃないですか。

 黙っていればいいのに、どうして私に打ち明けたのですか?」


「マヤ様と一緒にいれば、いずれ私の酷い素がわかってしまいます。

 疑念を持たれてしまうのは、私には耐えられませんから…。」


「少し嫌なことを聞きますが、気になっていたことなので…。

 あの時魔物にやられて、私が治療をした後に服が破れて少しだけ裸が見えていましたよね。

 私に見られて、男性と何度も行為をしていたのに少女のように恥ずかしがっていたのは何故?」


「単純な話、滅多にいない若い男性に見られたら、さすがに恥ずかしいです…。

 それから、自戒したと申し上げたように、私はその後とても反省して男性とは必要以上に関わらないようにしました。

 お父ちゃんお母ちゃんがこんなに私を可愛がってくれているのに、お金をもらって行為をしていたなんて、どうしてあんな馬鹿で恥ずかしいことをしていたのだろうと。

 それでだんだんと恥じらいの気持ちを取り戻しました…。

 いつも当たり前の、家族の愛に救われたんです。」


「正直に話してくれてありがとう。恥を掻かせてごめんなさい。

 私はエッチな女性も好きです。

 本当のことを言うと私もビビアナとエルミラさん、特にエリカさんとは何度も行為をしてるんです。

 でも身体だけの関係ではなく、みんな大好きで愛していますよ。

 もう一度聞きますが、何人も女性がいる私のことを愛してくれますか?」


「はい、私はマヤ様のことを愛しています。

 あなたは命の恩人です。一生、お(そば)にいさせて下さい。」


「わかりました。私もジュリアさんのことが好きです。

 ここまで腹を割って私に話してくれたのはジュリアさんが初めてなんですよ。

 私の側にずっといてくれますか?」


「は、はい… う… うぇぇぇぇぇぇぇん!」


 ジュリアさんは泣いた。いっぱい泣いた。

 私はそっと彼女を抱きしめた。

 前しか見ていなかったからわからなかったが、背中越しにお尻を見たらTバックではないか。むほほ


「落ち着いたかな。」


「はい…、ありがとうございます。」


「今からジュリアさんと私は対等の立場だよ。

 私が貴族になるからとか、命の恩人だからなんて考えなくていい。

 だからため口でいいし、様をつけないで呼んで欲しい。」


「はい…、マヤさん…グスン。今晩、一緒にいてもいいですか?」


 キター!!

 こんなすごいランジェリーの姿の子を目の前にしてずっとお預け状態だったから、もう一人の私はカンカンに怒っていた。


「マヤさん、もうこんなことになっているのですね。」


「え?」


 ジュリアさんは急にたかが外れ、まるで漫画に出てくるサキュバスの淫欲そうな表情に変わる。

 怒ってる分身君をズボンの上から手で()まんだりスリスリ(さす)る。

 そして私のズボンとぱんつを手際よく下ろし…

 口紅で塗られた小さな口を開けた。

 彼女とはまだキスもしたことがないのに、分身君に先を越されてしまった。

 いきなりこんなことをされると、彼女の清楚な印象から大きく離れていて混乱する。

 彼女はそのまま器用に自分の下着を脱ぐ…。


---


 想像を遙かに超えていた。

 性欲がエリカさんの非ではない。

 ちょっと頭がおかしいビデオでやっていることを平然とやってのけていた。

 あのおじさんとやらは、彼女にどれだけ教え込んだのだ。


 三回終わった後も物足りず、彼女は一人で始める。

 私はそれを観賞していると、彼女は見て下さいと言わんばかりにますます一人プレイがエスカレートしていく。

 性欲が強い女の子は嫌いじゃないけれど、こんなのはジュリアナさんだけでたくさんだ。

 彼女が腹をくくって話してくれたのは正しかった。


 …………ようやく落ち着いたようで、ベッドの上で女の子座りをして照れながら話しかけてくる。


「マヤさん、久しぶりで調子に乗ってしまって…。ごめんなさい…。

 わかりました? 私、素はこんなですから…。」


「あぁ、いいんだ。ちょっとびっくりしたけれどね。ははは…」


「愛する人と身体を重ねることって、こんなに素敵で気持ちのいいことだったんですね。

 マヤさんと出会えて本当に良かったぁ。」


 ジュリアさんは両手を頬に当てて照れている。

 こうしてると清楚で可愛いのに、あの乱れようはあまりにもギャップがありすぎて別人ではないかとさえ思う。


「そう言ってもらえると嬉しいよ。さあ、そろそろ寝ようか。」


「はい。」


 そう返事する彼女はニヤッと微笑んだ。

 布団を被っている間も彼女はべったりくっ付き、寝静まろうとしている分身君をモミモミしてくる。勘弁してくれ。


---


 早朝に目が覚めると、彼女が卑猥な音をたてながら分身君に激しいキスをしていた。

 その後すぐに夕べの続きを…。

 ジュリアさんは本当にサキュバスの化身ではなかろうか。



【第三章 了】


 三章最後がこんな展開ですみません。でも書きたいんです。

 表現的にはどうでしょうか…

 三章は、男の娘などいろんな愛の形について考えてみました。

 四章もお楽しみに。

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