第五十二話 ジュリアさんが、夜に部屋へ
やや過激な内容です。
苦手な方は読み飛ばして頂いても、物語の進行には差し障りありません。
2025.11.13 全体的に雑だった文章を見直し、話の流れを丁寧にして大きく書き直しました。また、タイトルも変更しました。
夕食後は自室にて、私一人で気分はそわそわしていた。
ジュリアさんが、話があるからここへ来ると言う。
なんせ最近知り合った女の子が初めて自分の部屋に訪ねてくるのだから、当たり前だ。
それからベッドの上で本を読みながら寝転んで待つこと一時間――
――コンコン
「ジュリアです」
ノックと声を聞いた私は、ドアを開けて訪問者を迎え入れた。
新品と思われる、パリッと綺麗な給仕服を着てやって来たジュリアさん。
肌の色に合わせた薄化粧だが、すっかり見ちがえている。。
彼女は普段素顔で生活しており、二十歳だけれども見た目は十五、六歳にも見える童顔だった。
だが化粧をすることで、年齢なりの美しいレディになっていた。
ヘアスタイルも三つ編みから、編み込みカチューシャにしてて可愛らしい。
こんなに気合い入れて話をしたいだなんて、どんな話なのだ?
「こ、こんばんは。マヤ様」
「こんばんはジュリアさん。とても綺麗におめかししましたね」
「ありがとうございまス! この服はエリカ様に買って頂いて、お化粧は先ほどアマリア様にスていただきまスた」
夕食の時にエリカさんとアマリアさんががニヤっとしていたのは、そういうことか。
この時のために二人はジュリアさんにいろいろ仕込んでいたのだろうか。
となると……
まず、椅子に座ってもらい話を聞くことにする。
お茶も出せなくて済まない。
「それでジュリアさん、お話というのは?」
「スゥー ハァー……」
ジュリアさんは深呼吸をして、これから話すことのために気合いを入れたようだ。
「私の話は、この本当の私自身を見てもらいたいことです。マヤ様の周りは綺麗な女性ばかりでびっくりして…… 実は…… 自信を無くしていました……」
やや落ち込んだ様子で、せっかく深呼吸をしたのに初っ端から話が止まってしまいそうだった。
本当のジュリアさんを見せてくれるって、女の子からそう言われるとドキドキする。
「ふむ…… 続けて下さい」
「――私は田舎から飛び出してきた何も知らない女です。でもエリカ様やアマリア様のお言葉があり、頼ってみました。私の精一杯で綺麗になってみました。私、マヤ様に好かれたいんです」
「うん、そういうことだったんですか」
そういえば、完全に訛りが抜けてイスパルの標準語になっていた。
意識してしゃべるとそうなるんだな。
「ジュリアさん。私のために綺麗になってくれてありがとう。でも、素のままのジュリアさんも素敵だと思います。無謀なことだったけれど、ジュリアさんが命を賭けてお母さんを守った気持ちは大事にしたい。あと、とても家族思いだ。私は早い内に両親を亡くしましたから、とても羨ましいです。料理も上手だし、何よりすごく安心するジュリアさんの人当たりが私は好きです」
「そんなに私のことを見て下さっていたんですね。マヤ様にはかなわないです……」
ジュリアさんは、私の言葉を聞いてポッと頬を赤く染めた。
まあ、かつてホテルで管理職をやっていた立場では、人を見る目がなくてはね。
彼女が私のことを好きで、本当の自分も見せたいというなら、私の方からも考えを告白する。
「近い将来貴族になって、この国の一夫多妻という制度を利用して複数の女性を娶りたいと考えています。私は他にもパティ、エリカさん、ビビアナ、エルミラさんもみんな異性として愛しています。こんな私ですが、ジュリアさんは私を愛してくれますか?」
「たくさんいらっしゃるんですね…… でも、私はマヤ様が好きなことには変わりありません」
「ありがとう、ジュリアさん」
私がそう返事をすると、ジュリアさんは下を向いてモジモジしだす。
だが何かを決心したようにキリッと私を見つめた。
「――マヤ様。私の気持ちだけじゃなくて、もっと見て欲しいことがあるんでス!」
「へ?」
彼女は突然、静々とワンピースの給仕服を脱ぎ始めた。えええっ!?
せっかく綺麗におめかしをしたのに。
何も置かれていないテーブルに給仕服を置いて、純白の下着姿になってしまった。
それは地味で大人しいジュリアさんとは思えないほど、刺激的なものだった。
日本人に近い肌の色で、白で統一された高級ランジェリーによって飾られているジュリアさん。
細かいレースでデザインされた、推定Cカップサイズの白いブラジャー。
白いガーターベルトに、ガーターストッキング。
白いショーツのやや透けた部分から見えるのは、髪の毛と同じ色のモノ。
なんて官能的なのだろうか。でもどうしてこんなことを?
そういえば、エリカさんの部屋にあった下着を見た彼女の様子が変だったが……
この高そうなランジェリーは、エリカさんに買ってもらった物だろうか?
それにしても白は彼女に似合う。エリカさんの目の付け所は正解だね。
「私はこんな淫らな姿が、自分自身の理想だったんでス。――実は私…… 処女ではありません」
「あ…… は…… そう、ですか……」
私は言葉に詰まった。 ――って、ジュリアさんが淫乱?
しかも貫通済みの告白も。
私は処女崇拝ではないが、この世界に来たら何故か男性経験がない女性とばかり出会ってきた。
でもそれはたまたまであり、二十歳ともなれば経験済みなのは珍しくないだろう。
「恥ずかしいお話ですが…… 私の過去を聞いて下さい」
「う、はい……」
好意がある女の子の過去を聞くのは、心が奮い立つ。
淫乱告白した彼女でも真剣そうなので、きちんと聞くことにする。
そう言えば、まただんだん訛りが戻って来たな。
「私はうちが貧乏なばかりにお金欲しさと好奇心で、十六歳の時、好きでもない村のおじさんに初めてを捧げました。お父ちゃんよりも全然格好良くない、その辺にいる田舎のおじさんです。それでも快楽に溺れ、その後もお金をもらいながら何度も数え切れないくらい行為をスまスた……」
まさか売春行為をしていたとは、胸が締め付けられるほどショックだった。
そんなふうには見えない彼女だが、若さ故の過ちだろう。
人生何があるのかわからない。まだ話は続くようだ。
「――何ヶ月か経って、そのおじさんは忽然と村から姿を消したんです。理由はわかりません。私はとても恥ずかしいことをしていたと自戒をし、その後男性との行為をすることがありませんでした」
「そうだったのですか……」
私は動揺しているが、ま、まあ反省したのならば良いじゃないか。
この星の人間は知らないが、地球の人間の表皮は約一ヶ月で入れ替わるというしな。
おじさんのアレが擦れた場所も行為をせず一ヶ月過ぎれば、綺麗なものだ。
そう考えることにする。
「ですが、身体は快楽を覚えてしまい、毎日のように一人で慰めました。時々、お兄ちゃんがお風呂へ入っている時も覗いてエッチな想像をしていました」
――えっ? そんなオチがあるの?
一人遊びに熱中して、お兄さんの裸まで覗くとは相当性欲が強くなってしまったのか。
まさかお兄ちゃんとアレなことを……
いや、さっきおじさんの後は男と行為をしていないと言っていた。
そうだよな。私の考えすぎか。
「私は、男性経験があるかないかはそれほど問題にしていませんよ。どちらかといえば無い方が好きですが…… それでもちゃんと反省をして止められたのならば良かったじゃないですか。黙っていればいいのに、どうして私に打ち明けたのですか?」
「マヤ様と一緒にいれば、いずれ私の酷い素性がわかってしまいます。黙っていたまま疑念を持たれてしまうのは、私には耐えられませんから……」
それで自分の全てを見て欲しいと思ったわけか。
好きと言ってくれたのだから、いつかは素の彼女を私に見られてしまう。
元々純粋な子だろうから、隠していることがあると強く気にして不安になるのだろう。
私は彼女の故郷、グラドナの村で疑問を持ったことについて彼女へ尋ねてみる。
「少し嫌なことを聞きますが、気になっていたことなので…… あの時魔物にやられて、私が治療をした後に服が破れて少しだけ裸が見えていましたよね。それで私に見られた。何度も行為をしていたのに、少女のように恥ずかしがっていたのは何故?」
ジュリアさんは少し考えてから応えた。
「――単純な話、若い男性に見られたら、さすがに恥ずかしいでス…… 村には若い男の子が少ないから余計でス。それから、自戒したと申し上げたように、私はその後とても反省して男性とは必要以上に関わらないようにスまスた。お父ちゃんお母ちゃんがこんなに私を可愛がってくれているのに、お金をもらってエッチな行為をスていたなんて、どうしてあんな馬鹿で恥ズかスいことをスていたのだろうと。それでだんだんと恥ズらいの気持ちを取り戻スまスた…… いつも当たり前の、家族の愛に救われたんでス」
そうだね。自分と同年代の異性に裸を見られたら、余計に恥ずかしくなるのは自然だろう。
「正直に話してくれてありがとう。恥を掻かせてごめんなさい。私も実は、はエッチな女性も好きなんです。本当のことを言うと私もビビアナとエルミラさん、特にエリカさんとは何度も行為をしてるんです。でも身体だけの関係ではなく、みんな大好きで愛していますよ。もう一度聞きますが、何人も女性がいる私のことを愛してくれますか?」
「はい、私はマヤ様のことを愛スていまス。あなたは命の恩人でス。一生、お側にいさせて下さい」
一生お側にって…… これってジュリアさんからのプロポーズ?
大変な流れになってしまったな……
いや、私が叙爵する予定になっているから、将来の従者志望?
まさかお妾さんなんてね。
私の思い込みでおかしな事になっても恥ずかしいから、いつか二人できちんと話し合おう。
「わかりました。私もジュリアさんのことが好きです。ここまで腹を割って自分のことを私に話してくれたのは、ジュリアさんが初めてなんですよ。私の側にずっといてくれますか?」
「は、はい…… う…… うぇぇぇぇぇぇぇん!」
あらら、ジュリアさんが泣いちゃった。いっぱい泣いていた。
私はそんな彼女をそっと抱きしめた。
前しか見ていなかったからわからなかったが、背中越しにチラッとお尻を見たらハーフバックに近い、布が太めのTバックではないか。こちらも丁寧なデザインのレースがあしらわれている。むほほっ
――クンクン。彼女はおめかしをしているのに香水を着けておらず、人口的な匂いはほんのりとファンデーションの香りがするだけ。
ほとんどは女の子の匂いというより、ジュリアさん独特の肌と汗の匂いが鼻をくすぐる。でも嫌いじゃない匂いだ。
これがもしかしてアマリアさんの狙い?
よく私の性癖がわかってるな……
ジュリアさんの匂いを堪能しながら約三分後、グズってから泣き止んだ。
「落ち着いたかな?」
「はい…… ありがとうございます」
「今からジュリアさんと私は対等の立場だよ。私が貴族になるからとか、命の恩人だからなんて考えなくていい。だから、様をつけないで呼んで欲しい」
「はい…… マヤさん…… グスン 今晩、一緒にいてもいいでスか?」
キター!!
こんなすごいランジェリー姿の子を目の前にしてずっとお預け状態だったから、私の分身君はいつの間にかカンカンに怒っていた。
「フフフ…… マヤさん。もうこんなことになっているのでスね」
「え?」
ジュリアさんは私に抱かれたまま急に正気を失ったような、まるで漫画に出てくるサキュバスの色欲にかられたな表情に変わる。
怒ってる分身君をズボンの上から手で摘まんだりスリスリ摩る。
えええっ!? 何してんのジュリアさん?
「あの、ちょっと……」
「うふふっ」
そして私のズボンとぱんつを手際よく下ろし……
彼女は、口紅で塗られた小さな口を開けた。
彼女とはまだキスもしたことがないのに、分身君に先を越されてしまった。
いきなりこんなことをされると、彼女の清楚な印象から大きく離れていて混乱する。
彼女はそのまま器用に自分のショーツを脱ぐ……
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想像を遙かに超えていた。
性欲がエリカさんの非ではない。
ちょっと頭がおかしい大人のビデオでやっていることを、平然とやってのけていた。
あのおじさんとやらは、彼女にどれだけ教え込んだのだ。
た、確かに…… 私も意識が飛んでいきそうなほど気持ちが良かったが……
三回終わった後も物足りず、彼女は私のベッドの上で、一人で始めてしまう。
私はそれを観賞していると、彼女は見て下さいと言わんばかりにますます一人プレイがエスカレートしていく。
あんなの自宅でしていたら、家族にバレないか?
性欲が強い女の子は嫌いじゃないけれど、こんなのはジュリアナさんだけでたくさんだ。
彼女が腹をくくって話してくれたのは正しかった。
――ジュリアさんはようやく落ち着き、裸のままベッドの上で女の子座りをして照れくさそうに話しかけてくる。
「えへへ。マヤさん、久しぶりで調子に乗ってしまって…… ごめんなさい。わかりまスた? 私の素は、こんなのですから……」
「あぁ、いいんだ。ちょっとびっくりしたけれどね。ハハハハ……」
本当はちょっとじゃないよ。
いろんな意味で大きなショックだったよ。
「愛スる人と身体を重ねることって、こんなに素敵で気持ちのいいことだったんでスね。マヤさんと出会えて本当に良かったぁ」
ジュリアさんは両手を頬に当てて照れている。
こうしてると清楚で可愛いのに、あの乱れようはあまりにもギャップがありすぎて別人ではないかとさえ思う。
「そう言ってもらえると嬉しいよ。さあ、そろそろ寝ようか」
「ふひっ」
そう返事する彼女はニヤッと微笑んだ。
布団を被っている間も彼女はべったりくっ付き、寝静まろうとしている分身君をモミモミしてくる。勘弁してくれ。
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早朝に目が覚めると、彼女が卑猥な音をたてながら分身君に激しいキスをしていた。
その後すぐに夕べの続きを……
ジュリアさんは本当に淫魔の化身ではなかろうか。
【第三章 了】
三章最後がこんな展開ですみません。でも書きたいんです。
表現的にはどうでしょうか…
三章は、男の娘などいろんな愛の形について考えてみました。
四章もお楽しみに。




