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第四十二話 マヤのエステサロン再び、まさかのオチは

2022.12.29 微修正を行いました。

2025.7.16 一部改稿を行いました。

 ゆうべは楽しんだ後でも思っていたより早く寝てしまったため、今朝はかなり早く目が覚めてしまった。

 隣にはエルミラさんが寝ている。

 脇のあたりをクンカクンカ。

 はぁぁぁ めちゃくちゃいい匂いがする。

 しばらくエルミラさんの香りを楽しむ。

 布団の中の匂い、こりゃたまらん。


「あ…… マヤ君、おはよう……」

「おはよう」

「――ふわぁぁぁ…… 早いんだねえ。うーん…… スサナがからかってくると面倒だから、部屋に戻るよ……」


 エルミラさんは半分寝ぼけながら自室へ戻っていった。

 私は漏れなくベッドの残り香も嗅いだ。

 私はこの世界に来てからすっかり女性の匂いフェチになってしまったのか。


---


 いつものようにスサナさんとエルミラさんとで早朝訓練。

 ゆうべのことは何事も無かったように。

 エルミラさんと愛し合っていることは特に秘密でもないんだが、エルミラさんが行っていたようにスサナさんがからかうと面倒くさいから、しばらくこちらから言うのはやめておこう。

 スサナさんからはあまり匂いがしない印象だが、そもそもくっつく機会があまりない。

 体術の時に捕まった時か、パティの誕生日パーティー二次会だけだ。

 あ、この前スサナさんには簡単なエステをしたんだっけ。

 なんだ、けっこうあるじゃないか。


 朝食を食べて、パティは学校へ、侯爵閣下とフェルナンドさんは行政官庁へ。

 エリカさんと私は休みの扱いなので、だいたいエリカさんは何も無いときには自室で引き籠もって魔法の研究をしていることが多い。

 何か新魔法が出来たとかの成果はあるんだろうか。


 アマリアさんとローサさんは子守をしていることが多いが、用事があるときは乳母やメイドに任せている。

 そのアマリアさんが朝食の後、私を呼び止めた。

 アマリアさんはカルロス君を抱いていて、カルロス君の顔は胸の谷間に埋まって眠っている。

 カルロス君、そこ変わってくれないか。


「マヤ様、ちょっといいかしら」

「はい何でしょう」

「ローサさんから聞いたんですが、エステというマッサージのようなものをマヤ様から受けたらとても気持ちいいらしくて…… お休みの日に申し訳ありませんが是非私にも……」

「わかりました。いつにしましょうか?」

「今からカルロスを預けて少し身体を洗い流してきますから、その後でよろしくお願いします。一時間ちょっとかかるわね」

「わかりました。ではその時間を見計らって、お部屋をノックします」


 むふ。アマリアさんと二人っきりって久しぶりだな。

 エステだと? 何か期待してもいいのかな。むふ、むふふ。

 少し前にスサナさんとローサさんにもエステをしたんだが、恥ずかしいようで脚と顔だけだった。

 それでもかなり喜んでくれたみたいで、アマリアさんにも話が行っちゃったんだなあ。


 それまでローサさんと軽く剣術の稽古をした。

 魔物を退治するのに魔法が多いから、なかなか八重桜の出番が無いので勿体ない。

 なんとか活用出来る方法を考えたい。

 するとローサさんがこう言う。


「私たちの刀は、魔力を帯びさせて魔法刀として使えるんですよ。私は魔法が使えないので『白百合』を魔法刀として使えないんですが、刀に気力を込めるといいますか、そういうことをしても威力が高まるんです」

「へぇー、そんなことが」

「すみません、私が魔法を使えないばかりに頭に無くて、申し上げるのが遅くなりました」


 全然知らなかった……

 いや、気力を込めることは知らずにやっていたかも知れない。

 でなければローサさんととてもやり合えないだろう。


「あぁ、魔法刀はかなり威力がありますから、街の外でやられたほうが良いと思います」


 そんなに威力があるのか。

 今度のデモンズゲート封鎖は八重桜を持って行こう。


---


 そろそろ時間になりそうなので、剣術の稽古を終えて、自室で着替えてからアマリアさんの部屋へ向かった。


 コンコン「マヤです」


「どうぞ」


「失礼します」


「いらっしゃい、マヤ様」


 アマリアさんはバスローブ姿で椅子にかけていた。

 顔はすっぴんだけれど、元々の顔立ちがはっきりしているので素顔もとても綺麗だ。

 パティはいつも素顔だから、わかる。


「それで、どのようにしましょうか? 顔や脚だけの身体の一部分か、全身をしましょうか」

「勿論全身でお願いするわ。ローサさんは身体の一部分だけのようでしたが、エルミラさんが全身のエステをされて大変気持ちが良いという話を聞きましたから」


 アマリアさんとはあまり接点がないエルミラさんにまで聞きに行ったのか。

 相当期待しているだろうから、気が抜けないな。


「わかりました。今から準備しますので少しお待ちください」


 ベッドにタオルをたくさん敷いた。

 後で身体をエステするために、オリーブオイルを持ってきてある。

 この地域ではオリーブが特産で、確か良質なオリーブオイルを元の世界のエステで使っていたのを思い出し、ここの一番上等なオリーブオイルを以前手に入れた物だ。


「それではそのままの格好でベッドの上に寝て頂けますか? 顔から始めます。フェイシャルエステって言うんですよ」


「わかったわ。とても楽しみね」

「綺麗なアマリアさんの顔がますます綺麗になるんですよ」

「期待しちゃっていいのかしら。うふふっ」


 私はエルミラさんにしたように、水魔法で指から僅かなミストを出して、鼻周りから目の下、頬、口周り、額と丁寧にマッサージをした。


「これは…… 何と言えば良いんでしょう。とても気持ちよくて言葉で表せません」

「もっと驚きますよ。ちょっと顔を触ってみてもらえますか?」

「そうですか…… え!? なあに!? 手に吸い付くような肌触り!」


 アマリアさんは両手でほっぺたをペタペタと触る。

 どこかの化粧品メーカーのCMで見たような動きだ。


「手鏡で見てみましょうか」

「これが私!? 化粧をしていないのに、こんなに肌がつるつるして綺麗に見えます! それに顔が細くなっているようにも見えます! 水属性魔法でこんなことも出来るんですのね!」


 アマリアさんはたいそう喜んでおられる。

 だがまだ序の口である。


「アマリア様…… 今度は全身のマッサージをしたいと思います。それであの…… バスローブの下は何も着けてらっしゃらないと思うのですが、それでよろしいのですか? タオルで隠してもいいんですよ」


「何もいらないわ。マヤ様になら私、もう大丈夫ですですから。ンフフフ……」

「わかりました。では枕を頭に乗せて、ベッドにうつ伏せになって寝てもらえますか? 私、あっちを向いていますね」


 彼女の妖しい笑いは何なのだろうか。

 元の世界のエステサロンでは男女とも業務用の紙パンツを履いてもらっているが、こちらにはそういう物が無い。

 私はアマリアさんに背を向けた。

 ごそごそと聞こえる音はバスローブを脱いで畳んでいる音だ。

 それだけでも興奮してしまう。


「――はい、マヤ様、どうぞ」


 振り向くと、アマリアさんはその通り、裸でベッドにうつ伏せになっている。

 こうなるだろうとわかっていたとはいえ、これがアマリアさんの姿!

 美しいお尻の形がこれとばかりに主張している。

 緊張するので、しばらくの間はお尻にタオルを掛けておく。


 オリーブオイルを手に取って人肌に温めてからふくらはぎと足裏に塗っていく。

 足の指、足の裏、ふくらはぎと親指でグリグリとしながらマッサージをする。


「くふぅ…… マヤ様、とても気持ちいいですわぁ…… 脚がほぐれていく感じがよくわかります」


 次は太股からお尻にかけてのマッサージ。難関であるとうとうこの時が来た。

 タオルを取り去ると、アマリアさんの綺麗な女性の部分が丸見え。

 まるでそこへ顔が吸い込まれて行きそうだ。

 はふ…… はふ…… 理性が保てるのだろうか。

 私は感情を無にして、太股とお尻をコネコネとマッサージをする。

 アマリアさんは息づかいが少し荒くなってきたが、声を出さずに我慢しているような気がする。


「アマリア様、キツくないですか?」

「いいえ、とても気持ちいいわ。そのままやってちょうだい。」

「もしキツかったら遠慮無く言って下さいね」

「えぇ……」


 何とか理性を保ち、再びお尻にタオルを掛けた。

 次は腰と背中周り、肩、二の腕、首筋など上半身後ろを全体的にマッサージ。

 体重を掛けて押さえたり、整体のようなことはさすがに素人なのでやめておく。

 アマリアさんは終始無言で、私に身を任せている。

 ひとまず身体の後ろは終わった。


「アマリア様、次は身体の前をやります。またあっちを向きますので、胸と腰回りにタオルを掛けて寝てもらえますか?」


「ええ、わかったわ。ねえマヤ様、身体が軽く感じるの…… 凄いわ。」

「そうでしょうそうでしょう。もっと軽くなりますよ」


 アマリアさんの準備が出来たようなので、再び足指からふくらはぎをマッサージ。


「マヤ様、足の指のマッサージがすごく気持ちいいんです。もう少し強めにやってもらってよろしくてよ」

「わかりました」


 ああ、わかりますよ。痛気持ちいいってやつだ。

 それにしてもアマリアさんの足は造形美のように整っている。


 次は太股と腰回り。第二の難関だ。そこのタオルを取る。

 剪定(せんてい)された芝生と、綺麗な女性の部分が逆向きになって再び現れた。

 自分で剪定(せんてい)してるのかなと、そのシーンを妄想してみた。

 いやいや―― 私は無心になり、マッサージを続ける。

 真っ白で程良い肉付きの太股。

 両手を使ってグイグイとやっていく。

 両脚を広げてその間に入って、鼠径部(そけいぶ)のマッサージ。

 リラックスしていたアマリアさんは、再び息づかいが荒くなる。


「アマリア様、大丈夫ですか?」

「もっとそのまま、かまわず続けてちょうだい。もう少しだから……」


 もう少しって何だろう。

 言うとおりにするしかないか…

 アマリアさんは目を瞑って、手で口を塞いで声を殺しているようだ。


「ひっ」


 アマリアさんが小さく声をあげた瞬間ビクッとし、その後クタッと身体が弛緩(しかん)したように見えた。


「本当に大丈夫ですか?」

「ううん、何でもないの。続きをお願いするわね。」


 腰にタオルを掛けて、お腹のマッサージ。

 脇腹をグイグイと掻き出すようにしたり、両手で優しくのの字にさすったり。

 腸のマッサージでもあるので、体感的にも後でかなり変わるだろう。


 そして第三の難関。胸のタオルを取った。

 何という破壊力だろうか。

 私はアマリアさんの頭の上にまわって、首のリンパから肩、胸の脇と間をマッサージする。

 胸そのものはマッサージにあまり関係ないので触らない。

 これで一通り終わった。


「アマリア様、これで終わりました。また背を向けますので、バスローブを着てもらえますか?」

「ああ…… う~ん…… マヤ様、ありがとう。少しお待ちになって」


 アマリアさんは半分寝ぼけた感じで答える。

 バスローブを着たようなので、彼女の方を向いた。

 めちゃくちゃニコニコしている。


「身体が軽くなったし、お腹の調子もいいわ。顔もツヤツヤだし、マヤ様の国のエステというものは、とても素晴らしいですね。是非またお願いしたいです」

「それは良かったです。オイルが身体にたくさん付いているので、またお風呂で洗い流してきて下さい。」

「わかったわ。マヤ様、これはお礼よ」


 アマリアさんは、手に握っていた物を私に渡してくれた。

 金貨一枚だ。


「アマリア様、これは多すぎますよ。私たちの国では銀貨一枚か二枚のお店が多かったのですから」

「あらそうなの? でもいいの。私、今とても気分が良いから」

「はい、それでは有り難く頂戴します」

「今度は我慢出来なくなったら、いいのよ」

「え? それは……」

「んふふふっ」


 妖しい笑みで何だかはぐらかされたような気がするが、次回はどうなってしまうのか。

 私は挨拶をして、アマリアさんの部屋を退室した。

 昼食まで一旦自室へ戻って休憩しよう。


 ――で、私は自室のベッドで寝転んでいる。

 エステ中のアマリアさんの裸体を思い出してしまう。

 我慢できなくなり、私は激しく一人で悶々してしまった。

 ああああっ アマリアさぁぁぁぁん!


---


 昼食だ。

 アマリアさんは先ほどと変わらずとてもご機嫌よろしいようだ。

 テーブルの向こうでアマリアさんがローサさんに話しかけている。


「ローサさん、あなたもマヤ様に全身エステをやってもらいなさいな。お肌は勿論綺麗になるし、身体がとても軽くなったわ。お通じも良くなったの」


 聞いちゃいけないことを聞いた気がする。

 アマリアさんはトイレに行かない生き物と思えるような美しい存在だからだ。


「わ、私は恥ずかしくて…… でもお通じが良くなるのは魅力的ですね」


 ローサさんまで…。聞こえちゃってますよ。


「ねえマヤさん、()()()ってなんだニャ?」


 うぉ! 急にビビアナが現れてそんなことを聞いてきた。


「あぁ マッサージのことだよ」

「へぇぇ マヤさんそんなことも出来るのかニャ。今度あてしもやってもらおうかニャ」

「あら、ビビアナさんはまだなの? あなたもマヤ様にやってもらいなさい。女を磨けるわよ」


 アマリアさんが私たちの会話を聞きつけて、ビビアナを煽っている。

 おいおい、しまいには屋敷内の女性全員にやらなければなくなるから、きりが無いので勘弁して欲しい。

 メイドさんはおばちゃんのほうが多いんだぞ。

 エリカさんに知られたら毎日やらせられるかもしれない。


 そんなこんなで昼食が終わる。

 午後は一人で街へ買い物に出かけた。

 アマリアさんに使っていた高級オリーブオイルが切れたので少し多めに買っておくのと、自分の部屋着や下着なども買ってきた。

 近くの商店街だったので一時間もかからないで屋敷へ帰ってきた。

 さて…… 暇だ……


 そうだ、セシリアさんたちに手紙を書かないといけない。

 セシリアさん宛てには、私はあまり長い手紙を書くのは苦手なので簡潔にまとめる。

 アナベルさん宛てには、どうか気にしないでまたお会いできることを楽しみにしておりますと無難に書く。

 ロレンサさん宛てには内容に対する性知識云々の返答を書いて、メイドさんにお願いして手紙を出してもらった。

 セレスまでだと届くのに一週間から十日はかかるらしい。

 騎士団の護衛が付いてほぼ確実に届くが、侯爵が親書も送っているセレスも経由する王都までの定期便で、料金は一通銅貨三枚と大変高いので、封だけ別々にまとめて送った。


 コンコン。誰かがノックする。


「ビビアナだニャぁ 入ってもいいかニャ?」

「ああ、いいよ」


 まあ、何しに来たかは察しがついたが。


「マヤさん、()()()というものを……」

「わかったよ。今タオルを準備するから。」


 私は自分のベッドにタオルを敷いた。

 さっき買ってきたオリーブオイルを早速使うことになろうとは。


「裸になって、ベッドにうつ伏せになって寝てくれないかな」

「え? わかったニャー」


 ビビアナは何の気にせず無邪気にパパパッとあっという間に上着も下着も脱いでベッドに寝転ぶ。

 尻尾がくりんくりんと動いている。

 マッサージ内容はアマリアさんとほぼ同じだけれど、ビビアナとは今更なのでタオルを掛けることは特にしなかった。

 若いので肩を揉んでもくすぐったがるだけだったが、立ち仕事が多いから脚はよく揉んだ。

 鼠径部のマッサージをしてもアマリアさんのような反応は無くて、普通にマッサージをしてて気持ちがいいという彼女の感想だった。


「おおお! 身体が軽いニャ! 顔がペタペタぷるぷるニャ! あ、あの、あてしトイレ行きたくなったニャ。マヤ様ありがとニャ!」


「後でお風呂に入ってオイルを流すんだぞー」

「わかったニャー!」


 やっぱりお腹の腸マッサージが効くんかねえ。

 私は散々と悶々したばかりなので、マッサージ中も賢者モードだったのが幸いだ。


 なんだかんだでもうすぐ夕方になってしまう時間になった。

 パティも帰ってきたし、侯爵とフェルナンドさんも続いて帰ってきたようだ。

 こんなに早く退勤出来るなんて、なんてホワイトな職場だろうか。


---


 夕食を食べてその後食堂にて、侯爵に呼び止められる。

 次のデモンズゲートのついての話だろうか?


「マヤ殿、アマリアから聞いたんだが……」

「え?」

「アマリアに、エステというマッサージをしたそうじゃないか。」


 私は背中に冷や汗がダラーッと出ているのがわかった。

 何で? アマリアさんそういうこと言ってしまって大丈夫だったのか?


「エステを、私にもやってくれないかね?」

「え? あの…… はい」


「じゃあ風呂へ入ってくるからな。適当な時に私の寝室へ来てくれないか。」

「はい……」


 は? はぁ??

 これは予想外の展開になってしまった。

 私がアマリアさんの裸を見ちゃったこと、侯爵はそれでいいの?

 まあ、侯爵にマッサージをするとき話をすることになるかも知れないが……


 適当な時間になり、侯爵閣下の寝室に行った。

 コンコン。


「マヤ殿かな。入ってくれ」

「失礼します……」

「よく来てくれた。それで、どうすればいいのかな?」

「今からベッドにタオルを敷きます。下着だけになって、ベッドにうつ伏せになって寝て下さい」

「うむっ わかったっ」


 さすがにパンツを脱いでもらう勇気は無い。

 オイルで汚さないよう気をつけよう。

 今日はタオルをたくさん使ってしまった。

 メイドの洗濯係の人、すみませ~ん。


 侯爵閣下は、はりきってルンルンと服を脱ぎ脱ぎしている。

 私が逆に気分が盛り下がるが、仕事だと思って諦める。

 彼は黒いビキニぱんつの姿になって、ベッドに寝転んだ。

 なんとなく想像はしていたけれど、けっこうマッチョじゃないか。

 アニキと呼んでいいですか?

 

「じゃあ脚から始めますね」

「よろしく頼むよ」


 私はアマリアさんの時とは別の意味で無心になってマッサージをした。

 髭面なのに、そんなに毛深くないのが幸いだ。


「むほっ いいぞ! マヤ殿! 血の巡りが良くなってそうな気がする。むほっ むほほっ」


 あぁ…… なんだこれ。

 マッサージ内容はアマリアさんと変わらず。


「あの、つかぬ事を伺ってもよろしいでしょうか?」

「なんだね?」

「私がアマリア様にこのようなことをしていても、閣下は気にならないのでしょうか?」

「私はマヤ殿を信じているし、アマリアはちゃんと私のことを好いているのがわかっている。彼女が君を気に入っていることは前からわかっていたし、君に何かをしても気にしないようにしている」

「ええ?」

「――いや、もっと言うとだな。ここだけの話だ。私は外に(めかけ)が二人いるんだ。アマリアはたぶん黙認している、公然の秘密だ」

「え…… そうだったんですか……」


 いきなりそういうことをぶっちゃけられるとは思わなかった。

 あれほどの美人妻を二人も抱えて、侯爵って思っていた以上に好色おっさんなんだな。


「だから私がとやかく言う資格は無いし、アマリアも君ぐらいしか他に相手がいないようだから、構わないことにしている。だが子供が出来るようなことにはならないでおくれよ。君はパティと結婚してもらわなくてはいけないから、いろいろ問題になってくるからな。君はもう私の息子みたいなものだからね。はっはっは」


 何とも考え方が大らかなのか、人格者なのか。

 いやいや人格者なら最初からそんなことにはならない。

 私の常識とはだいぶん違うようだ。

 私の立場でも、エリカさんやビビアナが他の男を好きになるのは嫌だなあ。

『英雄色を好む』という言葉を聞いたことがあるが、侯爵閣下はそういうことなのか?

 人数だけなら私もそうなんだが、英雄という自覚は無い。


 ――私はマッサージを続ける。

 ビキニパンツのもっこりも気にしないで心を無にして施術する。


「うっ おうっふっ むほぉぉぉぉ マヤ殿、最高に気持ちいいぞ!」

「ありがとうございます……」


 言葉だけだと何だか男同士でイチャコラしてる気分……

 最後に顔のマッサージ。

 髭面だからちょっとやりにくい。

 とりあえずこれで終了した。


「いや~ ありがとう。肩も足腰もみんな軽くなったようだ」

「顔をこの鏡で見て下さい」

「おお! なんだこれは! 肌が白くてすっきりしている! 今まで私の顔はそんなに汚れていたのか!!」


 実は水魔法と風魔法を使って角栓吸引もしている。

 黒いイチゴ鼻が綺麗になった。

 まあ喜んでもらえて何よりだ。


「後でもう一度お風呂に入って、オイルを洗い流して下さい。それで―― 新たなデモンズゲートについての話はどうなんでしょう?」


「それがな、急ぎの案件ではないようだから明日の夕食の後にでも話すよ。だから君は明日もゆっくり休んでいてくれ。それからこれはお礼だ」


 侯爵閣下からも金貨一枚を貰ってしまった。


「ありがとうございます。こんなに頂いてよろしいのですか?」

「君のマッサージにはそれくらいの価値があるよ。受け取ってくれ」


 お小遣いにしては多いのだけれど、将来のために貯めておこう。

 私は侯爵閣下の寝室を退出して、自室へ帰った。

 今日は結局三人ものエステをしたから疲れたな……

 アマリアさんのエッチな身体を思い出して、悶々としながら寝るとしよう。


侯爵閣下のオチをやってみたかったんです。

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