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第三百七十七話 セレナさんが私の部屋へ来た

 今回もちょっとエッチなお話が長いです。仕方ないんです。ランジェリーの勇者のお話だから。



 ヒノモトの国への出発日が来週に迫る。

 その前にヴェロニカを王都へ連れて行き、女王からヒノモトの皇帝イヅモノミカドへ渡す親書を受け取らなければならない。

 そしてヒノモトの国へは刀の修繕と修行のために最低一ヶ月は滞在することになるため、その間はロベルタ・ロサリタのデザイン画を渡すことが出来なくなる。

 そういうわけで、この三、四日は根を詰めて自室にてデザイン画を描くことに励んでいた。


 セレナさんは、三人で話した時から毎日来るようになってしまった。

 昨日なんてお泊まりして、パティと一緒にお風呂へ入ったという。

 学園では着替えでお互いの下着姿くらいは見たことあるだろうけれど、裸の付き合いは……

 セレナさんのあんなきめ細かく綺麗な肌では、女のパティですら興味津々だろう。

 いろんな妄想が(はかど)ってしまうな。うひょひょ


 ――お風呂上がりにパティの部屋へ私も呼ばれて、パジャマでお茶会もした。

 パティは薄いピンクの可愛いワンピースのパジャマ。

 セレナさんはアイボリーの清楚系ワンピース。よく似合っている。

 ついでに私は、前から持っているシルクの青いパジャマ。

 お茶会の間、セレナさんはパティをチラチラ見ながら彼女の顔が終始緩んでいたが、お風呂で何かあったのかな。

 それとも、一緒のベッドで寝るみたいだから……

 この先ちょっと心配になってくる。


 翌日は、パティが朝から大聖堂で半日ほど魔法の勉強会をやるので、エリカさん、マルヤッタさんと共に出掛けてしまった。

 セレナさんはそのまま残って私に付き合うということだが、パティは何も疑問を持たずセレナさんに任せて行った。

 信用してくれるのは有り難いが、セレナさんのほうは大丈夫なのか?

 で、セレナさんがどうしてもデザイン画を描く作業を見たいというので、いま彼女が私の部屋にいる。

  私が座ってデスクで描いている様子を、セレネさんは後ろに立ちニコニコにしながら見ていた。

 ダラダラしながら、良い案が思いついたらガリガリと描くだけなので、見ても面白いとは思えないのだが。


 ――コンコン


「マヤ様、お茶をお持ちしました」

「どうぞー」


 ドア向こうからルナちゃんの声がしたので、入ってもらう。

 彼女は既に沸かしたてのお茶が入っている魔動ティーポットとティーカップ、少量のお菓子を持ってきた。


「失礼します」


 彼女はテーブルに、無駄口を叩かず淡々とお茶を入れる準備をする。

 お客様がいるのだから当然だろう。

 セレナさんはそのまま私の後ろから覗いているが、何だか落ち着かない。


「あの、マヤ様。(わたくし)にお手伝いが出来ることはございますか?」

「手伝いですかあ…… 私はただ描くだけだから、特にこれといって……」


 いきなりモデルをしてもらうには早いだろう。

 ミランダさんじゃあるまいし、いくら自分のランジェリー姿を見てもらいたくても、まだ乙女であるセレナさんにこちらからお願いすることは避けたい。


「マヤ様、お茶が入りましたのでどうぞ」

「ありがとう」


 ルナちゃんから愛想がない顔で声を掛けられたので、セレナさんにも腰掛けてもらう。

 セレナさんを嫌っているわけではないと思うけれど、ルナちゃんのこの無表情っぷりは何かあるよね……

 最近あまり構ってあげてないし、私の周りには女性が増えるばかりだし……

 何と言っても私が貴族になって最初の従者になってくれた子で、あまり上下関係を考えているつもりはないけれど、王宮勤めだったルナちゃんにとっては常に主人と一緒にいてお世話をするものというプライドがある。

 ヒノモトの国へ行くまで時間が無い。

 彼女は連れて行けないので、早いうちに対策せねば。


「マヤ様、差し出がましいですが提案をよろしいですか?」

「うん、なんだろう?」

「セレナ様はロベルタ・ロサリタブランドが大変お好きだと伺っております。でしたら、マヤ様が女性だったときに使ってらした下着をご覧に入れたらいかがですか? 私が男物も含め全て綺麗に洗って整理してますし、未使用の物もたくさんあるじゃないですか」

「ああ、そっか…… そうだね」


 男物も全て洗って整理してる―― ルナちゃんの、私のご主人様だぞアピールがさりげなく入っていて、セレナさんへの対抗心があるのだな。ふふふ、可愛い。


「そういえば、マヤ様は長らく女性だった時がございましたね。その時お話をする機会が無くて残念でしたが…… それで、マヤ様のランジェリーを拝見させていただけるのでしょうか?」

「はい。そこの隅にあるタンスに入ってます」

「で、では早速……」


 セレナさんが立ち上がろうとすると、ルナちゃんが彼女へキリッともの申す。


「セレナ様、その前にお茶が冷めますのでお召し上がり下さいませ」

「ああっ そうですね。失礼しました……」


 セレナさんは素直にルナちゃんの言うことを聞き、再び席についてお茶を飲み始めた。

 少なくとも他の家の使用人には、きつく当たることが無いということか。

 さすがパティの友人は質が良い。

 キンセアニェーラの後のブリアンダさんには突っかかっていたけれど、対等の立場だからこそだろう。


「それでは失礼します。ごゆっくり……」

「ありがとう、ルナちゃん」


 ルナちゃんは一礼して退出して行った。

 内心ドキドキしていたけれど、平和に済んで良かった……

 セレナさんはお茶を飲みながら、ルナちゃんが去ったドアをチラッと見てこう言う。


「使用人と仲がよろしいんですのね」

「あの子は元々王宮の給仕係でね。私が王宮で滞在していた時に世話になって、気に入ったから陛下に頼んでここへ連れてきたんですよ」

「まあっ!? 王宮で働いていた方だっだんですか。超一流の教育を受けて、さぞ優秀な給仕さんなんでしょう!」

「確かにテキパキと仕事がよく出来る子ですね」

「王宮で手間を掛けて教育した彼女を陛下より(たまわ)るとは、マヤ様はどれだけ陛下の信頼が厚いのでしょう!」

「いやーはははっ それほどでも」


 そっちかい!

 仲がよろしいというセレナさんの言動、てっきり私の下心でルナちゃんを雇っていると思われてしまったかと。

 ルナちゃん可愛いしおっぱい大きいし実際半分以上下心の理由なのに、セレナさんは純粋な見解とは、ちょっと自分が恥ずかしくなってきた。

 セレナさんはお茶を飲み終わったようなので、さっきからタンスの方をチラチラみているから、余程見たくて仕方がないのだろう。

 異性にぱんつを見られるのは恥ずかしいけれど、女の身体は擬似的な存在だったから気にしないでおこう。


「セレナさん、タンスの中は好きに見ていて下さい。私はデザイン画を描く作業を続けていますので」

「はい! 承知しました!」


 セレナさんはスクッと立ち上がり、ウキウキしながら部屋の隅にあるタンスの方へ向かって行った。

 単に下着が好きな女性と思えば良いのだけれど、情熱的というか、自分の下着姿が大好きなのか、ナルシストなところがあるんだよな。



(セレナ視点)


 タンスがたくさん並んでますね……

 この一番隅のタンスが、マヤ様が女性だったときに使っていた物が入っているのですか……

 ドキドキしてきます。

 タンスも随分立派で、さすが子爵家ですね。(※実はパティに頼んで中古品を探してもらって、見た目は高級だけれど格安のタンスなのだ)

 では、拝見させていただきます―― ガラッ


 まあっ たくさん色とりどりのショーツが入ってます! 私より綺麗にたたんであって、あのツインテールの給仕さんは素晴らしいお仕事をされているんですね。

 手前の白いショーツを拝見させていただきましょう。

 ――まっ まあ可愛らしい!

 ウエストと裾又にはヒラヒラのフリルがついてて、お若い方向けですね。

 確か…… パトリシア様もこういう物を履いてらしたことがありましたわ。


 これは綺麗に仕舞って、次の薄いピンクは――

 あら、ローライズですけれど随分ノーマルなショーツですわね……

 生地も綿だし、意外にロベルタ・ロサリタブランドにも普及品があるんですね。

 ん……?? はっ!? タグに書いてあるのは……

 こここここっ これは、ギーザコットン!

 南のアイギュス王国で生産されていて、僅かにしか収穫できない超高級綿花!

 はははっ 初めて拝見しました!

 これがロベルタ・ロサリタブランドに存在していたなんて、(わたくし)としたことが全くの盲点でした……

 これと普及品の綿と区別が付かないなんて…… 私、とっても悔しいです。

 はぁぁぁぁ…… 何というしなやかな手触り……

 さすが超高級品です。銀貨一枚ではとても買えませんね。

 ――スリスリ あああっ 優しくて柔らかな肌触り……

 こんな素晴らしいショーツが履けたのなら、快適な一日が過ごせるでしょう。

 ――クンクン いけない。つい嗅いでしまいました。

 洗剤の良い香りですね。

 ほのかに香るミルクのような匂い…… こんな香りがする洗剤があるのかしら?

 あああっ (わたくし)っ とろけてしまいそうです。



(マヤ視点)


 ありゃりゃ。セレナさんたら私のぱんつをほっぺたにスリスリして、匂いまで嗅いでるよ。

 洗ってあるけれど、やっぱり恥ずかしいな。

 あのピンクのぱんつ、ロレナさんからプレゼントされた限定品なんだけれど、すごく高いらしい。

 確か銀貨五枚だったか、綿パン一枚で五万円相当なんて正気の沙汰じゃないよな。

 でもすごく履き心地が良くて、しょっちゅう履いてたなあ。

 お陰で履くぱんつが偏って、せっかく買ったぱんつの未使用品が溜まっちゃって。

 アレ、朝の訓練にも履いてて汗まみれになったけれど、ルナちゃんが綺麗に洗ってくれて、何回洗っても耐久性があるからゴワゴワしてこないんだよね。

 今度再生産されたら、また買っちゃおうかな。

 あ、今は男だったよ…… 残念。

 また女になったときでも良いけれど、男物のビキニブリーフも頼んで作ってもらおうかな。



(セレナ視点)


 もし可能であればお譲り出来ないかお願いしてみようかと思ったのですが、マヤ様はお尻が大きめで(わたくし)とサイズが合いませんわね。

 残念ですがこのまま仕舞いましょう。

 ――さて、こちらは濃紺のフルバックショーツですね。

 前にオレンジのラインがデザインされています。

 でも、ちょっと変わった形をしているような……

 前に膨らみがあって、あら? オレンジのラインの部分、布が重なって隙間がありますね。

 まあ。指を入れてみたら入って、中まで突き抜けてしまいました。

 これ…… えっ?

 はわわわわわ…… もしやこの下着は殿方の……

 男のマヤ様の下着? 何故こんなところに混じって……

 女物に見えないこともないですから、あの給仕さんが間違えて入れてしまったのかしら……

 で、でも…… 初めて殿方の下着を手にしてしまいました。

 このような構造になっていたとは、興味深いです。

 殿方はお小水の用を足すときに、脱がなくても楽で良いですわね……

 こ…… ここからマヤ様が……

 はっ!? (わたくし)ったら何を想像して!?

 殿方の身体を知りませんのに、見れば見るほどドキドキしてしまいます。

 ――いえっ それよりこの下着は女性物から外しておかなければいけませんね。

 マヤ様にお返しをしなければ。



(マヤ視点)


 セレナさん、静かだけれどじっくり観賞しているのかな。

 うううっ 仲良くなって間もない女性に下着を見られるのは、やっぱり恥ずかしい。

 エリカさんとかなら勝手に見てろ、だけど。


「――あの、マヤ様……」

「あっ はい」

「これ……」


 セレナさんが戻って来て後ろから声を掛けてきた。

 振り向いて彼女を見ると……

 とても恥ずかしそうに顔を赤くして、両手で下着を掲げて私に見せていた。


「あ…… それは私のビキニブリーフ……」

「女物の引き出しに間違って入っておりましたので、お、お返しに……」

「ああ、そうでしたか。わざわざありがとうございます」


 びっくりした。何でセレナさんがビキニブリーフを持っているのかと思ったら、ルナちゃんがたまたま間違えて入れたのかな。

 前閉じにオレンジのラインが入っていて、股間部が膨らんでいてフィット感があるそのブリーフを見かけなくなったので、どこへいったのかと思ってた。

 ああ…… 同じデザインでレディースブリーフを作っていたから、ルナちゃんはそれと間違えたのかも知れない。

 股間の膨らみで気づかなかったのかな。

 セレナさんがそっとブリーフを渡してくれたので、受け取って取りあえずデスクの引き出しに入れておいた。


「それであの…… デザイン画を描く進み具合は順調でございますか?」

「いやあ、ちょっと(つまず)いてしまって思うように進んでいないんですよ。困ったな……」

「そうでございましたか…… (わたくし)がお邪魔でいけませんでしたね。申し訳ございません……」


 セレナさんが深々と頭を下げたので、私はすぐに()めさせる。


「いやいや、セレナさんのせいではありません。私が近頃スランプ気味なだけなので」

「では…… すこしでも私がマヤ様のお力になれば……」


 セレナさんはそう言うと、(おもむろ)に静々とドレスに手をかけて脱ぎだした。

 また!? セレナさんは見せたがりなのか?

 ま、まあ私も見たいので止めはしないが、彼女の恥じらいある脱ぎっぷりはまるで私がそう命令したようで、ゾクゾクしてしまう。

 そして、セレナさんはショーツとブラだけになってしまった。

 私とセレナさんの二人っきり、私の部屋でっ


「今日はこのような下着を選んで参りました。如何でございますか?」

「――」


 え? 最初から私に見せるためにそのランジェリーを選んで履いてきたのか?

 私って、()()()()人と仲良くなってしまったなあ。

 で、今日のランジェリーとは……

 上下とも黒のレースで、黒薔薇をイメージしたものだ。

 ブラは透けているがポッチの部分は黒薔薇の刺繍があって見えない。

 下も黒薔薇レースのボックスショーツ。

 ボックスショーツとは男性諸君には聞き慣れないだろうが、形でいえばボクサーブリーフに近く、それを薄手のレースで作ってあるものだ。

 レース製ばかりでなく、その形状のサニタリーショーツや、レディースボクサーブリーフのことも指すことがある。

 股間はやはり黒薔薇で隠してあり、そことクロッチ当て布以外は……

 たしかこのボックスショーツはお尻まで、ブラ同様半透け黒薔薇でデザインされているはずだ。

 彼女の後ろはまだ見ていない。

 しかしこの人、透けてるランジェリーが好きなんだなあ。


「今日のランジェリーも、とても似合ってますよ。腰のくびれと、太股のちょうど良い太さの体型がそのボックスショーツとバランスが合っています。ブラも胸がうまくカップに収まっていて、非の打ち所がありません」

「ああ…… はぁ…… 今日もマヤ様に、お褒めいただけた…… しかも的確な言葉で…… 嬉しいです……」


 セレナさんはそう言うと、ホロッと涙を流した。

 倒れられるよりは良いけれど、女性を泣かせてしまうのは私にとって追い詰められた感覚になり、精神衛生上に良くない。

 私はハンカチを取り出して、涙を拭いてあげた。


「ごめんなさい、感激の余りに……」

「いえ、私がデザインしたランジェリーを似合っている女性に着けてもらえるなんて、私の方こそとても感激しています」


 お世辞でなく、実際そう思う。

 あまりのスタイルの良さに、じっくり見て新しいデザインのインスピレーションがどんどん湧いてくるような気がする。


「あの、セレナさん。もっと後でお話をしようと思っていたことがあるんですが、今お話ししたいと思いました」

「は、はい。なんでしょう?」

「私の、ロベルタ・ロサリタブランド専属のランジェリーデザインモデルになって頂けませんか?」

「あ…… ああ……」


 やはりセレナさんはそれを聞いて、固まってしまった。

 無理もないが、ここは退いてはいけない。

 彼女ほどの逸材には、また出会えるのかわからない。

 仕事が(はかど)るのであれば、絶対に彼女でなくてはならない。


「――即答しかねますが…… マヤ様のお手伝いが出来るのであれば、前向きに考えたいです…… ポッ」


 セレナさんが口を開き、ゆっくり話し始める。

 最後にポッと顔を赤くして照れていた。

 あの様子を見てダメかと思っていたけれど、()いぞ()いぞ!


「急ぎではありません。可能であれば、私がヒノモトの国へ行って帰ってくるまでの一ヶ月か二ヶ月先までにっ」

「承知しました。仕事の話ですから、今は家業の手伝いを少しだけしておりますので、両親にも話をしてみます……」

「わかりました」


 セレナさんの実家、サラゴサ家の家業は縫製された布の卸問屋を経営しているそうで、それでランジェリーに興味が出たかはわからないが、アリアドナサルダとは特に繋がりが無いらしい。

 主に事務仕事と、仕入れ元の工場へ時々話をしにいくとのこと。

 そういうことで、モデル業は毎日でなくても良いから、家業に支障が無いよう合間にやってもらえたら良いと彼女に話しておいた。

 まあ、こうして我が家によく来ているのだから、彼女はそれほど忙しくないのだろう。


「マヤ様…… もっと近くでご覧になりませんか?」

「え……」

「前にも申し上げましたが、私、マヤ様に下着姿を見られることがとても幸せなんです」


 まだランジェリー姿で私の前に恥ずかしそうに立っているセレナさんがそう言う。

 恥じらいながら「見て下さい」だなんて、見てあげなければ失礼に当たるだろう。


「それでは、後ろを拝見させて下さい」

「はい、どうぞ……」


 セレナさんからクルッと後ろへ向いてくれた。

 お団子にまとめた髪の毛の下は、色っぽいうなじ……

 そこにキスしてみたい衝動に駆られる。いやいや、それより――

 ボックスショーツは、やはり透けている黒薔薇のレースで、お尻の割れ目がくっきり見えている。

 クロッチまで黒薔薇がギリギリに攻めており、あともうちょっとで後ろの大事なところが見えてしまう。

 裸よりエッチとは、こういうことだ。

 やっぱりランジェリーは、女性が着けてからこそ命が吹き込まれるのだ。

 何だか新しいデザインが頭に湧いてきそうだぞ!


「あの、しゃがんで見ても良いですか?」

「ははっ 恥ずかしいですがマヤ様がそう(おっしゃ)るならば…… どうぞ…… ポッ」


 セレナさんは恥じらいながらも、許してくれた。

 私は早速しゃがんで、セレナさんのお尻を拝見させてもらう。

 しゅ、しゅ…… しゅごいいい!!

 お尻はパティより一回り小さく、それでいてぺったんこでなく適度な丸みを帯びている。

 レース越しでも肌が綺麗なのがわかる。ホクロすら無い。完璧な美尻だ。

 お尻の割れ目が…… このまま顔を突っ込んでクンカクンカしていまいそう。


「前も…… 拝見してよろしいですか?」

「はい……」


 セレナさんは、再びクルリと回る。

 目の前には黒薔薇。その向こうにはセレナさんの神秘が布一枚越しに……

 セレナさんの、独特の香りがしているような……

 いつの間にか、分身君が破裂しそうになっている。

 これはいかん。このままだとベッドへ押し倒してしまいそうなので、私の強い理性でグッと抑えた。

 観賞はこれで終わり、私はスクッと立ち上がる。


「あ、ありがとうございます。これで、良いデザインが湧いてきそうです」

「もっとご覧になっていても良かった…… いえ、こちらのことです。マヤ様のお力になれて、とても光栄に存じます」


 はぁ…… まずは良かった……

 いくらセレナさんが身に着けたランジェリー見せたがりでも、乙女を無理に押し倒したら、きっと私への憧れから軽蔑に変わるだろう。

 乙女であることは告白があったが、今まで男性とデートしたりキスをすることも無かったのだろうか?

 そう考え事をしているうちに、セレナさんはドレスを着直していた。

 私の分身君もすっかり収まっていた。良かった……

 それに、ルナちゃんがまた来てしまったら、大変なことになっていた。

 ドアに鍵が掛かってないしな……


「つかぬ事を突然伺い失礼かと存じますが…… この先、セレナさんとどうお付き合いしたら良いのか判断がつかなくて…… そのために質問があります」

「はい、なんでしょう?」

「セレナさんは男性との経験が無いと先日(おっしゃ)いましたが、お付き合いや…… キスはされたことはあるのですか?」

「――それは…… 一切ございません。手を繋いだことがあるのは、小さいときに父上やお兄様とだけです。キ、キ、キ…… キスも…… 誰ともありません」

「そうでしたか…… あいや、お答え下さりありがとうございます。それを聞いて安心しました」

(わたくし)…… マヤ様のお気持ち次第で、身も心もマヤ様へ全て差し上げるつもりです。で、でも…… キ、キスはどうやってしたら良いのか…… ボムッ」

「あっ……」


 セレナさんの顔が真っ赤になって爆発した。

 キスも無い、家族以外の男と手を繋いだことも無い。

 薄々と察していたけれど、完全なる乙女だった。

 彼女自身の男性に対する幻想が強すぎて、自分が考えている相手と巡り会えなかったからという理由はあるだろう。

 だが、キスのことを考えただけでそうなるのに、何故彼女は私の前でランジェリー姿になれるのか。

 私のロベルタ・ロサリタブランドに対する憧れが強すぎて、自分を見て欲しいという強い気持ちがそうさせた。

 ところが、乙女過ぎる彼女故に私に飛びついてキスしたいとか、裸になって自分を差し出そうという発想が無い。

 逆に男の私が、ランジェリー姿のセレナさんを押し倒そうと彼女は想像しない、謎の信頼がある。

 それはきっと、親友であるパティと私の良好な関係から信用してくれているのか。

 セレナさんの心理分析は難しいな……

 彼女と二人っきりだけの時は、距離感に気を付けて縮めていこう。

 パティの話では、マカレーナ女学院での成績は優秀だったそうで、普段のちょっと天然だが真面目で毅然とした性格は、生活と仕事のパートナーとしても私の方から受け入れたいほどだ。


---

 

 この日、セレナさんはまた私の部屋でタンスの中のランジェリーを漁って観賞したり、渡した物とは別の古いデザイン画ノートを静かにじっくり見ていた。

 やってることは、オタク友が漫画を読みに遊びに来たのと変わらない感覚だ。

 お昼はビビアナにご飯を用意してもらって、アムたちに邪魔されないよう別の部屋にて二人で会食。

 マカレーナ女学院時代の話や、私からは王宮での話をしたり、お互い有意義な時間になった。

 セレナさんはニコニコ浮き足だって、パティたちが帰ってくる前に迎えの馬車で帰宅していった。

 彼女が急接近してきそうだけれど、ヒノモトの国での滞在期間が長いので、我慢してくれるだろうか……


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