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第三百七十話 王宮で楽しい夜、妖しい夜

 今回の小説家になろう版は、刺激的な表現を抑えています。

 思わず勢いで、シルビアさんの部屋で彼女とイイことをしてしまった。

 お互い溜まっていたから、短時間ながら燃え上がってしまった。

 性欲が強い相手とは、やっぱりこれが円満が続けられる方法だろう。

 これから王宮へ行かねばならないから、続きは明日の泊まりにしておく。


---


 王宮で女王と夕食。

 近衛兵に前もって到着を伝えていたため、久しぶりにアウグスト王子とカタリーナさんも一緒に食事をすることになった。

 マルティン王子は、とある貴族邸へお呼ばれして欠席だという。

 仕事なのか珍しいなと思ったら、たまに趣味仲間が集まって小さなパーティーをやっているそうだ。

 なるほど、ヲタ友の()()()みたいなものか。

 人形、日本で言う着せ替えのフィギュアが好きみたいだけれど、そういう趣味が貴族でも流行ってるんだねえ。

 人形用のランジェリーもアリアドナサルダで作ったら、売れるかな?


「近衛兵が言っていたようだけれど、やっと男に戻ったのね」

「ええ、なんとか。エリカさんの魔法が成功したので」


 女王の言葉に対して、私はいつものように頭を掻きながら返答する。


「ふぁぁぁっ 良かった。マヤさんが本当に女のままだったらヴェロニカやパトリシア嬢がどうなってしまうのか心配でしたよ」

「本当です。パトリシア様のお婿にはマヤ様以外考えられませんわ」

「あっはっはっ ご心配おかけしました」


 アウグスト王子とカタリーナさんの言葉にも頭を掻くしかなかった。

 女になった理由の根源は、アモールの屋敷に居るサキュバスたちからの淫行から逃れたいからだなんて、知っている人は一握りもいない。

 それはさておき、アウグスト王子とカタリーナさんは私にとって友達か親戚の夫婦みたいな感覚になっており、彼らと良い付き合いが出来れば将来も何かと都合が良かろう。

 国政に関わる野心は無いが、飛行機を製造して飛ばすように、大きな力を障害無く使うには王族の協力があってこそだ。

 食事はコース式ではないが、後から次々と運ばれてくるのでもりもりと頂きながら会話を楽しむ。


「マヤ様、最近のパトリシア様のご様子は如何ですか?」

「やっと料理を覚える気になって、この前はパタタス・アリオリ(ふかし芋のニンニクソース和え)を頂きました。なかなか美味しかったですよ」

()()パトリシア様が…… 頑張ってらっしゃるのですね。うふふっ」


 カタリーナさんがパティの様子を聞いてきた。

 彼女らはお互い月に一回くらいのペースで手紙のやり取りをしているみたいだけれど、パティからの手紙はまだ届いていないのかな。

 私が届けても良いけれど、王都を往復するのは不定期なので。


「そうでした! パトリシア様は間もなくお誕生日ではないですか。成人の儀式は行われるのでしょうか?」

「はい。誕生日にマカレーナ大聖堂で行われる予定です」

「ああっ パトリシア様もとうとう十五歳! 小さくて可愛らしかったあの子が、もう大人のレディになってしまうのですね! (わたくし)が成人の儀式を受けたのがついこの前のことのようですが、もう六年前も経ってしまった…… パトリシア様の六年後はどれだけ美しくなっていることか、(わたくし)には想像出来ませんわっ」


 珍しくカタリーナ様が熱弁。

 まるで劇場での台詞みたいだった。

 パティの六年後は二十一歳。

 あの愛くるしいパティがカタリーナ様のような大人の女性になるなんて、私も想像が出来ない。

 つまり結婚六年後ということになるから、もう子供がいるのかな。ムフフ……


「カタリーナ、今日はいつもより一段と饒舌(じょうぜつ)だね。フフフッ」

「カタリーナ様はパトリシア嬢が大好きですからね」

「しょ、しょんなこと…… 確かに(わたくし)はパトリシア様は仲良しですし、尊敬もしておりますが……」


 アウグスト王子と私に揶揄(からか)われて、彼女は顔を真っ赤にして照れる。

 仲良しな女の子同士の関係は可愛げがあるけれど、カタリーナ様とパティの間は仲良しを超えた妖しい空気を感じたことがある。


「良いわねえ、若い子たちは。私も仲が良い子はいたけれど、私がこんな立場になって相手も忙しくなって、ゆっくり茶飲みも出来なくなったわ。カタリーナさん、この先もパトリシアさんと出来るだけ会える機会を作るように心掛けなさい。お互いのためだから」


 女王は自分の経験を息子の嫁にはさせまいと気を遣ってる。

 案外優しいところがあるんだな。


「はい、陛下。お心遣い有り難うございます」

「そうだね。私もカタリーナには負担を掛けないようにして、パトリシア嬢に会えるようにするから」

「ああ、殿下…… ありがとうございます。ポッ」


 カタリーナ様は、アウグスト王子の優しい言葉に照れていた。

 私もパティのために時間を作ってあげないとな。

 いつか王都へ引っ越すことも視野に入れておこう。


 ――出来上がった暖かい料理が次々と運ばれてくる。

 ん? 香ばしい匂いの、この焼き物料理の食材はどこかで見た形。

 そうか、これは先日ラガから持って帰った大蛸の吸盤の一部!?


「この炭火焼きのような料理、もしかして先日のグランド・オクトパスですか?」

「そうよ。これは『プルポ・ア・ラ・ブラサ』という料理で、我が国北西にあるア・ルコーニャという漁師街の郷土料理よ。タコを食べるならやっぱりこれが一番よね。たくさんあるから、この前王宮の職員に振る舞ったら大好評だったわ。ほら、マヤさんも食べてご覧なさい」

「はい、いただきますっ」


 つまり蛸の炭火焼きか。口直しにマッシュポテトが添えられている。

 巨大蛸の脚なので普通の蛸と違って、角切りやスライスになっているから蛸の原形は保っていないが…… どれどれ。


 ――モグモグモグ


「炭火焼きの香ばしさとタコの甘み、それからアイオリソース(ニンニクソース)との相性が絶妙ですね!」

「そうでしょう? またいつか、グランド・オクトパスを捕ってきてくれるかしら?」

「あのエロダコですねぇ…… あの時は、アイミたちがたまたま沖で捕まえてきたから、どこにいるのやらわかりません」

「エ、エロダコ!? それはなんですの?」


 カタリーナさんが反応してしまった。

 言葉を選ぶべきだったか。

 真面目な彼女には当然、ビーチでは刺激的なことが起きたのである。


「水着を剥ぎ取られたり被害にあった子たちがいて…… ヴェロニカも。あ、大蛸はちゃんと懲らしめて水着は取り返しましたよ」

「そんなことあったわね。オホホホッ マヤさんがいるから安心してたけれど」

「母上、それは初耳ですよ。うぷっ」


 女王と王子までも、それを聞いて笑っている。

 死に目に遭うような戦闘ではなかったけれど、ちょっとは自分の娘妹を心配しろよ。


「パ、パトリシア様はどうだったんですの!?」

「避難してましたから何事もありませんでしたよ」

「ホッ それは良かったです……」


 カタリーナさんが興奮気味で質問したが、私が返答したら胸をなで下ろす。

 興奮していたのは、パティのあられもない姿を想像していたのか?

 一時彼女が滞在していたとき、お風呂もよく一緒に入っていた仲だしねえ。(第六十一話参照)


---


 カタリーナ様の同席で思いのほか楽しかった夕食が終わり、女王の寝室がある棟へ向かう。

 女王の寝室の手前には、私が王宮へ泊まるときの常宿になっている部屋がある。

 ドアを開けると部屋が明るく、人の気配がある。


「――ああっ!? マヤさまだぁぁぁぁぁ!!」


 私の姿を見つけるなり、飛びついてきたのはモニカちゃん。

 王宮で世話になるときは、彼女でほぼ固定されている。


「やっと男に戻ったんですねえ! うふふふっ」

「本当にやっとだよ。心配掛けたね」


 モニカちゃんにがっしり抱きつかれ、石鹸の良い匂いがする。

 仕事中は香水を着けることが禁止になってるらしい。

 そして、メイド服越しでもわかるふにょふにょおっぱいの感触。

 ついこの前まで私もそれを持っていたのが、もう信じられない。


「マヤ様、先にお風呂へ入りますか? それとも、あ・た・し?」

「あいや…… さっき食べ過ぎちゃって、取りあえずベッドで横になりたい」

「えー つまんない」


 グランド・オクトパスの炭火焼きも美味しかったし、つい食べ過ぎた。

 食べた後にお風呂へ入ると、血液が胃に集まらなくなって消化が悪くなるからね。

 エスカランテ家から、私はブラウスだけで来ているのでそのままベッドへごろんと横たわった。


「あー 苦しっ」 ―カチャカチャ


 私はズボンのベルトを緩める。

 するとモニカちゃんがニヤニヤしながらベッドへ近づいて来る。


「ん? どうしたの?」

「えへへー」


 モニカちゃんはベッドへ上がり、私の脚の間へ入り込んで座る。


「あの……」

「もう我慢出来ない」


 ――結局、着衣のままモニカちゃん上位のスタイルでいたしてしまった。

 クラシックスタイルのメイド服だから、長いスカートの中の見えないところでナニが起こっているのか、胸が躍るようだった。

 それから王宮専用の作りが高価なメイド服でいたす背徳感。

 確かジュリアさんともメイド服のままいたしたことがあったが、ガルシア家や我が家のメイド服はスタンダードなものだ。

 モニカちゃんが満足した後――


「ど、どんなぱんてぃ履いてんの?」


 とキョドりながら聞いてみたら、ニコニコと快くスカートを両手で広げ、見せてくれた。

 ピンク色のヒラヒラで、一見穴あきには見えないモノだった。

 確かに私がデザインしたものだが、実際に履いてくれている女性をじっくり見る機会があまりない。

 モニカちゃんはスタイルが良いし、モデルを頼んでも彼女の性格ならば抵抗は無いだろう。

 年増…… いや、三十代層はミランダさんが喜んでやってくれそうだ。

 ビビアナやセシリアさんみたいなタイプが違う女性のモデルも欲しい。

 ヴェロニカみたいな体育会系むっちり体系のモデルも欲しいけれど、絶対やってくれなさそう。


「ねえマヤ様、何一人でブツブツ言ってるんですか?」

「ああ、ランジェリーのデザインを考えるのに、モデルがやっぱり欲しいかなあって。モニカちゃんならやってくれる?」

「勿論ですよ。でもギャラをはずんで下さいよね。にっひっひ」

「わかった。いずれお願いすると思うよ」

「やったー!」


 モニカちゃんは万歳で大喜び。

 

「もうお腹はこなれたでしょうから、お風呂へ入りますよ」

「あ、ああ……」


 足先に引っかかっていたズボンをモニカちゃんに剥ぎ取られ、ブラウスも脱がされあっという間に全裸にされる。

 モニカちゃん自身もハラリとメイド服を脱ぎ、私は部屋にあるお風呂へ押し込まれた。


 ――シャコシャコシャコ


 身体の隅々まで洗ってもらい、他にもいろいろムフフなことをしてもらってお風呂から上がる。

 はうぅぅぅ 実に献身的なサービスで予は満足じゃ……


「ねえマヤ様、次はいつ来られるの?」

「明日はシルビアさんの実家へ泊まるし、半月後にはヒノモトの国へ行くからそれまでにもう一回来られるかな」

「あたし、マヤ様と離れたくない。毎日会えるルナが羨ましい」


 お風呂で裸のままモニカちゃんに抱きつかれる。

 ぽにょぽにょお胸の感触がダイレクトに私の胸へ伝わる。


「陛下には交渉している最中だから、きっと大丈夫だよ。新しい給仕係は入ってきてるの?」

「うん…… 後輩はいるけれどまだ仕事に慣れてないみたい……」

「そっかあ。早くモニカちゃんの代わりの子が決まるといいね」

「でも、代わりの子にこんなことはさせませんよ。にひひ」

「ふふふ そういうことか」


 私は今一度、モニカちゃんをぎゅっと抱きしめた。

 彼女はとても幸せそうな安心しきった表情だった。


「マヤ様だからこんなサービスをしてるんですよ。他のお客様にはしてないんだから、そこんところはわかって下さいね」

「うん」


 お風呂から上がり、モニカちゃんが先にメイド服を着た後、パジャマを着る。


 ――チュッ


「じゃあねマヤ様。おやすみ」

「おやすみ」


 互いに軽いキスをして、モニカちゃんは部屋を退出していった。

 終わった後の、この幸福感と寂しさが同時に来る気持ちは何だろうな。


---


 お風呂上がりから一刻(約二時間)が経ち、久方ぶりに女王の寝室へ。

 この時ばかりは男娼役として私が相手をする。

 パティたちには内緒で申し訳ない気持ちはあれど、国内一の権力者から私やみんなの立場を守るためなのだ。

 まあ、断っても女王が私たちを迫害するとは思えないが、飛行機の利用を制限されたり、モニカちゃんたちとも会えなくなるかも知れない。

 で、アレがいつまで続くのやら――だが、この調子なら女王が五十過ぎてもあるんだろうな。

 AVには五十路モノがたくさんで、そういう需要があるのかと少々身震いする。

 個人的には二十代後半から三十代前半にかけてが一番好みだ。

 誰も聞いちゃいない?


 ――私の目の前で白桃のようなお尻を突き出し、大きな声で喘いでいるイスパルの国王マルティナ。

 裸になれば国王でも一人の女だ。

 私の現在の身体で年の差を数えると二十二、三歳差あるから、もはや親子である。

 一般論で言わせてもらうと、二十歳の男が性交渉で母親と同じ世代の女性を相手にするのは(おぞ)ましいことだが、私の精神は五十歳過ぎで女王は年下だ。

 女王の身分であれ、若い子を相手にするよりは意外に気を遣わないで済む。

 私が受け身専門でも全く問題無い。勝手に動いてくれる。

 彼女に対して愛は無いが、嫌いではない。

 実年齢よりは多少若く見え、美しい。

 ああ―― そんな彼女が今晩も快楽のまま無防備に、淫らな表情を私に見せる。

 結局彼女は、数ヶ月分溜まった分なのか、五回も昇天して最後には満足してスヤスヤと眠ってしまった。

 冷えないように布団を掛け、こっそりと自分の寝室へ帰る。


 今日はシルビアさん、モニカちゃん、女王と、三人の女性といたしてしまった。

 男に戻ってからいきなり三人も相手にしても、分身君はへこたらずに頑張ってくれたので賞賛したい。

 もしかして以前より強くなっていたりしてな。ハッハッハッ


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