第三百六十七話 セシリアさんのブラサイズ
日常回のつもりなのに、セクシー回になってしまいました。
我が家で朝食。
みんなが集まっている中、遅れてダイニングルームへ入る。
何故遅れたかと言えば、この屋敷へ引っ越してから男物の衣服がどこへやったのかわからず、タンスの引き出しをしまくっていたからだ。
男物より女物の衣服や下着の方がはるかに多くなってしまい、結局男物は隅のタンスへ綺麗に折りたたんで入っていた。
クローゼットの中も、女物に紛れて男物が隅に追いやられていた。
ルナちゃんが整理して入れてくれたんだろうけれど、場所を聞いておけば良かった……
それはともかく、エリカさんの話では再び女になれることもわかったので、女物が無駄にならずに済んだ。
ぱんつは久しぶりにトランクス!
白いシャツに、チャコールグレーのベストとズボン。
新しい門出のつもりで、気分も一新するには相応しい服装だ。
「やあ、みんなおはよう」
「まあ! マヤ様! お久しぶりですぅ! マイさんから聞きましたわ!」
「ハッハッハッ パティ、昨日も会ったばかりじゃないか」
「私にとっては久しぶりなんです! 良かったですわ…… これで堂々と結婚が出来ますわね……」
「君には心配掛けたね」
パティが嬉し涙し、手で拭う。
私自身も、パティの十五歳の誕生日に間に合ってホッとした。
「マヤさまぁぁぁあああ!」
駆け寄って抱きついてきたのはルナちゃんだった!
私にとって初めてで唯一無二の、大事なメイドである。
妹のような存在でもあり、小柄な身体で抱きついている様は可愛い。
頭を撫で撫でしてあげた。
パティはこちらを見て妬いてムスッとしてるが、この時ばかりはツッコミを入れないで黙っていた。
『へー 男のマヤさんってそんな顔だったんですね。実は人間のミノタウロスやオークみたいな顔だったらどうしようかと思ってました』
「ハッハッハッ マルヤッタさんは冗談きついなあ。この通り、普通の人間の顔だよ」
ルナちゃんが抱きついている横で、マルヤッタさんが嘲笑しながら言う。
モーリ家の誰かに毒されたのか、彼女も言うようになったなあ。
『うっひゃっひゃっひゃっひゃ! 悪党面じゃなくてイイ男じゃん! うっひゃっひゃっひゃっひゃ!』
「なんでイイ男で笑われるんだよ!」
『ほほぅ、尻も元通りだな。ヒッヒッヒッ』
「どさくさに紛れて触るんじゃない」
アムが指をさして笑っている。
バカにされてるのか褒めてるのか、意味がわからない。
アイミは私のお尻を撫で回している。
ああ、コイツは私の尻好きだったな。
抱きついているルナちゃんの頭をもう一度撫で撫でしてから、食卓に着いた。
ヴェロニカやセシリアさんたちみたいに先に食卓へ着いている者もいれば、私に倣って席へ着く者もいる。
ざーっと席に着いているモーリ家のメンバーを見ると、見事に男は私一人だけになってしまった。紅一点の逆だな。
完全ハーレムになってしまった。うひょー
「そういうわけで、みんな! 私は男に戻り、セシリアさんはとうとう女になれたわけだ! 改めて今日からよろしくお願いします!」
「「「「「わー! パチパチパチパチパチッ」」」」」
みんなが拍手してくれる。
セシリアさんは照れくさそうに話し始めた。
「まさか私が本当の女になれるなんて、夢のようです。マヤ様に出会わなければ、エリカ様がいらっしゃらなければ、こんなことは叶いませんでした。これもご縁の賜物です。ありがとうございます」
「「「「「わー! パチパチパチパチパチッ」」」」」
セシリアさんがペコリとお辞儀をした後、再び拍手。
これがモーリ家か。暖かくていいもんだなあ。うんうん。
「あっ!? セシリアおっぱいが大きくなってるニャ! マヤさんは大きいおっぱいが大好きだから気を付けるニャー ニャふふっ」
「え…… あぅ…… ビビアナさん……」
「朝からみんなの前で何てことを言うんだ。ぐぬぬ……」
「「「「「アハハハハハハッ!!」」」」」
マイやアムたちが笑っている。
ビビアナは時々空気が読めないことをしれっと言うから困るんだよ。
セシリアさんはそれを聞いて顔がトマトみたいに赤くなっているが、それはそれで可愛い。
心情的にも、より女性へ変化しているのかも知れない。
---
午前中は、セシリアさんの下着を買い込むために開店直後のアリアドナサルダへ。
彼女をお姫様抱っこして飛んで行っても良いけれど、目立ちすぎるので辻馬車で貴族階級向けの商店街へ向かう。
「いらっしゃいませ。あっ マヤ様! 店長! マヤ様がいらっしゃいました!」
店の入り口付近にいた店員の女の子が、私を見た途端に店長を呼んだ。
別に呼ばなくても良いんだがねえ。
「あらまっ マヤ様! やっと男性にお戻りになったのですね。あああっ お懐かしゅうございますぅ! 今日はどういった御用件で?」
「こちらのラミレス侯爵御令嬢セシリア様に、下着を何着か探そうかと思ってまして。ああっ その前にサイズをきちんと測っていただきたいのですが」
「そういうことでございましたか! セノビアちゃん! こちらにいらっしゃるセシリア様のサイズを測って、ご一緒に良い品を見繕って差し上げなさい!」
「はい、店長! さあセシリア様、参りましょう!」
ミランダ店長は、さっき入り口にいた店員のセノビアちゃんを呼び、セノビアちゃんはセシリアさんの手を引っ張って連れて行こうとした。
あのことを伝えておかなくっちゃ。
「セシリアさん! プレゼントを選ぶから、また後でね!」
「はい! わかりました!」
セシリアさんと一時的に離ればなれになることはわかっていた。
店長がそうさせたのだから。
「さあマヤ様。私たちも参りましょう」
「は…… はい」
店長は私の片腕にべったりと絡みつき、店長の執務室へ連れて行かれる。
他の店員の目にも憚られず、これだ。
いつものことなので店員さんたちも慣れっこだけなのだが。
---
執務室は店長と私の二人っきり。
店長ミランダ・コルテスさんは、コルテス男爵の第三夫人で三十代後半。
髪の毛はセミロングのブラウンでスタイルは良く、タイトスカートから覗いている脚も瑞々しく美しい。(第百四十二話参照)
ただ厚化粧で香水の香りがキツすぎるのが残念だ。
元の顔はたぶん悪く無さそうだが、地球のキャビンアテンダントさんのように営業用の顔として化粧を厚くしなければいけないところもあるから仕方が無い。
「さっ マヤ様。お茶をどうぞ」
「――ありがとうございます」
お茶を入れるのも、隣に座って私にべったりくっつく。
入れにくそうなのに器用にやるもんだ。
タイトスカートから覗く太股が色っぽすぎて、こちらからサワサワスリスリしたいところだが、人妻相手にそうもいかない。
なのにこれから始まることは、既婚女性としてあるまじき行為である。
「マヤ様、今日の下着は如何ですか?」
「ええ、僅かに覗いている様がとても官能的です。色が白というのも実に良いです」
「まあっ ありがとうございます!」
彼女が脚を広げると手を使わずともタイトスカートがずり上がり、白いおぱんつがチラッと見える。
僅かに見えているだけだが、レースのデザインに覚えがある。私のブランドだ。
――私からは手を出さないようにしているのに、ここへ来る度にこれだから困っているのだが、これも仕事のうちだと思って諦めている。
また、六十歳近い旦那は性欲が落ち夜の相手をしてくれないらしく、四十路前のこれから性欲が強くなる時期になってくるのにストレスを溜めさせないため、仕事を円滑にやってもらえるよういろいろ骨を折っているのだ。
それからミランダさんのストリップショーがいつものように始まる。
テーブルの上でぱんつを履いたまま大きく開脚したり、しまいにはぱんつを脱いでしまう。
それでも今日はセシリアさんを連れてきていて時間が無いので、それだけで済んだ。
酷いときは全裸になることがある。
目の前で繰り広げられている様に、私の分身君は爆発寸前。
だが、彼女の性癖なのか、私に見られ、私が理性を保って我慢しているのを見ているだけで満足しているようだ。
「マヤ様ったら、いけず…… 私はいつでもいいんですよ」
「旦那さんがいらっしゃる女性に、それはマズいですから。あと二ヶ月余り後には私も結婚することになったんです」
「まあっ それはおめでとうございます! お相手はやはりガルシア侯爵のご令嬢でございますか?」
「はい。それからマカレーナ大聖堂の大司祭マルセリナ様とも結婚します」
「なんてことでしょう! それは初耳でした!」
その後もおしゃべりオバさんらしく根掘り葉掘り聞かれるが、結婚式にはミランダさんにも来てもらうつもりだったので、プライベートを覗いて話せる範囲で答えた。
「それは大きな結婚式になるでしょうね…… それはそれとして、ご結婚前に私と如何ですか?」
「いえ…… やっぱりマズいですって」
「では、これを私だと思って使って下さいっ」
「あっ!?」
ミランダさんは、さっきテーブルに脱ぎ捨てた白いおぱんつを、私のズボンのポケットへ強引にねじ込んだ。
そう。スカートは下ろしているが、さっきから彼女はノーパンである。
替えのぱんつは店にいくらでも有るにしてもねえ……
――ドンドンドンッ 「店長! 終わりました! マヤ様を返して下さい!」
「もう終わりの時間なの? 残念ですわあ。さっ マヤ様。セシリア様とご一緒に良い商品をお選びなさって下さいまし。うふふっ」
「はい……」
セノビアさんの声だ。
毎回もう慣れてしまい、最初からドアを強く叩いて遠慮が無い。
あああ…… ポケットにねじ込まれたままの、ミランダさんのぱんつ……
どうしよう……
前に私が使っていたことにしようと思っても、ミランダさんのほうが小尻だからサイズでルナちゃんにバレてしまいそう。
自分でこっそり洗って、タンスに仕舞っておくか……
---
「やあ。セシリアさんが気に入った物はあったかな?」
「はい。さすがマヤ様のブランドは素敵な物ばかりで、つい欲張ってしまいました。うふふっ」
セシリアさんはどうやらセノビアさんと一緒にランジェリーを一通り選んで買い求めてしまったようだ。
レジカウンターには複数の紙袋が置いてあり、一体いくら使ったんだという程の量である。
私としてはお客様だから有り難いことではあるが。
「さてと、じゃあ今度は私がこれから選んでプレゼントしよう。ちなみにブラのサイズはいくらだったの?」
「Eの65だそうです」
「ありがとう」
やっぱりセシリアさんは細身だなあ。
私が女の時はEの75だったから、カップサイズが同じでも彼女の華奢な身体では小さく見える。
ヴェロニカも私と同じサイズで、前に聞いたら怒ってきたので×××を終えた後に脱いで放ってあるブラのタグをこっそり見たらそうだった。
パティは恥ずかしながらも教えてくれそうだけれど、こっちが恥ずかしくなってしまうので未だ不明である。
たぶんEの70だろうけれど、今の成長ならばすぐにFへ変わっちゃいそう。
「実はもう決めてあってね。これだよ」
それは店の奥にある高級ランジェリーブースに設置してあるマネキンに着せてあり、上下百パーセントシルク、ブラは丁寧で美しい白バラのレースが施されており、ぱんつはフルバックでこちらもレースがふんだんに施されている。
ぱんつはハーフバック、Tバックも用意されていて、どれか一着を選択するか、気分によって履き替えたりするために三枚セットにすることも出来る。
そして、白のガーターベルトに白のストッキング!
ストッキングの素材はイスパルで作ることが出来ず、ブロイゼン国の輸入品に頼って作っている高級品だ。
さらに魔法が掛けられており簡単には破れない。
「まあ! なんて素敵なんでしょう! これを頂いてもよろしいのですか?」
「勿論だとも。絶対に似合うはずだよ」
「――まるで夢のようです……」
セシリアさんはマネキンに着せてあるランジェリーを見てうっとり。
なんだか顔が赤くなって色っぽい表情をしているけれど、何を想像しているのだろう。
それはともかく、セノビアさんに商品を用意してもらって買い求める。
レジで金貨一枚を支払う。約十万円相当。
ぱんつを三枚セットにし、ストッキングも替えを二着、合計三着になったので高く付いてしまった。
これでも少し安くしてくれたみたいだし、セシリアさんの事を思えば全く惜しくはないぞ。
「「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております!」」
ミランダさんとセノビアさんがニコニコ顔で店先までお見送り。
ガルシア家とモーリ家ともすっかりこの店の上得意客になってしまった。
セシリアさんはホクホク顔で、こんなに喜んで貰えれば私も嬉しくなるものだ。
---
我が家へ帰宅し、明日は元々王都マドリガルタ行くことにしていたが、セシリアさんが女性へ変わったことをご両親に報告するため、急遽セレス経由で向かうことになった。
副機長役のアイミは連れていかないので、早めにしっかり寝ることにする。
そうだ。ミランダさんをオカズにして、久しぶりに分身君を発散させてあげよう。




